THE FOURTH PARTY

チョイ毒エッセイのようなもの。コメント欄でのやりとりはしません。用事がある人のみ書き込んでくだされ。

MD22Immortal6

2008-05-11 00:57:16 | XLR250

記事名はジョークです、ダシにしちゃって申し訳ない。
何の事かわからない人はコチラをご覧下さい。
それにしてもダシが良く出るよ、この男は。

諸々の事情でバラされたまま放置する事となってしまった(スミマセン)XLRのエンジンは、実は既に3月にバラされたままオーナーの元へと返っていた。
バラしたままとはいえ、一応今回のトラブルの原因であったバルブガイドのクリアランスに関しては対策済み。
オーナー自らエンジンを組んで、先日ロード(モタード)の走行会に出たらしいのだが、エンジンから異音を発生したため走行を断念。
某有名モタードレース出場の為に、ミャフリャーの音を絞って欲しいということで、サイレンサー加工するついでにエンジンも診て欲しいとImmortalなXLRが再び俺の前に現れた。。

Img_0373

エンジンを掛けると、なるほど。確かに聞いた事無い音がヘッドから漏れている。排気音と同じくらいの音量だ。
レンチでクランクを回すと、若干抵抗を感じる・・・。

バラしてみてビックリ。ロッカーアームフェイスがあ!!

Img_0370

当然カム山もヤッている。

Img_0364

原因を考える。
最初に気づいたのは、カムシャフトベアリングを左右間違えている事。 ※俺が油圧の掛からない左側のみ抵抗の少ないZZを使っておいた。
油圧が充分に掛からなくてカム山が焼きついたのか?・・・イヤ、俺の記憶が確かであればMD17E(エンジン形式)の最初期であるFTRは左右ともZZだったはず。コレだけですぐに焼きつくとは考えにくい。

考えた、考えた、考えた。

原因はコレかなあ。
以下、俺の280馬邪を使用してタペット調整の手順を交えつつ。 ※単なる能書きをタレるだけなので知ってる人は読み飛ばして下さい
①タイミングホールキャップと、クランクシャフトホールキャップを取り外す。
SMには指示が無いが、タペットキャップ(バルブホールキャップ)も取り外す。
やはりSMには指示が無いが、プラグも外した方が楽。
②クランクホールキャップから17mmのボックスレンチでクランクシャフトを反時計回りに回す。

Img_0385

俺の280馬邪はオートカムデコンプは付いてないが、各部のラッシュやクリアランスによる差を考慮して、必ず反時計回りのみに回している。手でクランキングさせると何となくエンジンの調子も想像できる(ホントか?)という理由もある。
MD30のオートカムデコンプは、いわばワンウェイベアリング(スタータークラッチと同じ)であり、クランクが正規方向に回転する場合は空転する仕掛け。
③ロッカーアームの動きを見ながら圧縮上死点を出す。
タイミングホールキャップの穴の奥に、フライホイールに刻まれたマークが見える。
マークは3つ。1つ目は二本線。これはアドバンスマークで、点火進角後の点火タイミング位置。2つ目が「F」マーク。LLじゃないのよ。ファイヤーです。進角前の点火タイミング。
その直後に「T」マーク。トップですな。単純にTマークに合わせりゃイイという訳ではなく、Tマークは2回に1回は排気上死点、もう1回が圧縮上死点。必ず圧縮上死点を出すべし。
④メガネレンチとマイナスドライバーでアジャストスクリューを緩め、シックネスゲージで計測しつつクリアランスを調整。ロックナットを締めるとアジャストスクリューも共回りして締まってしまい、クリアランスが変わるので注意。

Img_0388

タペットクリアランスの調整とは、バルブを正確かつ確実に開閉するために、カムとバルブのスキマを調整する事。車種によって計測場所は異なり、XLR・XR系(MD17Eエンジン)の場合はロッカーアームとサブロッカーアームの間で計測する。
クリアランスが極端に小さいとかゼロの場合はバルブが閉じきらないので圧縮漏れなどの弊害があり、逆に大きいとバルブがなかなか開かないのでパワーダウンや打音発生の原因になりますな(音が出ると言う事は部品を傷めるという事)。
クリアランス値は部品の熱膨張を見越した数値がサービスマニュアルで指示されているので、必ずエンジンが冷えた状態でやらなければ意味が無い。
それとMD17Eエンジンはロッカーアームがヘッドカバー側についているので、ヘッドカバーを外した場合は必ずタペット調整が必要になる。ヘッドカバーの締め付け具合でクリアランスが変化してしまう為である。

MD17EエンジンはRFVCというホンダ独自の形状の燃焼室形状で、バルブが放射状に配置さているのが特徴。(普通は吸気バルブ同士、排気バルブ同士は平行に並んでいる)
つまりRFVCのバルブはカムシャフトに対して直角の位置関係ではないので、動作方向を変えるためにわざわざロッカーアームが二重仕掛けにされている。
まあサブロッカーアームの方はいわば「円弧運動をするリフター」の様な物だが・・・。

以前アップした事のあるカムタイミング図。

Photo_13_2

これはMD30ノーマルと、280馬邪で使用しているHOTCAMの比較。俗に「藤沢式バルブタイミング図」というヤツ。
4ストロークの1行程を、クランクシャフトの2回転720°としてイメージ的に表した物。
圧縮上死点、図の外周0°ではIN、EXともバルブは閉じている。まあコリャ当たり前ですな、開いてたら圧縮できません。
対して排気上死点。内周の0°では、IN、EXとも開いてます。両方とも開いた状態を「オーバーラップ」と言うのだが、なんでこんな状態があるのかと言うと、排気の動きを利用して吸気の効率を高めるため。
間違って排気上死点でタペットクリアランスを調整してしまうと、本来ロッカーアームがバルブを押し下げるハズのところを、バルブが閉じたままになってしまう。
まあこれだけで済めば良いのだが、この時にカム山がロッカーアームフェイスにどのように当たるのかというと・・・
下図は正規の動き。

Cam1_2

コッチは排気上死点でタペット調整をした場合。

Cam2

真ん中近くなってからカム山がロッカーアームフェイスに当たり、一瞬の間に鋭角的に押し上げようとする。

・・・
・・・
・・・
ダシにして申し訳ない。

このスペシャル加工されたロッカーアームとカムシャフトを採用したMD22は、どうなってしまうのか?

