私の好きな作家の一人に、福永武彦がいる。
『草の花』『廃市』『海市』『忘却の河』『死の島』など、魅力的な作品が多い作家だ。
彼の作品の中に、それほど有名ではないが、『あなたの最も好きな場所』という印象深い短編小説がある。
河出文庫の『幼年』という作品集に収められていたが、この文庫は長く品切れ状態が続いているので古書店で探すしか方法はないかもしれない。
『福永武彦全集』の第7巻にも収められているので、図書館で読むのという手もある。
この短篇は、次のような書き出しで始まる。
君を連れて行きたい場所があるんだ、と男は言った。どうだろう、僕と一緒にそこへ行ってみないかい?
ええ、いいわよ、と女は答え、眼をくるくると動かした。どういうところなの? 此所から遠いの?
書き出しからして、読者を惹きつける磁力のある小説だ。
小説の内容まで書いてしまうと作品を読む楽しみを削いでしまうと思うのでここには書かないが、内容と同様に、この短篇小説のタイトルも実に魅力的だと思うのだがどうだろう?
なぜこんな話をするかというと、今回のレポのタイトルを考えている時、この小説のタイトルが突然浮かんできたからだ。
一ヶ月ほど前、ある山友に、
「山岳会の5月の月例山行で、球磨川源流に行くんだ」
と話すと、その山友は、
「そこには以前行ったことがあるけど、とっても良い所でしたよ。私の好きな場所です」
と答えた。
球磨川源流行は山頂を目指すものではないので、参加については「どうしようかな?」と思っていたところだったので、その山友の勧めはこの山行に参加する決め手となった。
その山友の「最も」好きな場所なのかどうかは知らないが、少なくともかなり好きな場所であることには間違いないので、このレポのタイトルには、福永武彦の短篇小説のタイトルをそのままを使った。
早朝5時に唐津を出発したマイクロバスは、10時30分に、源流行の出発地点の源流橋駐車場に到着した。
今日の球磨地方の天気予報は、「雨」。
雨にもかかわらず参加した山岳会員は20名。
+3Kさんは都合により参加されてなかったが、テツさん、イチさん、アキさん、メイビさんなど、私と親しいいつものメンバーは参加されており、嬉しかった。
雨はすでに降り出しており、木陰で急いで雨具を装着した。
11:50
源流橋駐車場を出発。
11:03
不思議な形の杉の巨樹に遭遇。
奇妙な枝ぶりに唖然とし、しばし魅入る。
やや荒れ気味の谷。
いくつかの谷を横切る。
11:23
危険ルートと安全ルートの分岐にさしかかる。
ここで、危険ルート15名、安全ルート5名に分かれる。
私は危険ルートを選択。
危険ルートとなっていたが、注意して歩けば問題なかった。
雨は強弱を繰り返しながら絶えず降り続いていたが、雨の中の山歩きも楽しかった。
新緑がことのほか美しい!
途中、いくつかの滝があった。
雨音、それに滝の音が、私の耳朶を洗い続けた。
12:15
球磨川水源に到着。
短時間で着いた為、なんだか呆気なかった。
水源には石碑がいくつも建っていた。
石碑の下から湧き出る水。
〈球磨川はここから始まるのだ〉
そう思うと、感慨深かった。
激しい雨の為、昼食は下山後に、マイクロバスの中で摂ることになった。
この水源の水で珈琲を飲もうと、ガスバーナーとガスカートリッジを持ってきていたが、ちょっと残念!
