
古代中国の五行思想では、
「春」に「青」を、
「夏」に「赤」を、
「秋」に「白」を、
「冬」に「玄(黒)」を当て、
それぞれ、
「青春(せいしゅん)」、
「朱夏(しゅか)」、
「白秋(はくしゅう)」、
「玄冬(げんとう)」という。
これらは季節を表す言葉であるが、
日本では、特に「青春」について、
人生における、若く未熟で、
しかしながら、元気で力に溢れた時代を指すようになった。
「青春」以外が人間の年代を表す言葉として用いられることは、
一般的な用法ではないそうだが、
「青春」の後の、
「朱夏」・「白秋」・「玄冬」をライフサイクルに当てはめてみれば、
「朱夏」は、人生の夏であり、人生の真っ盛りの年代、
「白秋」は、人生の秋であり、人生の実りの年代、
そして「玄冬」は、人生の冬であり、
静かに暮れてゆく自分を見つめる年代といえるだろう。
乱暴に年代を当てはめれば、
10代から20代が「青春」、
30代から40代が「朱夏」、
50代から60代が「白秋」、
70代以降を「玄冬」と呼べるような気がする。
私はといえば、「白秋」の年代であり、
「青春」が遥か遠くに見える年代である。
と、こんなジジくさいことを言っていると、
きっと、こんなことを言う人がいるに違いない。
「君はサムエル・ウルマンの『青春』という詩を知っているか?」と。
青春とは人生のある期間ではなく、
心の持ち方を云う。
薔薇の面差し、紅の唇、しなやかな手足ではなく、
たくましい意志、ゆたかな想像力、燃える情熱をさす。
青春とは人生の深い泉の清新さをいう。
青春とは臆病さを退ける勇気、
安きにつく気持を振り捨てる冒険心を意味する。
ときには20歳の青年よりも60歳の人に青春がある。
年を重ねただけで人は老いない
理想を失うとき初めて老いる。
歳月は皮膚にしわを増すが、熱情は失えば心はしぼむ。
苦悩・恐怖・失望により気力は地に這い精神は芥にある。
60歳であろうと16歳であろうと人の胸には、
驚異に惹かれる心、おさなごのような未知への探求心、
人生への興味の歓喜がある。
君にも吾にも見えざる駅逓が心にある。
人から神から美・希望・喜び・勇気・力の
霊感をうける限り君は若い。
霊感が絶え、精神が皮肉の雪に覆われ
悲嘆の氷に閉ざされるとき、
20歳であろうと人は老いる。
頭を高く上げ希望の波をとらえる限り、
80歳であろうと人は青春にして已む。
『青春とは、心の若さである』(作山宗久・訳 角川文庫)
この詩によれば、
心の持ちようで、いつでも青春になれるとのことなので、
私も、白秋などとは言わず、
青春に乗っかることにしよう。
青春に乗る。
アオハル に 乗る(ride)
アオハル + ライド = アオハライド
そう、今日紹介する映画が、
『アオハライド』なのである。

中学1年生の頃、
お互いに特別な想いを抱きながらも、
離ればなれになってしまった双葉(本田翼)と洸(東出昌大)。

高校2年生の春に再会するも、
どこか人が変わってしまったような洸に双葉は戸惑う。

だが、そっけない言動に隠された洸の優しさは昔のままだった。
そんな洸に惹かれてしまう双葉。

ふたりと仲良くなるクラスメイトの、
修子(新川優愛)と、

小湊(吉沢亮)と、

悠里(藤本泉)。

双葉に好意を寄せる冬馬(千葉雄大)。

双葉と洸の間に立ちはだかる唯(高畑充希)の存在。

徐々に明らかになっていく空白の4年間に隠された洸の秘密。

青春のやるせなさにもがきながらも、
夏祭り、学園祭、長崎への修学旅行と校内行事を経ていくうちに、
双葉と洸の恋が再び大きく動き出していく……

映画を見た感想はというと……
良かったです。
それも、かなり……
見ている間は、胸をキュンキュンさせられ、
幾度となく涙が頬を伝い流れる。
そんな作品であった。
今年も多くの映画を見たが、
芸術性や、映画の完成度では別の作品になるが、
「どの作品が好きか?」
と問われれば、『アオハライド』と答えるかもしれない。
それほど、私の心にフィットした作品だった。

