シダックス福山多治米クラブ(カラオケ)前から南方を望む。道路の向う側、民家の間に見える石造物が「五本松法界塔」である。江戸時代の御仕置場跡地近くに高確率で存在する「髭題目碑」と言った方が分かりやすいかもしれない。
法界塔は「
五本松の観音堂」から南東へ約30mの位置(旧鷹取川左岸堤防上)に建っている。メイン道路から少し離れた場所なのであの世へ旅立つ迄に気付かない人も多いのだが、間近で眺めると立派な造りである。詳しい経緯が『福山市多治米町誌(平成五年・一九九三)』に書かれてあるので引用しておく。
五本松法界塔
西の荒神社から五本松寄りの家と家との間奥まったところに『法界さん』が立っている。高さは台座を含めて一丈(二、八四メートル)近い石塔である。その位置は昔から動いていないと思うが、元堤防の一角であった。正面には独特の文字で、『南無妙法蓮華經』と刻まれている。この文字を『髭題目』という。吉津村妙政寺住職の筆と聞く。文化十四年(一八一七)丁丑十一月と側面に、反対側の面には『近邊信者中』ある。かつて『水呑千軒まる法華』といわれ、日蓮宗に大部分属していた。多治米村には水呑村移住者が多くあった。近辺信者中とあるように、当村の人もいたかも知れないが、水呑村の信仰団体『題目講』が中心で建立したものであろう。ちなみに水呑村の一番古い法界塔は正宝三年(一六七四)というのがある。(水呑町史)
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