さて、本来の目的であったミャフリャー消音、試しにXR250のノーマルミャフリャーをつけてみたら、激しくデカかった。

Img_0376

自己嫌悪に苛まれながら、出口に座金を溶接。コレでいいの?

Img_0377_2

11日晩か12日には、こちらでスペシャルXLRの運命が発表される。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

道との遭遇

2007-12-28 12:42:50 | XLR250

前回の記事は単なるネタだったのだが・・・(笑)

既に昨日の時点で今回分の作業はやってあったのだよ、フフフ。

XLRのこれまでの経緯を改めて書くと、 ※俺の視線で書いてあるので関係者方々、不愉快に感じたら申し訳ない
8月中には全てを完了するつもりで引き受けたXLRの整備だが、最初に預かったのが8月6日。チームの合宿を盆休みに行う予定だったので、ここでバラしてしまうと合宿でN目君が乗るバイクが無くなるのと、メーカーが休みに入ると部品入荷が遅れるであろう事で、敢えてバラすのを見送る。
その後もう一度N目君の所へ帰り(合宿への行き帰りの運搬の都合)、再び預かったのが9月頭。
最初からヘッドのOHをする予定だったので直ぐにバラしたら、何とエンジンオイルが入ってなかった事が判明。
そして結構膨大な量の純正部品を発注。ヘッドはエンジン屋さんへ。
完成後は当然ナラシをやらねばならないので、直ぐに組みたかったのだが、純正部品に数点のバックオーダーが発生した。純正部品が全て揃ったのが10月10日頃。俺は年間を通して9月後半から10月、11月が最も仕事が忙しいので、正直なところこの時期に重整備をやるのはかなりキビシイ。夜中の12時頃に仕事の手を止めてXLRの整備を2~3時間程度行い、その後また仕事というスケジュールを繰り返す事となった。
組み立てようとすると打ち換えたバルブガイドのクリヤランスが何故かやたらと小さい。EXはOKだが、INの2本がかなりキツい。コリャエンジン屋さんがIN側2本にバルブガイドリーマーを通すのを忘れたな、とは思ったが、時間的な問題で「まあなんとかなるだろう」と10月11日にそのまま組んだ。
が、ナラシ運転中にエンジンが止まってしまった・・・。
本番は10月20・21日。結局ムリヤリ赤の他人(東海地区のライダーには結構有名なヒトw)から拝借したスペアマシンのエンジンに積み替えて出場。
本家のエンジンはそのまま我社に放置・・・。

参考過去記事
XLRエンジン組み立て
坂内2DAYSエンデューロ・その1
坂内2DAYSエンデューロ・その2

タペットカバーを外すと・・・何とリテーナーがコッターをくっつけたままコロコロ・・・。

Epsn4889

有り得ん(爆)。

バルブがコッターの部分でポッキリと折れている。
ヘッドも外す。燃焼室は無傷。ロッカーアームにも傷は無い。

Epsn4890

被害は、なんとインテークバルブ1本のみ。エンジンが止まってしまった時に無理にエンジンを掛けなかったのは良い判断だったようですな。

バルブガイドのクリヤランスが小さいので抵抗が大きく、リテーナー辺りに負担が掛かったのだろうか。中古を使い回したのはバルブスプリングシートのみで、後は全て新品。トラブルの原因として考えられるのは、やはりバルブガイドのクリヤランスくらい。
簡単に直りそうだ。
問題はバルブガイドのクリヤランスが原因だったとして、エンジン屋さんがクレームとして受け付けてくれるかどうかだが・・・。 ※随分日にちも経っているし、判っていながらそのまま組んでいるので・・・

必要な部品はINバルブ1本とステムシール1個(リップを傷めていると思われる)、念の為にコッター2個とリテーナー1個(食いついてしまっているので痛んでいる可能性が高い)。

ちなみにタイトルは変換ミスではなくて、ワザとです。解る人には解っていただけるかとw

コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

神田川

2007-12-27 21:57:41 | XLR250

♪貴方は も~う 忘れたかしら
♪二十四色の・・・・。

ん? 二十四色のクレパス・・・ではなくて、二十四・・・時間エンデューロ。
皆様の忘却の彼方へと走り去っていった・・・

そう!!
XLR。

どーなってんの?

