一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

鬼ノ鼻山・聖岳…『Green Walk』を片手に縦走しよう!

2007年12月26日 | 鬼ノ鼻山・聖岳

今年最後の山登りをどこにしようかと悩んでいた時、『Green Walk』(2008 冬号 Vol.25)が発売された。
今回手にした本誌を見て、「オッ」と思わず声が出た。
なんと、私にとって、近くにあって、最も親しみのある「聖岳・鬼ノ鼻山」が採り上げられていたのだ。


いつかは載るだろうとは思っていたが、実際に目にすると、やはり嬉しい。
記事を貪るように読んだ。
出発点は、聖岳参道登山口。
まず聖岳に登る。
そこから鬼ノ鼻山へ縦走する。
復路は、途中から遊歩道を下り、周回するような形で、聖岳参道登山口に戻って来る。
なかなか考えられたコース取りである。
福岡・佐賀方面から来る登山者の場合は、このコースがイイかもしれない。
でも、唐津・伊万里方面から来る場合は、逆に、鬼ノ鼻山の方から縦走した方が良さそうに感じた。

記事を読んでいて、一箇所だけひっかかる部分があった。
本誌では、赤い鬼の展望台があるピークを山頂とせず、隣の四等三角点があるピークを山頂としているのだ。

《少し下ってすぐに登り返したところが、四等三角点のある434.5mピーク、鬼ノ鼻山山頂だった。
 残念なのは、どこを探しても山頂標識が見当たらなかったこと。
 見晴らしのいいピークなのに、少々がっかりした。
 その北東にもう一つのピークがあって、赤い建造物が見える。
 登ってみると、鬼の形をした大きな展望台だった……(後略)》

私はずっと、赤い鬼の展望台がある方を山頂だと思っていた。
「えっ、違うの?」
と、ちょっと狼狽えた。
ガイドブックを見てみることにした。
まず、佐賀勤労者山岳会編の『SAGAの山あるき』(佐賀新聞社)。

《駐車場から山頂まで二十分。赤い鬼の展望塔がある。山頂からは、天山、作礼山、八幡岳……(後略)》

やはり赤い鬼の展望台があるピークを山頂としている。
次に、昨年出版された「新・分県登山ガイド40 佐賀県の山」(山と溪谷社)を見てみる。

《よく整備された道を登ると20分ほどで鬼ノ鼻山山頂に着く。赤鬼の頭の展望台に登ると、360度を見わたすことができ……(後略)》

と、これまた展望台がある方を山頂としている。
こちらは、赤い鬼の展望台の写真まで掲載していて、「山頂に置かれた鬼の頭の展望台」との解説文まである。
どちらも、三角点のある隣のピークのことには一言も触れていない。
鬼ノ鼻山に登った登山者のHPやブログを見ても、誰もが赤鬼の展望台の方で登頂記念写真を撮っている。
こうなるとやはり赤鬼の展望台の方が山頂だと思わざるを得ない。

そうは思ったが、念のために多久市役所に問い合わせしてみた。
「鬼ノ鼻山山頂はどちらですか?」と。
すると、あっちこっちにタライ回し(電話でですが)された挙げ句、意外な答えが返ってきた。

「山頂は、三角点がある方ですね。赤い鬼の展望台がある方は、あくまでも展望台です」

え~、ウソだろ~
携帯電話を持ったまま、へたり込む私でした。
結果、『Green Walk』の方が正しかったということです。ハイ。(ToT)
そうなったら、改めて鬼ノ鼻山山頂である「四等三角点」に挨拶に行かなければならないだろう。

自宅から車で鬼ノ鼻山展望台直下の登山口駐車場へ向かう。
今回は、『Green Walk』の逆コースを歩いてみようということで、麓からではなく、憩いの森公園から登ることにした。
途中、天ヶ瀬ダムから天山を見る。
ここから見る天山は、本当に堂々としていてカッコイイ!


憩いの森公園の駐車場に着く。
ここから展望台までは、15~20分程。
駐車場は広く、トイレもあるので、こちらの駐車場がオススメです。


「いただきへの道」との道標がある。


だが、そのちょっと先には、「展望台入口」と書かれた道標もある。
まぎらわしい!


展望台に着く。
しつこいようですが、あくまでも展望台です!
でも、展望台ですから、眺めは抜群!
360度の展望が楽しめる。


西北の方角に、八幡岳・船山(女山)。


北に天山・彦岳。
テツさんたちが縦走した稜線が一望のもとに見渡せます。


南に雲仙岳や多良山系。


西南の方角には、虚空蔵山。


西には、黒髪山系や国見山系。


聖岳方面に縦走を開始する。
一旦下って、急坂を登ると、そこが四等三角点のピーク。
鬼ノ鼻山山頂である。


展望台から山頂まで、美しい道が続いている。


四等三角点


山頂からちょっと歩いた所に、鬼の石像が二体ある。
ここからの眺めも素晴らしい!


この時期、鬼ノ鼻山から聖岳への縦走路には、サザンカが咲いている。


赤、白、ピンクなど、色とりどり。






「サザンカの縦走路」とでも呼びたいほどに……


なんと、アキノキリンソウがまだ咲いていた。
嬉しい!


福寿山弁財天を過ぎ、464.4mの二等三角点を通過する。
三省堂の『日本山名辞典』では、聖岳の標高を464mとしている。
だから、辞書的には、ここが聖岳山頂ということになる。
「?」である。


林道に下り、そこから聖岳山頂をめざす。
急坂の右側に、クヌギ林が広がる。


聖岳展望台。
中年の男女5名が、食事中であった。


ここからも、遙か彼方に雲仙岳が見えた。


復路は、同じ道を歩いて駐車場に戻った。
『Green Walk』で紹介していた周回路は、荒れていて、藪化していた。
やぶこぎ覚悟で行けば、歩けないこともないが、この時期は少し歩いただけで、植物のタネがたくさん服に付着する。
周回路は止めておいた方がイイと思う。

『Green Walk』では登山後の温泉として北方町の「七彩の湯」を紹介していたが、私は12月16日にオープンしたばかりの大町温泉を紹介したい。
憩いの森駐車場から、大町方面に下りて行けば、「大町温泉 ひじり乃湯」と書かれた旗や看板があるので、すぐに分かる。
ひじり乃湯の「ひじり」は、聖岳の「ひじり」だろう。


源泉かけ流しとのことで、平日にもかかわらず、駐車場には車がたくさん駐まっていた。
背後に見えるのは、鬼ノ鼻山から聖岳への稜線。


入浴料は600円だったが、浴槽は広く、露天風呂も、寝湯、歩き湯、打たせ湯などがあり、値段だけのことはあると思った。
湯は少し濁っていて、少しヌルヌルした。


私は寝湯が気に入り、鬼ノ鼻山から聖岳に連なる稜線を眺めながら、大の字に寝そべってくつろいだ。
裸で大の字になって寝そべっていると、開放感100%となり、まるで王様のような気分になり、すこぶる快適であった。

今日も「一日の王」になれました!

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6 コメント

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ご来光見に。 ()
2007-12-30 11:34:02
 毎年恒例の初日の出を2008年は聖岳に行きます。
 冨田さんと数名で予定しています。
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雪山かも? (タク)
2007-12-30 21:28:45
忠さんへ

天気予報では、大晦日と元旦は雪マークが出てましたが、ちょっと心配ですね。
ご来光が拝めるとイイですね。
でも、雪が積もって、雪山登山というのもイイかも?
温暖化で、昨年もなかなか雪が積もりませんでしたから……
私は年末年始は仕事です。
皆さんが羨ましいです!
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鬼ノ鼻山~聖岳 (サスケ&ミ~コ )
2008-01-06 19:43:29
初めまして、写真は聖岳で昼食を取っていた我がグル~プです。この日は最後の山行でした、鬼ノ鼻山~聖岳の縦走・・・
良いコ~スですね。あの日は 『FBS』 のめんたいワイドの中継のカメラマンさんも上がってこられていてワイワイガヤガヤで楽しかったです。何処かの山でお会いする事があるかもしれません、その時は声を掛けて下さい。
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Unknown (タク)
2008-01-07 05:29:35
サスケ&ミ~コさんへ

やはり聖岳展望台でお会いしたのは、サスケ&ミ~コさんたちでしたか!
私もあの日が、昨年最後の山行でした。
良い天気の日で、快適な縦走ができました。
帰りに大町温泉に寄った時、この日、この温泉から「めんたいワイド」の中継があると貼り紙がしてあったので、聖岳に登ってこられたのは、その時のスタッフかもしれませんね。

本当にまたどこかでお会いするかもしれません。
その時はどうぞよろしくお願い致します。
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鬼ノ鼻山 (CJN)
2008-01-29 11:41:54
こんにちは タクさん
初めましてです。サスケさんの掲示板からやってきました。鬼ノ鼻山のピークの件があったので自分の山行きを確認しました。展望の良い四等三角点は行っていたようです。ピークハンターにとっては三角点はなんとしても探したものではあります。聖岳には縦走はせずに別コースで行ったようです。最近、佐賀県の山にはよく行っています。地形図にない山名の山などにも行っています。私の住まいが朝倉市なので長崎道近辺の山が多くなります。
では・・・また!!
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参考にさせて頂いています。 (タク)
2008-01-29 20:12:34
CJNさんへ

コメントありがとうございます。
CJNさんのHP「九州低山そうつ記」は、私も「お気に入り」に登録し、以前より山登りの参考にさせてもらっています。
CJNさんの山行には、いつも感心しきりです。
多久の「坊山」は、多久市役所が発行している一万分の一の地図には載っていますが、市販されている地図には載っていないので、誰も知らないと思っていましたが、その山にも登られている。
しかも、多久周辺の、一万分の一の地図にも載っていないし私も知らない「山崎山」などにも登られているので、驚いています。
それに、HPも、マップ付きでキチンと整理されている。
本当に素晴らしい!
これからも、多くの知られざる山を、私たちに教えて下さい。
楽しみにしています!
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