↑N目君のXLRで初めて坂内2DAYS EDに出た時のグラフィック。本人が目の前にいないのをいい事に暴走。勝手にフレームの不要なブラケットを切断して黄色に塗り、ノーマルマフラーは無断で爆音に改造。仕上げにタンクを塗り替えたかったのだが、さすがにココで良心が咎めて、純正のロゴが丁度隠れる様にマーキングFILM貼り。現在の俺のXR250にも継承される事となる「馬邪」(バハ、と読む)はここで産まれたネーミング。N目君が仕上がったXLRを初めて目の当たりにした時、余りの変わり果てた姿に文句も言えなかった様だ(爆)。
前回はザッと手作業の方法と材料について触れたが、今回はPCでの作業。
デザインとかグラフィックのソフト(動画ではなく静止画用)は大別して二種類。
ドローソフトとペイントソフトである。結論から言えばカッティング用のデータを作成する為にはドローソフトが必要になる。
ドローソフトというのは線を引いて作画するためのソフトである。例えば正方形。コレは各角となる四つの点を、線が結んでいる。ペンや鉛筆でコレを書くと、点にも線にも巾が発生するが、ドローソフトの場合は少なくともデータ上では巾は「0」である。画面上では見えなくては意味が無いので、ちゃんと巾がある状態で表現されている。点と線、その位置関係やサイズがハッキリとしており、所謂「図面」と言う物はこの形式である。「ベクトル画像」とも呼ばれたりする。
それに対してペイントソフトは点(厳密には四角)、というかドットの集合体がデータになる。要するに写真の事である。カメラで撮影した写真ではなくイラスト等でも、データ的には写真と同じ物もある。Web上で見掛けるイラストは、ほぼ全てがコレだ。※ベクトル画像がPDFファイルに貼り付けられている事もある。
・ ・・そんな事みんな知ってるか。スミマセン。
参考ついでに言えば、このブログでは時々Illustratorで制作したイラストを使用しているが、アレは全てドローデータとして制作した物を画像(ペイント形式)に変換した物である。※解り易い表現をすれば、画面をデジカメで撮影した様な物。Illustratorのファイルのタブには「Web用に保存」という項目があり、制作したデータを一発でHPやブログ向きに変換可能。
俺が看板屋に就職した時はまだ普及型のWINDOWSが無かった(と、歳がバレる…)。クリエイティヴ関連の仕事ではMacの独壇場。そんな時代背景であったので、使用するソフトは業務用に開発されたカッティング専用ソフト。なのでデザイナーがMacを使って制作したデザインをプリントしてもらい、制作時はもう一度社内のPCでデータを作り直すという、なんとも効率の悪い事をやる事もあった。偶然他社でも同じソフトを使用していない限りは、データの受け渡しという事が事実上不可能だったのだ。
WINDOWS95が発売されてから、国産のPCを取り巻く環境も変わり始めた。業務用ソフトにも改良が加えられ、Macのフォーマットを読み込む為のソフトを入れれば、Macのデータも使える環境が出来始めたのだ。
この頃のWinはMacユーザーからエラくバカにされていた。Adobe(アドビ) Illustrator(イラストレーター)やPhotoshop(フォトショップ)がバージョンアップしても、Win版はMac版よりもかなり遅れてリリースされていたのと、「クリエイティヴワークにはMac」という図式(呪文?)がかなり根強く、「Winは性能が悪いからMacのデータが読めない」という程の言われ方をされていた。世の中も随分変わったモンだ。
WinとMacの優劣については触れないが、俺は合理主義なので完全にWin派である。
Win版のIllustratorが一般化した事で、カッティングシステムに価格破壊が起こり始めた。カッティング専用ソフトが30万円から100万円位の価格帯の中で50万円程度の物が主流であるところを、最近ではカッティングプロッタを買うと、Illustratorにプラグインするソフトが標準添付されてくるのである。IllustratorはCAD的な数値入力に弱いという欠点があるので、我社では業務用ソフトも併用している。だが今現在どんどんカッティングの仕事量は減っているので、いずれは使わなくなる気がしている。
カッティングは「切り抜く」という物理的加工のみなので、一定以上の品質の材料を用いて、セオリー通りの施工をすれば、誰がやっても変わらぬ仕上げが望める(下手な人間がやっても赤いシートが青くなってしまうとかの極端なトラブルは無い)。印刷物に比べてカチッとした見栄えも魅力である。
カッティングマシンでフィルムをカットする場合、ドローソフトのデータにより点と点を結ぶ線の部分を切り抜く事になる。
ステッカー屋さんに切文字(カッティング)ステッカーの製作を依頼する場合はドローのデータがあれば手っ取り早いのだが、ペイントのデータしかない場合はそれをトレースしてドローデータ化する作業が増える事になる。(紙焼きの写真や手書きのデザイン図しかない場合は、スキャニングして画像データ化してから同じ作業をする事になる)
ドローソフトの代表格であるAdobe Illustrator(アドビ イラストレーター)やCorel Draw(コーレルドロー)は、全くの個人がステッカーを作る為に買うのは高い。他に安いドローソフトが無いかと思ってザッと調べてみた(真剣には探してない…スミマセン)。結果、2000円程度のドローソフトやフリーのドローソフトは数点見つかったが、残念ながらIllustratorにコンバート出来るソフトは無い様だ。
強いて言えばJW-CAD。コレは工務店等で好んで使用されるフリーのCADソフトだが、DXFで保存すればIllustratorでも開く事が出来る。ただ、コレで切文字のデザインをするのは至難の業だなあ(爆)。仮に作れたとしても、DXFとIllustratorは完全互換では無い(曲線の形式が異なる)ので、あまり現実的ではない。
もしもステッカー屋さんに切文字ステッカーの製作を依頼時にドローデータの用意が出来ないならば…
第一の手段。ロゴタイプではなく、既成のフォントから製作する場合は、トゥルータイプフォント(TTF)からチョイスし、フォントデータも一緒に手渡しすれば一発である。フォントデータは、Windows系であればコントロールパネル内の「フォント」の項目から引っ張り出せる。
次に、自分で清刷り(きよずり)を作る方法。但しハッキリ言わせて貰うならば、素人がゼロから制作した文字は、まず使い物にならない(スミマセン)。自分ではきれいにできた様に見えても、文字をデザインするにはレタリングの知識と経験が必要である。一発で素人仕事である事はバレバレ。だが、依頼人が書いたデザインというのは、それがいくらヘタクソであっても最も参考になる資料である(表現がひどくてスミマセン)。それに加えて、自分のイメージに近い既存の資料を添付すればバッチリである。
現在主流のカッティングプロッタは、セットしたシートをローラーが前後に動かしながら、その上を刃をセットしたヘッドが左右に移動して動作する。※以前はドラフターの様な形式の物もあったと記憶している。動作スピードは初めて見る殆どの人が驚く位に速く、一般的な大きさ&デザインのステッカー1枚切るのにものの数秒。刃はレーザーとかではなくて、本当に刃物。当然専用の刃であり、1本約3000円。昔はもっと高かった。
↑手で持っているのは刃のホルダーで、筒状のホルダーのセンターに直径1mm位の刃が入っている。
剥離紙(セパレーター)は残してシートのみカットするように刃の圧力を調整してある。
コレをリタックシートで拾って、貼りたい面に施工する。コレはトイレのピクトサイン。