こーなってんの(笑)

Epsn4884

バラします。

♪小さなバルブがカタカタ鳴った

♪貴方は私を放棄して

♪「ダメダコリャ」って言ったのよ~~~~(爆)

有り得ん(笑)

Epsn4886

・・・

・・・

・・・

♪貴方は も~う 捨てたのかしら(爆)

神田川 言わずと知れた「かぐや姫」の名曲。
作詞は 喜多条 忠氏、作曲は南こうせつ氏。
以前のTV番組で「クイズ日本人の質問」というのがあって、設問の着目点と古館伊知郎氏のMCが楽しくて良く見ていた。
ここで問題になった事があるのが、この「神田川」の歌詞。
普通は女性の方がお風呂が長い筈なのに、何故に彼女の方が待たされていたのか?・・・という質問(笑)。
「神田川」は作詞者である喜多条 忠氏の実体験によるものらしい。喜多条氏は銭湯の鯉を眺めているうちに、いつも彼女を待たせていたのだそうだ。
本来はXLRの記事であるはずのところを、「俺のR35」ネタでごまかそうかと。
でも、チョビッと時代がズレてて、この曲はリアルタイムでは知らなかった。この頃はV3に夢中だったのです。

以下苦言になりますが・・・なので読みにくくしてありますw
この神田川の替え歌を歌ってやりたい相手がいます。
これ以上はここには書けませんが、もしも思い当たる方が読んでいらっしゃいましたら・・・判りますよね?(読んでねえか)
文句を言いたいだけではないのです。もしも困ってみえるなら力になりますよ。

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

エンジン一気組み

2007-10-11 13:07:19 | XLR250

やれやれ・・・。
現在我社の技術力を結集する極端に難易度の高い仕事で忙しいのだが、何やってんだか。

Epsn4234_2

写真はその製作物。コレは光源部分なので、仕上がると全て隠れてしまう部分。LEDのRGB調光(ゆっくり色が変わったり、色が流れたりする)なので、こんなに小さいのに電線が40本。タマラン。フレームはアルミ製、本体外装はステンレス(このブログでお見せするのは少し問題あるので、写真は載せません)。実はデザイナーが考えた形状にかなり無理があり、意地とプライドで引き受けた物。我社は変態看板店なので、妙なモノばかり作ってます。普通の物もあるけど。こういう物を全くの単品製作する訳なので大変であり、楽しくもあり。

さてさて、部品待ちで放置していたXLR。
痺れを切らして先週木曜日にお店にTEL(既に数度目)。すると、「スミマセン、揃ってました」。ふぬう。以下略。

現在俺は前代未聞の金欠病に侵されており、手持ちが無い。暫く引き取りに行く事が出来ず、定休日前の水曜日の閉店間際にやっと受け取る事が出来た。
そのまま一気に組み上げる。

フリクションプレートは部品統合したのであろう、異なる品番の物が来ていた。

Epsn4209

キックスピンドル横のオートデコンプの取り出し部分にイヤな物を見てしまった・・・。

Epsn4221

シリコンで埋めときます。他にもクラックがあるので、本来なら右クランクケースカバーは交換した方が良さそうですな。
シリンダーは抱きつきを起こしたままだが、ピストンリングは交換。ピストンピンも交換。
念のため圧縮上死点とTマークの位置をダイヤルゲージでチェック。問題ない。時間があればXLRのノーマルカムのカムプロフィールを計りたかったが、今回はアキラメ。

Epsn4218

バルブはMD30の物に変更したのでバルブガイドもMD30用なのだが、バルブスプリングシートはXLRの物を使うつもりで注文しなかった。ところが微妙に内径が小さく、使えない事が判明。元N造さんエンジンを部品取りにするのはイヤなのだが仕方が無い。ヘッドからもぎとって使用した。

Epsn4217

カムシャフトベアリングはチューンドby俺wの定番(?)、スプロケット側は正規のベアリング、反対側には非接触シールドを使用。

Epsn4220

トリャーッ!!と組んで、最後にカポッとタペットカバー被せてこの日はオワリ。

何度も言っている事だが、俺はキタナイバイクが非常にキライ。走っているうちに年季が入ってくるのは良いのだが、ある程度は手を掛けてやらんと・・・。
オフロードバイクのクランクケースは殆どの場合アルミ地肌。だんだん錆びてきて、泥がこびりついたりして汚くなってしまう。で、俺のオススメケミカルを紹介。大抵の場合ホームセンターの自転車用品売り場に置いてある。または工業用油製品(タッピングオイル等)と一緒に並んでいるかな?

Epsn4248

コレを塗りつけて歯ブラシでこすり、30分程度放置。水で洗い流せばかなりキレイになる。コイツの凄い所は泥が付いていようが油が付いていようがそのまま施工できる所。ただしユニクロメッキや有色クロメートを侵すので注意が必要。俺が知る限りでは写真のブランドに限らず2~3メーカーから売られているが、容器の形状と液の色は同じ。何故か価格はバラバラで300円台~500円台ってところ。

次の日(水曜の深夜)に諸々のチェック。オートデコンプのキック横の取り出しの組み付けが間違っていた。レバーを押し下げながら組むらしい。既に現在車体本体と共にキックアームは手元に無い。やっぱりサービスマニュアルは必要ですな。タペットクリアランスの調整。MD30よりもかなり数字が小さいんですな。なんでだろう? 経験的に少し広めにしておいた。
それにしてもクランクをレンチで回すと、ヤケに重い気が・・・。実はちと心配事項があったのだが、時間的な問題でそのまま組んでしまったのだ。取り越し苦労ならいいけど。

Epsn4237

交換した部品。この他にバルブやバルブガイドなどがある。

Epsn4228

当初このXLRは7月~8月に作業するつもりだったのだが、色々あって遅くなってしまった。例年今の時期が一番忙しいので、既に車体はオーナーに引き取られて行った。で、元々ミャフリャーも製作し直すつもりでお手製パンチング板も製作したのだが、お蔵入りですな。

Epsn4059

Epsn4060

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ヘッドライトのフィッティング

2007-10-04 09:00:25 | XLR250

坂内2DAYSエンデューロは24時間エンデューロであるので、当然ナイトランがある。
ナイトランがあるという事は、灯火類を装備しなければならない。ここが他のヘアスクランブル形式のレースと異なる点でもある。レースが行われる時期の問題、山に囲まれたコースである事などから、24時間の内のほぼ半分はヘッドライトを点灯しての走行となる。だからしてヘッドライトの存在を軽視すると大変な事になる。

