浅田次郎の「おもかげ」を読んだ。
著者会心の傑作という背表紙につられて読んだのだが、
なるほどと思った。
定年を迎え、送別会の帰りの地下鉄で倒れ意識を失った
エリート会社員の物語だ。
それだけなら、物語にするのが難しいくらいの物語だが、
知らず知らず、引き込まれていく。
年代などが近いせいもあるのかも知れない。
死に瀕すると三途の川があるという。私の父も若い時、
経験したことがあるという。
経験したということは、戻ってきたから言えることだ。
私は、経験があったとしても、赤ん坊の時だったのか、記憶がない。
死に瀕するとき、いろいろなおもかげを追いかける
ことになるのだろうか。
本書は、ネタバレになるので、あまり言えないが、至高の最終章を
読む価値はあると思う。
浅田次郎は、鉄道や地下鉄を舞台とした傑作を描いているが、他の
作品も読んでみたいと思った。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます