ドライでステッカーやデカールを貼る時の手順。
サンプルは1000*3000のFILMで、文字等の切抜き加工はしていない。単なるベタ貼り。施工する被着体は水平に置いた平面のパネル。
仕事の合間に撮影した物だが、これが切文字であろうが、曲面であろうが、垂直面であろうが基本は同じ。
①被着面を掃除する。油分が付いていると接着力が弱まるので、しっかりと脱脂する。パーツクリーナー等を使うのも手だが、俺は車両の場合は中性洗剤泡ブクブクで水洗いするのが好きだな。
水分の拭き取りはタオルでも良いのだが、緻密な作業をする場合、特にガラスFILM等の場合は、ゴム板とかでワイパー的に水を払うのが最もゴミの混入を防ぐ事が出来る。
写真は水払いに使用できるスクイジ各種。一番上はホームセンターやカー用品店等で売っている洗車用品。二番目の白いのは「カルプ」と呼ばれるプラスチックの発泡体だが、一般入手は困難と思われる。下の二つはゴム板のスクイジで、本来はシルク印刷の作業で使用する物。
②FILMを被着面に仮置きして位置を決定する。この時FILMの裏・・・つまりセパレーター(剥離紙)が被着体に触れる事になる。この時点で既にシートの裏側にゴミ等が付いていたりすると、必然的にゴミを被着面に持っていく事となるので、FILMの裏面は清掃しておく。FILMを床や地面に置くなんてのは論外。マトモな仕事は絶対に出来ない。FILMは静電気を帯びやすいので扱いには注意する事。
位置決めしたら、ズレないように布ガムテープなどで仮止めする。俺はこんな程度だったら全くその必要は無い。
③利き手側のセパレーター(剥離紙)を5~15cm程度めくり、めくったセパレーターをFILMに対して直角に、ピシッと折り曲げる。
④とりあえずセンターを指でツンとつついて、軽くくっつけておく。
⑤セパレーターを捲った側の角を、少し引っ張って仮止めする。
※施工するFILMのサイズが小さい場合はここまでする必要は無い。そうすると、アラ不思議、前記事(バイナル4)で紹介した必殺の条件を作り出す事が出来るのだ。写真では判り難いかもしれないが、皺がそういう状態になっている。
⑥左手は、FILMの左端を左に引っ張っている。すると、まだ圧着していない箇所が被着体から浮いた状態を作り出す事ができる。
⑦スクイジを持った右手は、FILMの上下の中心を基点として緩い弧を描く様に圧着をしていく。
スクイジの向き(FILMに対しての接地角度)に注目。「箒(ほうき)」の向きではなく、「スコップ」の向きになっている事をご理解いただきたい。
⑧完成。
所要時間は1分足らず。FILM施工は時間を掛ければ良い仕事が出来る訳ではない。時間が長い(作業が遅い)=糊面が宙に浮いている時間が長い…という事であり、結果的にゴミの咬み込みや不用意なFILMの伸びを引き起こしてしまう。
俺は一応?プロフェッショナルなので、この程度の大きさのFILMをドライで貼るなどは、ハナクソ。1200mm*10000mm程度までは、作業条件には因るものの、全く普通にドライで施工できる。
ちなみに使用したFILMはキャスト製品であるが、実は安物のカレンダー製品の方がコシがあるので貼りやすい。また気温が高いと、糊面がちょっと触れただけでピチョっとくっついてしまうので、寒い時期の方が緊張感は少ない。また、FILMが熱で伸びてしまう。
貼っていく途中で失敗して、一旦剥がしたい場合は、ジワーッと剥がすと伸びてしまうので、ピッと引っ張って剥がした方が良い。但し時々FILMが破れる事がある。