我がチームが過去に使用したマシンは、DT200WR(当時俺所有)、XLR250BAJA(N目氏所有、今年使用するマシン)、XR250BAJA(俺所有の、現280馬邪)。この中でXRのみはバッテリーを搭載しており、灯火のフィッティングには苦労が無かった。
残る二機種はバッテリーレス。最も困ったのはDT200WR。ランツァのヘッドライトを移植したものの明け方には電装がイカれ気味となり、ライトが暗くなった為にペースがガタ落ちしてしまった。
XLR250BAJAはノーマルでは二灯式ヘッドライトだが、実はそれほど明るいライトが装備されているわけではない。一昨年にオークションにてマルカワレーシングのラリーライト(何用なのかは不明)を入手、他は全く触る事なくそのままポン付けで使用したのだが、意外と明るかった。去年はそれを俺のXRで使用した。これもまずまずの明るさであった。

ラリー等で使用する場合、ジェベル250のライトユニットを流用するのが定石のようだが、ここではフレームを製作する。

このライトは入手当初からフレームが歪んでおり、初回はそのまま無理付けして使用。去年はMD30=XR250BAJAに合わなかった事もあってフレームを作り直した。このフレームは某氏が転倒してひん曲げてしまった。

Epsn4083

敢えて指摘はしなかったが、彼が出走前は正常だったのに、走り終えた後で曲がっていたので間違いない。
さらに今年はまたXLR用にフレームを製作する。
まずは砂曲げに使用する砂を用意する。コレは会社で在庫しているセメントを捏ねる山砂。看板屋さんは、バイク屋や車屋以外で最もバイクをイジるのに適した仕事である(と思う)。金属加工をやりつつも砂を在庫し、塗装やグラフィックの製作、道工具を一通り備える業種は他にはそうそう無いだろう。つっても看板屋さんが全てそうだという訳ではなく、我社の様なのが少数派である。俺は一頃はバイクから完全に離れていたのだが、その間も「この機械を導入すれば、バイクのあのパーツが作れるぞ、ウヒャヒャヒャ!!!」という観点から設備投資をしてきたのですよ。同業種で、バイクいじりに欠かせないTIG溶接機やサンドブラストを使っている会社は少数派。旋盤に至っては一部の特殊な業態を除き、使っている所はまず無いだろう。現在も導入したい設備は数多とある。筆頭格はレーザーカッティングマシンだが、ちとコレは零細企業には荷が重過ぎる。その他は三本ローラーやMIG溶接機かな。
さて、セメントを捏ねる砂は全体的に粒度が荒く、まちまちの粒度の砂が混ざっているので、篩いに掛けて目の細かい粒度帯の砂を作る。数日間放置して(時々天日干しした)完全に乾燥させた。

Epsn3992

フレームの材料になるのはA6063の丸パイプ30φの2.0t。ちなみに何故かは詳しくは知らないが、鉄の丸パイプに限っては全てがインチサイズなのでこのサイズ(30φ)は規格に存在しない。肉厚も1.6t、2.3t、3.2t、4.5t・・・となる。丸パイプには例外的にこれ以外の肉厚も存在する。
仕事では滅多に丸パイプは使わない。アルミとなるとなおさらだ。なので去年と全く同じ材料・・・つまり、去年使った端材の余りがまだ残っていた事になる。
コイツに先に用意した砂を詰める。最初にパイプの片側に木片を叩き込んで蓋をする。

Epsn4052

Epsn4055

Epsn4058

 ※鉄やステンレスの場合はLアングルを溶接する 砂を少し入れては棒で突き、また入れて突き・・・。スリキレまで入れたらこちらにも木片を叩き込む。ここまで散々突いて詰め込んだ筈の砂。木片の蓋を掛矢(カケヤ=大ハンマー。余談だが○エローコーンのスレッジハンマーとは、カケヤの事。どーでもいいか)で叩き込むと・・・アラ不思議!! 5cm位入ってしまうのです。

今度はライトに合わせたRに曲げるための型を作る。会社に転がっていたコンパネを二枚重ねにした物を、原寸図を貼ってミシン鋸(糸鋸盤)で切り出し。

Epsn4062

コンパネの厚みは約12mmなので、二枚重ねで24mm。30φのパイプを曲げるには充分であろう。
話しは逸れるが「コンパネ」とは「コンクリートパネル」の事である。勘違いしている人が多い様だが、確かにコンパネはベニヤの一種類であるもののベニヤ=コンパネではない。何せホームセンターでも商品の札に書かれた名称にすらベニヤとコンパネの区別の無いものも見た事がある。こういうのは売る側の責任として正確な表記をして貰いたい物だ。またコンパネ=コンポジットパネル=合板の略と思われているケースもあるようだが、一般的に「コンパネ」と言う場合は、コンクリートパネルを指すのが普通。
コンクリートパネルというのは、コンクリートの型枠に使うためのベニヤ。日本国内ではベニヤってのは合板の事を指すが、実は本来は一枚板を指す言葉らしい。合板とは、本来は品質の高い一枚板がなかなか採れないのをスライスした板を何層にも貼り合わせる事で、一枚板の代替をしようとした事に端を発するが、その後一枚板よりも合板の方が強度が高く作れるという事で高い評価を得る事になったらしい。

どうも話が逸れますな。いつもの事か・・・。
で、コンパネ製の型は定盤にクランプで固定しておき、砂を詰めたパイプは酸素アセチレンバーナーで熱する。

Epsn4065

Epsn4067

アルミは鉄等と比べて融点が低いので、溶かしてしまわぬ様に慎重にバーナーで炙る。
充分に熱したら速やかに型に押し当てつつ曲げていく。アルミパイプの曲げはステンレスに比べて楽だ。