ペットボトルに水源の水を汲んで帰り、家で珈琲を飲むことにした。
皆も水源の水をお土産にしていた。
水源の場所から下を見ると、こんな感じ。
天気が良ければ、ずっとここにいたいと思わせるような素晴らしい場所だ。
あなたが「好きな場所」と言ったのが、とてもよく解った。
今日からは、私にとってもここは「好きな場所」になった。
12:28
球磨川水源を出発。
今度は、安全ルートで戻ることにする。
ヤマシャクヤクの花はすでに終わっていたし、この時期、花は少なかった。
目立っていたのはフタリシズカ。
雨に濡れ、ヒトリシズカの葉のように光沢のある葉になっていた。
新緑、それに仲間とのお喋りを楽しみながら、ゆっくり下る。
13:31
源流橋駐車場に戻ってくる。
雨の中の山行であったが、実に楽しかった。
新緑に彩られた谷は美しかったし、雨に打たれていると山の精気を絶えず注入されているような錯覚に陥った。
指の先まで緑に染まっていくようであった。
帰路、五木温泉で疲れを癒し、道の駅「五木」で土産を買った。
帰宅後、さっそく球磨川水源の水で淹れた珈琲を飲んだ。
実に美味しかった。
脳裏に球磨川源流の新緑の谷が蘇り、耳の奥で沢と滝の音が響いた。
『草の花』『廃市』『海市』『忘却の河』『死の島』など、魅力的な作品が多い作家だ。
彼の作品の中に、それほど有名ではないが、『あなたの最も好きな場所』という印象深い短編小説がある。
河出文庫の『幼年』という作品集に収められていたが、この文庫は長く品切れ状態が続いているので古書店で探すしか方法はないかもしれない。
『福永武彦全集』の第7巻にも収められているので、図書館で読むのという手もある。
この短篇は、次のような書き出しで始まる。
君を連れて行きたい場所があるんだ、と男は言った。どうだろう、僕と一緒にそこへ行ってみないかい?
ええ、いいわよ、と女は答え、眼をくるくると動かした。どういうところなの? 此所から遠いの?
書き出しからして、読者を惹きつける磁力のある小説だ。
小説の内容まで書いてしまうと作品を読む楽しみを削いでしまうと思うのでここには書かないが、内容と同様に、この短篇小説のタイトルも実に魅力的だと思うのだがどうだろう?
なぜこんな話をするかというと、今回のレポのタイトルを考えている時、この小説のタイトルが突然浮かんできたからだ。
一ヶ月ほど前、ある山友に、
「山岳会の5月の月例山行で、球磨川源流に行くんだ」
と話すと、その山友は、
「そこには以前行ったことがあるけど、とっても良い所でしたよ。私の好きな場所です」
と答えた。
球磨川源流行は山頂を目指すものではないので、参加については「どうしようかな?」と思っていたところだったので、その山友の勧めはこの山行に参加する決め手となった。
その山友の「最も」好きな場所なのかどうかは知らないが、少なくともかなり好きな場所であることには間違いないので、このレポのタイトルには、福永武彦の短篇小説のタイトルをそのままを使った。
早朝5時に唐津を出発したマイクロバスは、10時30分に、源流行の出発地点の源流橋駐車場に到着した。
今日の球磨地方の天気予報は、「雨」。
雨にもかかわらず参加した山岳会員は20名。
+3Kさんは都合により参加されてなかったが、テツさん、イチさん、アキさん、メイビさんなど、私と親しいいつものメンバーは参加されており、嬉しかった。
雨はすでに降り出しており、木陰で急いで雨具を装着した。
11:50
源流橋駐車場を出発。
11:03
不思議な形の杉の巨樹に遭遇。
奇妙な枝ぶりに唖然とし、しばし魅入る。
やや荒れ気味の谷。
いくつかの谷を横切る。
11:23
危険ルートと安全ルートの分岐にさしかかる。
ここで、危険ルート15名、安全ルート5名に分かれる。
私は危険ルートを選択。
危険ルートとなっていたが、注意して歩けば問題なかった。
雨は強弱を繰り返しながら絶えず降り続いていたが、雨の中の山歩きも楽しかった。
新緑がことのほか美しい!
途中、いくつかの滝があった。
雨音、それに滝の音が、私の耳朶を洗い続けた。
12:15
球磨川水源に到着。
短時間で着いた為、なんだか呆気なかった。
水源には石碑がいくつも建っていた。
石碑の下から湧き出る水。
〈球磨川はここから始まるのだ〉
そう思うと、感慨深かった。
激しい雨の為、昼食は下山後に、マイクロバスの中で摂ることになった。
この水源の水で珈琲を飲もうと、ガスバーナーとガスカートリッジを持ってきていたが、ちょっと残念!
ペットボトルに水源の水を汲んで帰り、家で珈琲を飲むことにした。
皆も水源の水をお土産にしていた。
水源の場所から下を見ると、こんな感じ。
天気が良ければ、ずっとここにいたいと思わせるような素晴らしい場所だ。
あなたが「好きな場所」と言ったのが、とてもよく解った。
今日からは、私にとってもここは「好きな場所」になった。
12:28
球磨川水源を出発。
今度は、安全ルートで戻ることにする。
ヤマシャクヤクの花はすでに終わっていたし、この時期、花は少なかった。
目立っていたのはフタリシズカ。
雨に濡れ、ヒトリシズカの葉のように光沢のある葉になっていた。
新緑、それに仲間とのお喋りを楽しみながら、ゆっくり下る。
13:31
源流橋駐車場に戻ってくる。
雨の中の山行であったが、実に楽しかった。
新緑に彩られた谷は美しかったし、雨に打たれていると山の精気を絶えず注入されているような錯覚に陥った。
指の先まで緑に染まっていくようであった。
帰路、五木温泉で疲れを癒し、道の駅「五木」で土産を買った。
帰宅後、さっそく球磨川水源の水で淹れた珈琲を飲んだ。
実に美味しかった。
脳裏に球磨川源流の新緑の谷が蘇り、耳の奥で沢と滝の音が響いた。
水も清らかで、あの水で淹れるコーヒーは最高でしょうね。
雨の日もしっとりとした雰囲気と独特の風景ををみせてくれますよね。
違う世界に行ったような気さえします。
なんだか お邪魔します という気持になるのは私だけかな。
美しい緑と水に癒された一日でしたね。
屋久島の苔むした「もののけの森」を連想しました
太鼓岩まででしたが屋久島の雰囲気と重なります特に雨天だからでしょうか
コーヒーのおいしそうなこと
器がまたいいわ~
おかんもこれからインスタントコーヒーでも飲んで石垣島まで遊んできます
僕は雨に躊躇して結局雲仙にも行きませんでした。
見帰りの滝のマイナスイオンと庭のツツジや梅の木に少し癒やして貰いました。
でも大きな感動は足を運ばないとダメですね。
山に行けないときの違う楽しみ方、リフレッシュ法も勉強しないといけませんね。
>美しい森ですね。
晴れた日の新緑もイイですが、雨の日の新緑も素敵でした。
沢沿いのルートで、滝が連続し、楽しく歩くことができました。
>水も清らかで、あの水で淹れるコーヒーは最高でしょうね。
実は、帰りのマイクロバスの中では、さっそく球磨焼酎の(湧き水による)水割りを楽しんでました。
これが実に美味しかったです。
勿論、帰宅後の珈琲も最高でした。
>雨の日もしっとりとした雰囲気と独特の風景ををみせてくれますよね。
>違う世界に行ったような気さえします。
>なんだか お邪魔します という気持になるのは私だけかな。
私は雨の日の山歩きも好きなので、天気予報で「雨」と知った時、ちょっと喜んだくらいです。
たしかに雨の日の山は違いますよね~
独特の雰囲気があります。
雨と沢と滝で、マイナスイオンたっぷり。
なんだか山にすっぽり包まれているような感じでしたね。
>美しい緑と水に癒された一日でしたね。
雨の日の昨日は、球磨川源流に、我々の他に歩く登山者はなく、たっぷり深い森に浸ることができました
身も心も歓びを感じた一日でした。
>ヤマシャクャクの終わった後の姿もタクさん昨日の雰囲気が伝わって参ります
ヤマシャクヤクは終わってましたが、それがまったく気にならないほど、山にたっぷりと浸ることができました。
写真ではなかなか表現できないのですが、ちょっと神秘的な山の雰囲気を楽しんできました
>屋久島の苔むした「もののけの森」を連想しました
>太鼓岩まででしたが屋久島の雰囲気と重なります特に雨天だからでしょうか
雨の日の森は、植物たちがイキイキしていて、晴れた日の森とはまったく違った雰囲気ですよね。
アニミズムを感じると言いますか、聖なるものに触れているような気になります。
そういう意味で、屋久島の森と似たところがありますね。
>コーヒーのおいしそうなこと
>器がまたいいわ~
湧き水で淹れたコーヒーは格別でした。
本当は、森の中で飲みたかったのですが、それは次の機会にとっておきましょう。
>おかんもこれからインスタントコーヒーでも飲んで石垣島まで遊んできます
石垣島ですか~
イイですね~
レポ、待ってますよ~
>雨の日は雨の日なりの楽しみ方がありますね。
昨日は、+3Kさんが参加されてなくて残念でした。
片道5時間ですから、帰りのバスの中は当然宴会に……
+3Kさんの監視がないこともあって、テツさんが大暴走
