![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/27/65/c4a8ba8637ea28bd8c1fc9ed2aa10ccf.jpg)
本作は、
過激な描写と緊迫のストーリー展開で人気を博す、
「ヤングマガジン」連載の巴亮介のサイコスリラー漫画を、
大友啓史監督が実写映画化したものである。
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大友啓史監督といえば、
「るろうに剣心」シリーズの、
『るろうに剣心』(2012年)
『るろうに剣心 京都大火編』(2014年)
『るろうに剣心 伝説の最期編』(2014年)
が思い出されるが、
三作とも映画館で見て、
大いに満足し、
レビューも書いている私としては、
映画『ミュージアム』もぜひ見たいと思った。
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主人公・沢村久志刑事を演じるのは、小栗旬。
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沢村の妻を演じる尾野真千子はじめ、
野村周平、田畑智子、市川実日子、伊武雅刀、大森南朋、松重豊、妻夫木聡など、
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豪華キャストが共演している。
期待しつつ、映画館へ向かったのだった。
現場に謎のメモが残される猟奇殺人事件が矢継ぎ早に発生するが、
その事件は雨が降る日のみ起こっていた。
事件を追っていた警視庁捜査1課の沢村久志刑事(小栗旬)は、
仕事人間のあまり、妻・遥(尾野真千子)は息子と家を出てしまい、
今は只、捜査にまい進する日々だった。
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そんな沢村たちをあざ笑うかのように、事件はますますエスカレートしていった。
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飼い犬を手放した女性は犬に食われ、
母親と二人暮らしの引き込もり男は“生まれてきた体重”だけ肉体が切り裂かれる。
その凄惨な遺体が発見された現場には、
「ドッグフードの刑」
「母の痛みを知りましょうの刑」
などといった謎のメモが残されていた。
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一連の事件の関連性を調べていた沢村は、
犯行が私的な制裁のために繰り返されていること、
そして、過去の、ある裁判員裁判が関係していることを知る。
やがて、犯人も判明するが、
それは、カエルのマスクをかぶり、
自らを殺人アーティストと称する、カエル男(妻夫木聡)であった。
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カエル男を追い詰める沢村であったが、
妻・遥がその裁判員裁判の裁判員の一人だったことから、
カエル男に妻子を奪われ、
カエル男の仕掛けた残虐なワナにハマっていく。
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そして、沢村を衝撃の結末が待っていた……
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なかなか面白い作品であった。
さすが、大友啓史監督。
「雨」「現場に残されるメモ」「妻が狙われる」など、
設定は1995年(日本公開は1996年)のアメリカ映画『セブン』(デヴィッド・フィンチャー監督)にそっくりで、『セブン』が好きな私としては、大いに楽しむことができた。
グロいシーンは多いが、
描写はそれほど具体的ではなく、
観客の想像に任せるような演出が目立った。
それは、この映画をR指定にせず、
多くの人に見てもらいたいという制作者側の意図があったようで、
それは概ね成功しているといえる。
R指定ではない(PG12でさえない)が、
観客の想像に任せるような演出にすることにより、
見る側の想像力が試される。
見る側の想像力の有無により、
この映画の凄惨さに強弱が生じる仕組みになっているのだ。
子供にはそれなりに、
想像力の強い大人には強烈に意識させ、過激なシーンをより過激に感知させる。
想像力のある人ほど楽しめる作品となっているのが面白い。
さて、あなたは如何?
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この映画が成功している大きな要因は、
犯人のカエル男を妻夫木聡に演じさせたことだろう。
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最初は、「犯人を演じているのは誰か?」を伏せる案もあったらしいが、
妻夫木聡の強烈な個性や演技力などを最初から見せる方が得策……と考えが改められ、
カエル男(妻夫木聡)を最初から登場させ、出番を多くし、
沢村刑事(小栗旬)との対決シーン連発でラストまで引っ張っていく演出がなされている。
だから、予告編でも「カエル男は妻夫木聡」とアピールされている。
このカエル男が、演技力のない別の男優によってなされていたなら、
『ミュージアム』という映画は、まったく違った作品になっていたことと思う。
妻夫木聡の実力の伴った熱演により、本作は良質の作品になりえたのだ。
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沢村刑事の妻・遥を演じた尾野真千子の演技も忘れがたい。
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彼女の迫真の演技は、より緊張を高め、
ラスト近くのクライマックスシーンでは、
小栗旬が「乗せているエンジンが違う」と形容するほどの凄まじい演技で魅せる。
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その他、出演シーンは少ないものの、
遥(尾野真千子)の親友・秋山佳代を演じた田畑智子、
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医療研究センターの女医・橘幹絵を演じた市川実日子など、
演技力のある女優が脇をしっかり締めていた。
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日本のサイコスリラー映画としては、
かなり成功している作品ではないかと思う。
映画館で、ぜひぜひ。