Epsn4068

冷えたら詰めた砂を出しておく。

スライド丸鋸にアルミ用のチップソーを取り付けて、台傾斜させて規定寸法で45°に切断。

Epsn4082

三又クランプのボルト位置に合わせて材料を固定し、TIGで溶接。

Epsn4084

鉄やステンレスの場合は点付けで仮固定して直角を出したりするが、アルミの場合は点付け溶接がやり難いので、俺は母材をしっかり固定しておいて一気に溶接してしまう事が殆ど。溶接箇所は面倒でも極力擦り合わせを行い、ピッタリ合わさる状態を作ってから溶接したほうが良い結果が望める。

Epsn4087

この辺りから仕事が忙しくなり始め、一時放置。しかも製作物のレイアウトが完全に三次元。光軸の問題もあるので正しい角度に取り付ける必要があるものの、現在XLRはエンジンは降ろされ、リヤ周りも外されて日本酒のケースをスタンド代わりに立てられている状態であるので光軸は完全にカンだ。加えて去年製作したフレームはライトのオーバーハングが大きく、面食らう位にハンドリングに影響があったため、今回は極力ライト本体がネックに寄った状態にしなければならない。

これ以降の作業は手順の紹介もしようがないので割愛。前出のパイプ材は全てA6063で、板材は全てA5052の4t板からコンターで切り出した。
我社の片隅に居座っているXLR、最後は現物合わせで溶接する必要があるのだが、ケーブルが僅かに短く、TIGのトーチが届かない・・・。ズルズルと引っ張り出そうとしたのだが、本来一番重いはずのエンジンが無いので、バランスを崩してバッターン!!とブッ倒してしまった。誰も見てないので黙っておこう・・・。

Epsn4159

製作したのはアルミのフレームのみで、本体と細かいブラケット類はマルカワレーシングの物をそっくりと流用。が、ゴムマウントが千切れているのを発見。

Epsn4157

このライトは本来四つ輪用の物を流用して、レンズをひっくり返して、本体ごと逆さまにして取り付ける構造。本来は下側固定されるボールジョイント的なマウントを上にして、フレームから吊り下げるようなカタチである。下側は小さなゴムでマウント・・・というか、振れ止めが為されている。コレが千切れちゃったのだ。仕方ないのでホームセンターでゴムのスリーブを買ってきて適当に作ってやった。フレーム本体は超テキトーにバフ掛けして終了。

Epsn4160

正しく光軸が出せるのかは、点灯させてみないと何とも判断ができない。またオーバーハングを小さくしようと努力した結果、ネック周りの配線の行き場が無い。ノーマルではどうだったか忘れたが、少なくともこの車両ではコンデンサー(バッテリーレッサー)がフロントにある。位置を変えてやらなければならないかも。ハイワッテージバルブが入ってた気がするが、元に戻した方がいいかも。まあこの作業はは世界のT中代表にオマカセしよう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

組み立て下準備と絵に描いた餅。

2007-09-20 21:22:38 | XLR250

えーと・・・。XLRの純正部品を注文してから1週間以上経つのだが、まだ来ねぇ。バックオーダーだったりすると、運が悪いと坂内2DAYSエンデューロ本番の10月21日にギリギリセーフ位になりかねない。筋金入りアンチホンダの俺は不本意ながら、近年パーツ供給の悪い(と風評のある)ホンダ純正部品をかなり購入しているのだが、今のところ入荷まで1ヶ月掛かった事はない。なので間に合わないって事は無いと思うのだが、現在既にかなりの仕事の予定が・・・。うおーい、早く来い、純正部品よ。

仕方ないので、部品が揃ったら直ぐに組めるように準備を進める。
ガスケット剥がし。この作業、プライベーターが行う場合に最も苦労する作業の一つであるが、俺は全く苦労した事がない。何でかと言うと、常日頃から仕事で似たような事をやっているからなのである。

Epsn4038

道具は普通ならばスクレーパーを使用するのだろうが、俺はナンとカッターナイフ一本。オルファの鋭角刃(商品名は『特専黒刃』、特選ではない)を取り付けた中型カッター(コレ自体が少数派)を弓状に撓らせながら削り取るだけ。慣れてない人は面を傷めるのがオチなのでやらないほうが良いかも。殆どの場合はこの作業の後でオイルストーンを掛けてやればOK。カッターで削り取るのが困難な場合は、ある程度ガスケットを剥がした後にスケルトン(塗装剥離剤)を塗ってやればアッサリ剥がれる。

既にエンジン屋さんからバルブガイドを打ち換えたヘッドは帰ってきているので、バルブを摺り合わせる。シートカットはエンジン屋さんでやってもらった。
以前にもこのブログに書いた事があるが、俺はタコ棒を使わない。アッという間に完了。

Epsn4039

サブロッカーアームの位置決めの為に入っているウェーブワッシャーを万力で潰してロードを落とし、フリクションロス低減を狙う。

その他、ポートの拡大研磨とかバルブポリッシュとか、やれそうな事は色々あるが、このエンジンではこのまま。大体からしてシリンダーも死んでるし。もしも次回このエンジンを開ける事があれば、スリーブ入れ替えて腰上をME08化するのが面白そうだな。で、実際にそれが可能か?・・・という事でザッと検証してみたところ・・・不可能ではない、といったカンジ。
問題になるのがカムチェーン周りの寸法やレイアウトの違い。タイミングチェーンはXLRよりもMD30の方が細い。フリクションロス低減とコンパクト化の為かな? 
写真を見てくだされい。以下の写真は全て右がMD30、左がXLR。