テツさんはたぶん覚えていないと思いますが、テツさんの独壇場でした。
テツさんの強力な誘導もあって、アキさんが初めて歌いましたよ~
アキさん個人としても、人前で歌うのは3年ぶりだったとか……
+3Kさんも聴きたかったでしょう
>僕は雨に躊躇して結局雲仙にも行きませんでした。
>見帰りの滝のマイナスイオンと庭のツツジや梅の木に少し癒やして貰いました。
>でも大きな感動は足を運ばないとダメですね。
雨の日でも、山に足を運ぶと、何かイイことがありますよね。
山の神様の御褒美があります。
なにより、雨の日は、山全体に生命力が漲っているのがイイですね~
>山に行けないときの違う楽しみ方、リフレッシュ法も勉強しないといけませんね。
私の場合は、山、映画、読書が三本柱です。
強い雨で、山に行けない時は、映画を見るか、本を読んでますね~
山の雑誌を見たり、次の山行の計画を練ったりするのも楽しいですね。
楽しみにしていた水源でのコーヒー 雨の為にコンロが使えず、残念でしたね。
「水源」とは渇水の時でも、涸れることが無い湧水 とのことですが、長崎県にはこのような立派な「水源」はないように思います。 山も低くあまり深くもありませんので納得ですが… 以前訪れた白川水源にも驚きました。
〉指の先まで緑に染まっていくようであった。
〉脳裏に球磨川源流の新緑の谷が蘇り、耳の奥で沢と滝の音が響いた。
新緑の球磨川の素晴らしさが、伝わってまいります。なんだか私の指先まで、緑に染まりそうです。
球磨川の源流は一ヶ月ぶりの月例山行で楽しめました。帰りのバスでアキさん本当に歌ったのですか?僕も聞きたかったな~。いつもながら金立SAで何を食べたかがいつも思い出せません。バスにはまた忘れ物をして、誰かが届けてくれました。皆さん本当に有難うございます。こんな僕ですが、また行きましょう。体力気力が充実したところで、山を長時間歩くと何故だか体が喜ぶような気がします。近場のロングを梅雨前にやりましょう。
>楽しみにしていた水源でのコーヒー 雨の為にコンロが使えず、残念でしたね。
珈琲だけでなく、湧き水でラーメンも作ることにしていたので、それもできなくて残念でした。
それでも帰宅後に自宅で実現できたので、それでよしとしましょう。
>「水源」とは渇水の時でも、涸れることが無い湧水とのことですが、長崎県にはこのような立派な「水源」はないように思います。
>山も低くあまり深くもありませんので納得ですが…
ただの湧き水ではなく、日本三大急流のひとつ「球磨川」の「みなもと」ですからね。
ここから「球磨川」が始まると思うと、本当に感動でしたよ。
>以前訪れた白川水源にも驚きました。
私も以前訪れたことがありますが、あそこもすごい湧き水でしたね。
スケールが違いました。
>>指の先まで緑に染まっていくようであった。
>>脳裏に球磨川源流の新緑の谷が蘇り、耳の奥で沢と滝の音が響いた。
>新緑の球磨川の素晴らしさが、伝わってまいります。なんだか私の指先まで、緑に染まりそうです。
球磨川源流を辿る沢沿いの道は、とても素晴らしかったです。
落葉樹も多かったので、秋の紅葉の時期に訪れるのもイイかと思います。
その時には、指先まで紅く染まるかもしれません。
>昨日はお疲れ様でした。体のほうも元気になられたようで何よりです。私も腰の痛いのは最近の山歩きで直りつつあります。
私も方も徐々に回復しております。
ゆっくり山に体を慣らしていきたいと思っています。
>球磨川の源流は一ヶ月ぶりの月例山行で楽しめました。
>帰りのバスでアキさん本当に歌ったのですか?
>僕も聞きたかったな~。
え~、覚えてないんですか~
やっぱりね~
アキさんに歌うように強要したのはテツさんですよ~
それにメイビさんにも……
次々に指名して歌わせていたんですよ~
>いつもながら金立SAで何を食べたかがいつも思い出せません。
バスの中で、テツさんがマイクを持って前に行って司会を始めた頃から、皆で「このあたりからテツさんはもう記憶が飛んでいるよね」と言ってました。
>バスにはまた忘れ物をして、誰かが届けてくれました。
奥さんには叱られませんでしたか?
それを心配しておりました。
>皆さん本当に有難うございます。
>こんな僕ですが、また行きましょう。
テツさんのおかげでアキさんやメイビさんの歌が聴けました。
次回も司会進行よろしくお願いします。
>体力気力が充実したところで、山を長時間歩くと何故だか体が喜ぶような気がします。
>近場のロングを梅雨前にやりましょう。
そうですね~。
あっ、耳納連山のことかな?