大好きな女優、真木よう子と吉田羊が出演していたので見に行った作品。
原作は、『失恋ショコラティエ』で知られる漫画家・水城せとなの同名コミック。
年下男性に翻弄されるアラサー女性の苦悩を、
彼女の脳内にある5つの思考を擬人化して描いたラブコメディ。
監督は『キサラギ』『ストロベリーナイト』の佐藤祐市。
携帯小説家の櫻井いちこ(真木よう子)は、
飲み会で同席して以降興味を惹かれる年下の早乙女(古川雄輝)と偶然再会。
声を掛けるか否か、
彼女の脳内では、
「理性」担当の吉田(西島秀俊)、
「ポジティブ」担当の石橋(神木隆之介)、
「ネガティブ」担当の池田(吉田羊)、
「衝動」担当のハトコ(桜田ひより)、
「記憶」担当の岸(浅野和之)
の5人のキャラクターが脳内で会議を繰り広げる。
議長の吉田が意見を取りまとめ、
早乙女を食事に誘うという結論に……
その結果、
彼の部屋にまで押しかけて肉体関係を結び、
やがて2人は付きあうことになる。
だが、双方の誤解や、
彼の元恋人の登場などで、
またしても脳内は大混乱。
疲れ果てたいちこは、
編集者の越智(成河)からもアプローチされ……
何か行動を起こそうとするとき、
すぐに行動を起こせる人と、
そうではない人がいる。
この映画の主人公は、どちらかというと後者で、
その逡巡の様子を、
脳内での舞台劇のような演出で魅せる作品であった。
面白いアイデアだと思ったし、
脳内の方には、
西島秀俊、神木隆之介、吉田羊など、
人気と実力を兼ね備えた俳優が揃っていたので、
楽しく見ることができた。
この脳内では、
「理性」「ポジティブ」「ネガティブ」「衝動」「記憶」
の5人のキャラクターが物事の判断をするのだが、
どうしても判断が下せないとき、
「本能」ともいうべき役割のキャラクターが登場する。
その役を演じているのが、真木よう子。
そう、真木よう子は、
現実世界と脳内のどちらにも登場するのだ。
真木よう子ファンには堪らない一作となっている。(笑)
セクシーなコスチュームで登場する脳内の真木よう子は、
クールなイメージが強い彼女らしい役柄と言えるが、
現実世界の櫻井いちこを演じる真木よう子の方は、
これまであまり見ることがなかった優柔不断でモテない女という役柄で、
なんだかとても新鮮であった。
最近、『ボクらの時代』に出演している真木よう子を見たが、
素の彼女は、これまでのイメージとはややかけ離れていて、
どちらかというと現実世界の櫻井いちこの方に近いのかもしれないと思った。
いずれにせよ、真木よう子ファンは必見の映画と言えるだろう。
「ネガティブ」担当の池田を演じた吉田羊も、
期待通りの演技で、楽しませてくれた。
「ネガティブ」担当なので、
眉間に皺を寄せて、
「ポジティブ」担当の石橋(神木隆之介)に食ってかかるシーンが多く、
ややビックリの展開であったが、
小劇場で鍛え上げられた演技力が如何なく発揮されていたように思った。
前回紹介した映画『ビリギャル』での吉田羊も良かったが、
今回は『ビリギャル』のときとはまったく違った役で、
演技の幅の広さを感じさせられたし、魅了された。
次作『愛を積むひと』(2015年6月20日公開予定)も控えているので、
今後も彼女から目が離せない!
大好きな真木よう子と吉田羊を語ったので、
もうこれで終わってもいいのだが、(オイオイ)
他の出演者についても、少し語っておきたいと思う。
「理性」担当の吉田を演じた西島秀俊。
最終判断を任されているのだが、
「ポジティブ」担当の石橋(神木隆之介)と、
「ネガティブ」担当の池田(吉田羊)の意見に翻弄され、
なかなか判断が下せない、やや情けない役柄で、
TVドラマなどで観る彼とは違って、こちらも新鮮であった。
西島秀俊ファンには堪らない一作となっている。(笑)
「ポジティブ」担当の石橋を演じた神木隆之介。
「ネガティブ」担当の池田(吉田羊)とやりとりが素晴らしく、
舞台で二人芝居を観ているような錯覚をおぼえた。
演技力は言わずもがなであるが、
昨年(2014年)、瀬田宗次郎役で魅せた、
『るろうに剣心 京都大火編 / 伝説の最期編』でのアクションも秀逸で、
これからが本当に楽しみな男優である。
今後は、
『バクマン。』(2015年10月3日公開予定)高木秋人役(佐藤健とのW主演)
『太陽』(2016年公開予定)奥寺鉄彦役(門脇麦とのW主演)
などが控えているので、
大いに期待したいと思う。
「衝動」担当のハトコを演じた桜田ひより。
2002年12月19日生まれなので、まだ12歳。(2015年5月23日現在)
脳内に子供がいることに、最初は違和感を持つが、
映画を見ているうちに、
「衝動」というのは、
脳内では「子供的」な部分であるということが解ってきて、
それ以降は桜田ひよりの演技を楽しむことができた。
天使のように脳内を飛び回る演出も、
12歳の桜田ひよりだからこそできたシーンであったと思う。
昨年(2014年)、ドラマ『明日、ママがいない』に出演し、
児童養護施設に暮らす子どもたちの一人を演じていたが、
現在は、
EXILEのボーカルTAKAHIRO主演の『ワイルド・ヒーローズ』に、
五嶋日花里役で出演している。
期待の新人女優と言えるだろう。
この他、
「記憶」担当の岸を演じた浅野和之が、
さすがと言えるベテランの演技で作品を締めていた。
優柔不断ないちこが、その都度下す判断には、
映画を見る側にとってはイライラ感が「なきにしもあらず」であるが、
最後に下す判断には、爽快感があった。
映画館で、ぜひ。
【蛇足】
2015年7月18日公開予定のディズニー映画『インサイド・ヘッド』が、
本作『脳内ポイズンベリー』と設定がソックリ。
田舎町に暮らす11歳の女の子ライリーは、父親の仕事の影響で都会のサンフランシスコに移り住むことになる。新しい生活に慣れようとするライリーの頭の中では、ジョイ(喜び)、アンガー(怒り)、ディスガスト(嫌悪)、フィアー(恐れ)、サッドネス(悲しみ)たちが、ライリーの幸せのためという強い気持ちが原因で衝突していて……。
という物語。
脳内の5人の擬人化した感情のキャラクターという設定はほとんど同じ。
こんな偶然ってあるのだろうか?