Epsn4064

オイルポンプは別にすると、全ての部品がMD30の方がコンパクトにできている。時々話題に上るカムチェーンテンショナーの固着だが、年式によって異なる為か、俺がバラした最初期型のMD30のエンジン2基では固着どころか完全に押し切っていた。ニギニギしてXLRのテンショナーの張力と比べてみたが、感覚的には全く張力の差を感じなかった。オイルポンプの上にあるギヤはオイルポンプのドリブン。歯数が異なるので互換性無し。せめてコレが同じならば、下に説明する作業が楽になりそうなのだが、どの年式の物でもダメ。カムスプロケットについてはまどろっこしくて理解し難いこちらの記事をどーぞ。
タイミングスプロケットはMD30の方が巾が狭い。そしてチェーンラインがエンジンの中央に寄る事となる。以前の記事でカムスプロケットの位置がカムシャフトに対して異なる事は紹介したが、腰上をMD30又はME08にすると必然的にタイミングスプロケットもMD30又はME08用を使用する事となる。

Epsn4040

で、MD30はタイミングスプロケットの隣にギヤが二枚。コレは大きい方がプライマリードライブギヤ(一次減速を行う)。小さい方がオイルポンプのドライブギヤ。
対してXLRではギヤが一枚。プライマリードライブギヤがオイルポンプドライブギヤを兼ねている。XLRにはパルスローターも共締めされる。

Epsn4044

クランクシャフトのスプライン部分の長さはXLRの方が約2mm長い。感覚的にはパルスローターの厚みの半分くらいの差。プライマリードライブギヤの厚みは同じ。なのでプライマリードライブギヤを二枚用意して、旋盤かフライスで削って厚みを減らしてスペシャルオイルポンプドライブギヤを作れば(治具が必要になるので面倒臭そう。しかも多分、二枚とも削らなければならない)、腰上の載せ換えは可能と思われる。
果たしてそこまで苦労する価値があるか?・・・という事になるが、改良された部品が使えるとか、パーツの選択肢が広がるって所がメリットか?
MD22の純正部品はまだそれなりに普通に出るみたいだが、万が一廃盤になった時の逃げには有効かもしれない。

コメント (10)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

XLRエンジン部品チェック&MD30との比較

2007-09-15 10:05:03 | XLR250

開けたエンジンの中身の状態は予定通りでは無かったが、予定通りヘッドをオーバーホールする。その為に真っ先に必要となるバルブ4本とバルブガイドとOリングは、先日オーバーホールしたリヤサスの部品と一緒に入手してあった。

Epsn4009

バルブを外すと、完全にベタ当たり。前回のオーバーホール時は当たり巾はギリギリ我慢できる限界で、予算の都合で見送ったのであった。
エンジン屋さんに嫌がられないようにクリーニング。手でシコシコやるのは大変なので、ブラストで一気に落とした。

Epsn4010

時間がなくて慌てており、返ってきたらキッチリやるつもりで今回は適当。

一見MD30と同じように見えるヘッドだが、まずプラグが違う。XLRはNGKで言えばD型で、MD30はC型(細い)。穴を小さくしてヘッドの割れを防止する為か? 次にカムチェーントンネルの形状。並べて写真を撮るのを忘れてしまった。

Hed

コレはXLRの方が太いカムチェーンを使用しているのと、MD30にオートカムデコンプがある為と思われる。 ※割れや変形防止のため?少しでも肉厚を増やそうとしているような雰囲気・・・? MD30にはXLRのヘッドは載るかもしれないが、逆はそのままでは無理っぽい。削ればなんとかなるかも。 ※いずれも未確認なので、もしチャレンジされる方はご自身で事前確認をお願いします。 もう一つはバルブのステム径。MD30の5.0mmに対してXLRは5.5mm。バルブの材質改善によるものと聞いた記憶があるが、定かではない。ついでにバルブガイドも長さが異なるようだ。確認のために一本抜いてみた(ちょっと失敗してエンジン屋さんで指摘を受けたが、ギリギリ問題ないようだ)。

Epsn4011

短い方がMD30用で、ポートへのガイドの飛び出しも少なくなる。折角ガイドを打ち替えるのでMD30の物へ変更。その他、ヘッド本体の材質などについては判らない。

ヘッドカバー内は組み違いのサブロッカーアームを入れ替えるのみ。他は問題ない。MD30との違いは「RFVC」の文字の有無。MD30で文字がなくなっているが、代わりにフィンが一枚追加されている。 (左がXLR、右がMD30)

Epsn4023

MD30にはてっぺんにフレームのオイルタンクへと繋がるブリーザーがある。それとデコンプの取り出しの有無。MD30はセルスタート時にワンウェイクラッチの作用をする仕組みになっているが、XLRはデコンプがワイヤーを介してキックに連動する。好みもあるかもしれないが、加速ポンプ付きのキャブのせいもあってXLRのデコンプは不便だ。俺はマニュアルの方がいいな。

(左がXLR、右がMD30)

Epsn4022

ドライバーで指しているロッカーアームは、デコンプで押される為にカタチが異なる。

Epsn4026

(上がXLR、下がMD30)

カムシャフトは良ーくみると、MD30の方がカム山同士の間隔が狭い。右側の二つが左へ詰められている。この為、サブロッカーアームは両車共通のようだが、ロッカーアームは4本共異なるようだ。

カムスプロケットがボスに対しての位置関係も違う。MD30の場合は車体右側にあるボスに対して右面に付けるが、XLRはボスが一度スプロケットを通り抜け、スプロケットは左面に取り付ける構造。この為MD30はスプロケットの真ん中に丸い穴が開いているだけだが、XLRはME08のような形状の、ボスが通り抜けれるだけの肉抜きが施されてる。

