過労死予備群の「食から笑顔になる生活」

夜討ち朝駆けで仕事する日々。忙しくとも自分なりの手間をかけて、美味しく笑顔になる生活を志します。

専門料理の50年、人が目指す未来に惚れる

2016-07-11 12:56:00 | 食に関わる情報本


柴田書店の「月刊 専門料理」が、今年、創刊50周年を迎えるとのこと。それを記念して、フランス料理、中国料理、イタリア料理、日本料理の四つのジャンルで、50年を振り返る特集記事が組まれました。
これが、とても見ごたえのある特集でした。
1966年から書籍に掲載された記事に基づいて、日本で表現された料理が、年代ごとに並び、そのジャンルがどう変わってきたか、誰を目標に据えて、伸びてきたのかが伝わってきます。
写真たちが語りかけてくる、素敵なアーカイブです。



このページは中国料理の1966年からの写真です。クロムスライドからの転写ではないかと思われる写真の時代故に、エッジはたりなくとも、艶やかなアイディア、伝統を健やかに現した料理は、いま見ても見劣りしません。



こちらはイタリア料理の1972~74年。トマトソースと小麦粉を使い込むオレンジ色の世界は、いま見ると懐かしくみえます。昭和の高度成長期に、銀幕のスタァ(笑)たちの手にあった、これが先端の色だったと気づきます。

フランス料理、中国料理の層の厚みは、日本人が取り入れてきた舶来料理、特に宴会料理に望んだことを如実に現しているとも思います。イタリア料理が、宴会→パーティ(笑)という場にたち位置をもったことが、近年の質量ともに増していく過程に、みえてきます。

各ジャンルごとの50年の変遷を語る見ごたえのある本でした。
また四冊のアーカイブを並べてみると、時代の影響によって、各ジャンルが融合し、進化しあう様子もみてとれます。

写真以外の寄稿文には、現代のジャンル・リーダーと目される方の、個々の思いも綴られていて、これからも料理は様々に変わっていくだろうと、読み取れました。それを体験していきたいっと、ワクワクしました(ニッコリ)。

50年、さまざまな時代に、様々に料理が生まれ、広がり、あるものは消えていきました。これで決まりって固定された料理もあれば、変わり続けるもの、新しく生まれるものもあります。
食したら消えてしまう料理、されど記憶に残る幸せのために、日々、苦心する料理人もいます。

この本に編まれているのは、創造と表現にしのぎを削る者の姿です。
その仕事は、書籍を経て、やがて街の個人食堂へ、テレビに紹介されて、さらに家庭の食へと徐々に拡がっていったのでしょう。

現在は情報拡散はさらに早くなりました。新しい料理はネット上に現れて、瞬時に世界中に拡散されると感じます。より多くの模造品が生まれ、本質が伝わりにくくなっています。どこかで見たようなもの、奇をてらっただけのものに、残念なことに、感動しなくなってきています。
そんな今日にみるからこそ、このアーカイブに編まれた料理一つ一つが、輝いてみえます(ニッコリ)。料理人を成長させ、時代を動かしてきた料理は、いまも魅了してやみません。

料理が好きな方に、見ていただきたい、素晴らしい50年分のアーカイブとおもいます。


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2 コメント

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Unknown (Mchappykun2)
2016-07-12 02:58:06
柴田書店さんは良い料理本を何冊も出していますね。私も何冊か持っていますが、どれも料理に対する真摯な姿勢が感じられて、大切な本です。
この4冊も素晴らしいですね。ご紹介してくださって、ありがとうございました。
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Mchappykun2さんへ:ありがとうございます! (過労死予備群)
2016-07-12 13:38:58
Mchappykun2さん、こんにちは。
嬉しいコメント、ありがとうございます。

いまはamazonの相互配送が可能になったので、書籍の購入は、だいぶお楽になられたことでしょうか?
ちょっと前までは、異国で日本語の本を手にされる、特に、専門分野の本をてにされるのは、大変でいらしたろうと思います。

ええ、本当に。志のある本、私も大好きです。
長く大事に使っている、幾冊もの柴田書店の本があります。
これらの本は、お手元においていただく価値のある特集であったと思います。楽しんでくださいますように。
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