原作は、
11巻で累計800万部突破の咲坂伊緒の同名のベストセラーコミックス。

同じように少年少女向けコミックを実写化したものでは、ここ数年、
『君に届け』(2010年)
『今日、恋をはじめます』(2012年)
『銀の匙 Silver Spoon』(2014年)
『ホットロード』(2014年)
などを見たが、(タイトルをクリックするとレビューが読めます)
本作『アオハライド』は、その中でも、強く印象に残る作品となった。

監督は、恋愛青春映画の名手・三木孝浩。
ここ数年、三木孝浩監督作品である、
『陽だまりの彼女』(2013年)
『ホットロード』(2014年)
などを見てきたが、
彼の作品は、とにかく映像が美しい。
富山と長崎でオールロケを敢行して撮られた作品だが、
ワンシーン、ワンシーンが、本当に丁寧に撮られていて、
見ているだけで心地よくなってくる映像なのだ。
特に、修学旅行先の長崎の映像は秀逸。
長崎県出身の私は、
長崎県でロケされた映画はほとんど見ているが、
昨年見た映画『ペコロスの母に会いに行く』(←クリック)と同じくらいに、
『アオハライド』には好感を持てた。
高畑充希や岡江久美子が長崎弁を話していたのも嬉しかった。

長崎県在住者、長崎県出身者は、必見の作品と言えるだろう。

三木孝浩監督作品としては、
来年(2015年)2月28日公開予定の『くちびるに歌を』が控えている。
これもまた長崎県(五島列島)が舞台の物語。
私の好きな新垣結衣、木村文乃、木村多江も出演しているので、
必ず見に行くつもり。
映画『アオハライド』には、
印象に残る言葉がちりばめられていて、
吉岡さんが向いている方が前向き。それでいいじゃん。
回り道こそが……アオハルなんだよ。
あたしは洸ちゃんがどがんしても欲しい。そのためなら何だってする。
昔も今も、あたしが一番に見つけるのは、いつだって洸の背中だった。
青春は、いつだって間違える。
などの言葉が印象に残っているが、
修学旅行先の長崎・稲佐山の展望台で、
洸が発するセリフには、おじさんの私もちょっと感動した。
それは、映画を見て確かめて。(笑)
稲佐山から見た夜景も美しいし、
稲佐山から見た御来光のシーンも素晴らしい。
ロケでは、天候にも恵まれ、
素晴らしいカットが撮れたと、
三木孝浩監督や本田翼が語っていた。

長崎市が「アオハル(青春)の聖地」として認定され、
本作の重要なシーンを撮影したこの稲佐山展望台で、
セレモニーが行われたそうだ。

本田翼は、
(東出演じる)洸と初めてこの場所に来て、景色を見たときはすごくきれいで感動しました。恋人の聖地として、この場所で『アオハライド』のクライマックスシーンを撮ったということが、長崎に足を運んでくださるきっかけになってくれると嬉しいですね。素敵なカップルが誕生するスポットになると幸せです。
と語っている。
その後、本田翼は、長崎女子高等学校をサプライズ訪問し、
郷土芸能である「龍踊(じゃおどり)」を体験したとか。

私は学生時代アルバイト三昧で高校時代は修学旅行にも行かなかったので、今日が初めての修学旅行です。学生時代しかできない恋愛もあると思ったので、皆にはたくさん恋をしてもらいたいです。
と女子高生たちにエールを送ってもいる。

エンドロールに流れる、
いきものがかりの「キラリ」が、なんとも爽やか。

エンドロールの後に、
なんだか、ほんわかとさせられるワンシーンが付け加えられているし、
『アオハライド』の原点ともなっている作品の予告編もあるので、
場内が明るくなるまで席を立たないようにね。

若者だけではなく、
もはや「ひたむきな想い」など忘れ去っているあなたにこそ見てもらいたい、
青春恋愛映画の秀作。
映画館で、ぜひぜひ……
「春」に「青」を、
「夏」に「赤」を、
「秋」に「白」を、
「冬」に「玄(黒)」を当て、
それぞれ、
「青春(せいしゅん)」、
「朱夏(しゅか)」、
「白秋(はくしゅう)」、
「玄冬(げんとう)」という。
これらは季節を表す言葉であるが、
日本では、特に「青春」について、
人生における、若く未熟で、
しかしながら、元気で力に溢れた時代を指すようになった。
「青春」以外が人間の年代を表す言葉として用いられることは、
一般的な用法ではないそうだが、
「青春」の後の、
「朱夏」・「白秋」・「玄冬」をライフサイクルに当てはめてみれば、
「朱夏」は、人生の夏であり、人生の真っ盛りの年代、
「白秋」は、人生の秋であり、人生の実りの年代、
そして「玄冬」は、人生の冬であり、
静かに暮れてゆく自分を見つめる年代といえるだろう。
乱暴に年代を当てはめれば、
10代から20代が「青春」、
30代から40代が「朱夏」、
50代から60代が「白秋」、
70代以降を「玄冬」と呼べるような気がする。
私はといえば、「白秋」の年代であり、
「青春」が遥か遠くに見える年代である。
と、こんなジジくさいことを言っていると、
きっと、こんなことを言う人がいるに違いない。
「君はサムエル・ウルマンの『青春』という詩を知っているか?」と。
青春とは人生のある期間ではなく、
心の持ち方を云う。
薔薇の面差し、紅の唇、しなやかな手足ではなく、
たくましい意志、ゆたかな想像力、燃える情熱をさす。
青春とは人生の深い泉の清新さをいう。
青春とは臆病さを退ける勇気、
安きにつく気持を振り捨てる冒険心を意味する。
ときには20歳の青年よりも60歳の人に青春がある。
年を重ねただけで人は老いない
理想を失うとき初めて老いる。
歳月は皮膚にしわを増すが、熱情は失えば心はしぼむ。
苦悩・恐怖・失望により気力は地に這い精神は芥にある。
60歳であろうと16歳であろうと人の胸には、
驚異に惹かれる心、おさなごのような未知への探求心、
人生への興味の歓喜がある。
君にも吾にも見えざる駅逓が心にある。
人から神から美・希望・喜び・勇気・力の
霊感をうける限り君は若い。
霊感が絶え、精神が皮肉の雪に覆われ
悲嘆の氷に閉ざされるとき、
20歳であろうと人は老いる。
頭を高く上げ希望の波をとらえる限り、
80歳であろうと人は青春にして已む。
『青春とは、心の若さである』(作山宗久・訳 角川文庫)
この詩によれば、
心の持ちようで、いつでも青春になれるとのことなので、
私も、白秋などとは言わず、
青春に乗っかることにしよう。
青春に乗る。
アオハル に 乗る(ride)
アオハル + ライド = アオハライド
そう、今日紹介する映画が、
『アオハライド』なのである。

中学1年生の頃、
お互いに特別な想いを抱きながらも、
離ればなれになってしまった双葉(本田翼)と洸(東出昌大)。

高校2年生の春に再会するも、
どこか人が変わってしまったような洸に双葉は戸惑う。

だが、そっけない言動に隠された洸の優しさは昔のままだった。
そんな洸に惹かれてしまう双葉。

ふたりと仲良くなるクラスメイトの、
修子(新川優愛)と、

小湊(吉沢亮)と、

悠里(藤本泉)。

双葉に好意を寄せる冬馬(千葉雄大)。

双葉と洸の間に立ちはだかる唯(高畑充希)の存在。

徐々に明らかになっていく空白の4年間に隠された洸の秘密。

青春のやるせなさにもがきながらも、
夏祭り、学園祭、長崎への修学旅行と校内行事を経ていくうちに、
双葉と洸の恋が再び大きく動き出していく……

映画を見た感想はというと……
良かったです。
それも、かなり……
見ている間は、胸をキュンキュンさせられ、
幾度となく涙が頬を伝い流れる。
そんな作品であった。
今年も多くの映画を見たが、
芸術性や、映画の完成度では別の作品になるが、
「どの作品が好きか?」
と問われれば、『アオハライド』と答えるかもしれない。
それほど、私の心にフィットした作品だった。

原作は、
11巻で累計800万部突破の咲坂伊緒の同名のベストセラーコミックス。

同じように少年少女向けコミックを実写化したものでは、ここ数年、
『君に届け』(2010年)
『今日、恋をはじめます』(2012年)
『銀の匙 Silver Spoon』(2014年)
『ホットロード』(2014年)
などを見たが、(タイトルをクリックするとレビューが読めます)
本作『アオハライド』は、その中でも、強く印象に残る作品となった。

監督は、恋愛青春映画の名手・三木孝浩。
ここ数年、三木孝浩監督作品である、
『陽だまりの彼女』(2013年)
『ホットロード』(2014年)
などを見てきたが、
彼の作品は、とにかく映像が美しい。
富山と長崎でオールロケを敢行して撮られた作品だが、
ワンシーン、ワンシーンが、本当に丁寧に撮られていて、
見ているだけで心地よくなってくる映像なのだ。
特に、修学旅行先の長崎の映像は秀逸。
長崎県出身の私は、
長崎県でロケされた映画はほとんど見ているが、
昨年見た映画『ペコロスの母に会いに行く』(←クリック)と同じくらいに、
『アオハライド』には好感を持てた。
高畑充希や岡江久美子が長崎弁を話していたのも嬉しかった。

長崎県在住者、長崎県出身者は、必見の作品と言えるだろう。

三木孝浩監督作品としては、
来年(2015年)2月28日公開予定の『くちびるに歌を』が控えている。
これもまた長崎県(五島列島)が舞台の物語。
私の好きな新垣結衣、木村文乃、木村多江も出演しているので、
必ず見に行くつもり。
映画『アオハライド』には、
印象に残る言葉がちりばめられていて、
吉岡さんが向いている方が前向き。それでいいじゃん。
回り道こそが……アオハルなんだよ。
あたしは洸ちゃんがどがんしても欲しい。そのためなら何だってする。
昔も今も、あたしが一番に見つけるのは、いつだって洸の背中だった。
青春は、いつだって間違える。
などの言葉が印象に残っているが、
修学旅行先の長崎・稲佐山の展望台で、
洸が発するセリフには、おじさんの私もちょっと感動した。
それは、映画を見て確かめて。(笑)
稲佐山から見た夜景も美しいし、
稲佐山から見た御来光のシーンも素晴らしい。
ロケでは、天候にも恵まれ、
素晴らしいカットが撮れたと、
三木孝浩監督や本田翼が語っていた。

長崎市が「アオハル(青春)の聖地」として認定され、
本作の重要なシーンを撮影したこの稲佐山展望台で、
セレモニーが行われたそうだ。

本田翼は、
(東出演じる)洸と初めてこの場所に来て、景色を見たときはすごくきれいで感動しました。恋人の聖地として、この場所で『アオハライド』のクライマックスシーンを撮ったということが、長崎に足を運んでくださるきっかけになってくれると嬉しいですね。素敵なカップルが誕生するスポットになると幸せです。
と語っている。
その後、本田翼は、長崎女子高等学校をサプライズ訪問し、
郷土芸能である「龍踊(じゃおどり)」を体験したとか。

私は学生時代アルバイト三昧で高校時代は修学旅行にも行かなかったので、今日が初めての修学旅行です。学生時代しかできない恋愛もあると思ったので、皆にはたくさん恋をしてもらいたいです。
と女子高生たちにエールを送ってもいる。

エンドロールに流れる、
いきものがかりの「キラリ」が、なんとも爽やか。

エンドロールの後に、
なんだか、ほんわかとさせられるワンシーンが付け加えられているし、
『アオハライド』の原点ともなっている作品の予告編もあるので、
場内が明るくなるまで席を立たないようにね。

若者だけではなく、
もはや「ひたむきな想い」など忘れ去っているあなたにこそ見てもらいたい、
青春恋愛映画の秀作。
映画館で、ぜひぜひ……