XLRはそろそろ純正部品も怪しくなってくる頃だし、社外パーツもME08やMD30用の方が多いだろうから、タイミングスプロケット(クランクシャフトの方。XLRとMD30では品番違う)からゴソッとME08に入れ替える事が出来れば、結構いいエンジンが作れそう。FTRなんかもそうですな。この後もしも余裕があれば試してみます(期待薄・・・)。

今回はクランクケースは割らない。ちょっと不安だが・・・。コンロッド大端やクランクシャフトベアリングは、手で回したが特に問題ないようだ。メインシャフトやカウンターシャフトも大丈夫そう。
MD30とXLRの最大の違いが腰下。ご存知の通りMD30やME08はドライサンプだが、XLRはウエットサンプ。クラッチプレートはMD30と共通。フリクションプレートは面部分のデザインが異なる。一次減速比も同じなので、クラッチハウジングごと相互に使えそうには見えるが、確認してない。(左がXLR、右がMD30)

Epsn4020

手で持っているレリーズのベアリングがXLRではニードルだが、MD30はボールベアリング。
MD30ではピックアップコイルがクランクケース左側にあり、フライホイールがパルスロータを兼ねているが、XLRは右側にある。あと、シフトカムの形状が違うかな?

本来はクランクケースカバーを開ければダラダラとオイルが出てくるものの、このXLRは全く出てこず(爆)。傾けてやっと出てきたのが、コレだけ。

Epsn4018

総量1.6リットルは何処へ行っちゃったんだろう? 考えられるのは・・・
①漏れていた。
②入れ忘れた。またはそれに近い整備ミス。
③燃えた。
④イタズラに遭った。
⑤巨大な組織の陰謀。
6月末に長野方面へハイスピードツーリングへ行く為、前日にオイル交換。そしてその帰り道に初めてエンジンが沈黙する事となったそうだ。暫くして再始動させることができて無事生還。その後一旦ミニサーキットの走行会に参加したそうだが、この時の不具合は聞いてない。
その後に街乗りに使用したが、やはり始動困難だったそうだ。俺の所に来てからしばらくサイドスタンド状態で同じ場所に放置していたが、下にオイルのシミが出来ると言うような事はなかった。エンジン内部にも、短期間に大量のオイルが燃えた痕跡は無い。①とか③だったりすると、対策を施さないとまた同じ事が起こり得る。俺は②と推測(『希望』を含む)するが、本人が否定したら⑤という事にしよう。

問題のシリンダー。スリーブ入れ替えとかボーリングとかの作業そのものは(オーナーに金があれば)大した事ではないのだが、ナラシが間に合わない。少なくともメンバーにはその余裕を持つ人間はいない。なので、今回はそのまま組みます。それで大丈夫なのかって? ・・・そりゃワカラン。

Epsn4024

シリンダーはMD30とXLRは色が違うだけで同じ物に見える。

チェックの結果、このXLRのエンジンでイカレてたのは・・・
①シリンダー(何故か横傷)
②カムシャフトベアリング(片方のみ)
③クラッチ周り
④カムチェーンの伸び
⑤バルブのアタリ

さて。
現在の俺のXRに積んでいるエンジンは、スペアとしてオークションで入手したもの。ところがこのエンジンは、なんと焼き付いていた。写真は当時の物。

Epsn1467

シリンダーとピストンが焼き付いていたが、そもそもは恐らくピストンピンが先に焼き付いた為にピストンが首を振らなくなり、結果としてピストンとシリンダーが逝ったものと思われる。因果関係は不明だが、ミッションが虫食い状態で、クランクケース内部のベアリングの嵌め合いが全てユルくなっていた(その時点では共周りした形跡は無かったものの、280にボアアップした後に一度開けたら共周りした跡が見られた)。憶測だが、これもエンジンオイルが無い状態でブン回したんじゃないかなあ。

対して、ここで写真に出てくる既に分解されているMD30のエンジン。コレはもともと俺のXRに載っていたノーマルエンジンで、通称「元N造エンジン」。このN造さんというのは俺のXRの元オーナー。以前はバイク屋のメカだった人だが、非常に大雑把な人だ(スミマセン)。15年以上の付き合いがあるが、間違っても高いオイルを入れる人ではない。恐らく重機用オイルなんかを入れていたと思われる。もしかすると職権乱用して4CTを入れていたかも(そんな話を聞いたような・・・)。ただし、オイル交換くらいはコマメにやっていた筈である。エンジン内部はこのXLRと比べるまでもなく、非常にキレイ。

こうして見ると改めてエンジンオイルの重要さを思い知らされる。このXLRには俺自身バラす直前に乗っているが、全く普通に走っていた(他の人間が乗った時には止まってしまい、暫くエンジンが掛からなかったそうだ)のにも驚きだが・・・。特に一番真っ先に焼き付きそうなピストンピン(焼け色が付いていていたのは事実)やロッカーアームのアタリ部分が無事なのはビックリ。耐焼き付き性に優れた↓↓↓のお陰かな・・・?

Epsn4027

俺のXR馬邪もまたオイル交換の時期だ。ついでにタペット調整もしておきます。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

XLR250の整備開始

2007-09-11 20:58:03 | XLR250

29

このXLRは多分’92年式で、実はBAJA。 ※XLRとバハでは電装が異なるそうだ
身内を何人か渡り歩いて、2002年にノンオーバーホール3万キロ(5万キロだったっけ?)の時に坂内2DAYSエンデューロに出場するために俺がオーバーホールした物だ。
アンチホンダの俺だが、何故かモンキー好き(今もバラバラのままだが所有している)。この時「XLRのエンジンはモンキーのエンジンに似てるなー」・・・と感じた。メーカー毎に異なる細かい作りの違いや、そのスピリットの違いは何となく感じ取れる。この時は時間的あるいは予算的制限が大きくて全てを出し切る事はできなかったが、コレを皮切りにアンチホンダの俺がMD17Eエンジンを積んだバイクを手に入れたくなってしまった。
既にこのXLRは3度の坂内2DAYSエンデューロを経験している。去年は色々あって俺のXRを使用したが、今回再び舞台に上がる事となった。
どうしようかと悩んだが、敢えて「XLR250」のカテゴリーを追加。ここに来て下さる方の多くはXRやXLRファンであろうかと思うし、俺自身この個体にはそれなりに思い入れもあるので。この記事TOPの写真は2002年の坂内2DAYSエンデューロの物。ライダーは俺。一応レース中なのにこの余裕。この時点で確か現役引退済みだが、まだバイクに跨れば普通に走れた記憶がある。撮影はプロに成りかけの頃の(?)N目K司氏。

いきなりエンジン下りてますが・・・。

Epsn3960

ハケ塗りフレーム。’02に俺が二液ウレタンで黄色に塗ったのを、オーナーが白にハケ塗り。
まずリヤサスのオーバーホールから着手。

Epsn3961_1

ピギーバックタイプのMD30と異なり、XLR(コレはMD22)のリヤサスはリザーバータンクがホースを介して別体となっている。バラし方は過去のと全く同じ。気を付ける事としてはスプリングアジャスターは上部からしか入らないので、一度外したら、リザーバータンクへ繋がるホースを取り付ける前にアジャスターをセットする事。

Epsn3964

写真ではスプリングアジャスターが取り付けられてない。この後、先にアジャスターを取り付けなければならない事に気付いて、エア抜き完了後にもう一度バラしたことは言うまでも無い。
もう一つは下部にある伸び側の調整ダイヤルの下に小さなスプリングが入っているという事である。俺は知らずにバラして紛失してしまったよ。MD30の場合はここの調整がロッド内部に仕込まれたニードルによって行われているが、XLRの場合はオリフィスで行われている。ダイヤルには1~4までの数字が刻まれており、オリフィスは元々設定が4段階しかない。1,2,3、4と回すと、4の次は1に戻る仕掛けとなっているようだ。

Epsn3963

砕け散ったバンプラバーは新品に入れ替え。オイルはMD30よりも多く入るようであった。

次はエンジン。俺がオーバーホールした数年後、シフトスピンドル入れ替えの為にオーナーの手によってクランクケースが割られている。この時に燃焼室がカーボンだらけだったのだそうだ。バルブステムシールが傷んでオイル下がりを起こしているのではという事で、今回はヘッドのオーバーホールが第一の目的であった。
エンジンを車体から降ろして、まず問題発生。MD30用に製作したエンジンスタンドに載らない。両車のエンジンマウントが異なる事は知っていたが、同系エンジンだから載るだろうと漠然と考えていた。スタンドが使えないのはスイングアームピボットと同軸のマウントがXLRには無いからだ。そんな訳でエンジンを降ろす時にスイングアームを外さなければならないXRに対し、XLRはスイングアームを付けたまま自立した状態でエンジンを降ろすことができる。
仕方ないのでタルキ(角材)で簡単な台を一瞬で製作。圧縮上死点を出してからバラしていく。
パカ・・・。ヘッドカバーを開けると・・・。

Epsn3972

き、きたねえ!!! オイルが真っ黒。オーナーの某氏は先月オイル交換したと言っている。そしてその後2~3回しか走ってない。どうなってんの? ついでに組み間違いを発見。サブロッカーアームが一個裏返しに組まれている。コレは犯人は俺か?
こうやって見てみると、MD30と非常に良く似てるが、実はかなり違う。互換性があるかどうかは別とすれば、細かい部品の一部を除けば殆どが異なると言っていい位。

カムチェーンテンショナーの張りを緩めようと思ったら、完全に押し切っていてバイスクリップで掴めない。仕方ないので右クランクケースカバーを開ける。(本当にヘッドのみのメンテナンスであれば必ずしも開ける必要は無い)やはりかなり汚れている。
テンショナーの弓状の部分を押してやればバイスクリップで掴めるので、クラッチもハウジングごと外す。ちなみにクラッチセンターナットはXLRでは爪で引っ掛けるタイプのスペシャルが使用されているのでSSTが必要。

Epsn3973

俺は元々モンキー用に所有していた。このナットはMD30では六角に変更されている。
クラッチを外してチラッとプレートをズラしてみたら、なんとそこは地獄絵巻

Epsn3980

クラッチプレート(金属板)は完全に焼きが入った色をしており、フリクションプレートは粘土質のカスで覆われている。え~~~~~???なんでなんで?
シリンダーヘッドも外してみる。確かにカーボンは多めだが、それほどでも・・・? ついでにピストンを下げてシリンダー内壁をチェック。
こ、これは一体・・・? シリンダー内壁の円周方向に無数の傷。完全に暗雲が垂れこめる。

この時オーナーのN目君と作業しており、俺が手を下したのはリヤサスのOHとエンジン降ろし、そしてエンジンの分解。N目君は俺がリヤサスをOHしている間にエンジンを降ろす段取りをしたり、他の部分をチェックしたり。(スイングアームのピボット部分が壊れており、中古のスイングアームを探して交換するのが良かろうかという判断となった)
作業の真っ最中は気が付かなかったのだが、この後帰宅してビール片手に考え事をしていた時にふと思った。
「そういえば抜いたオイルを見てないぞ。もしや・・・」
N目君にメールで確認すると、やはりエンジンオイルは抜いてないという。

エンジンオイルが入ってなかった!!!!

Epsn3981

さてどーする?

コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする