サンピエトロ大聖堂のセキュリティ・チェックには、しばらく時間がかかりました。さらに、肌の露出をチェックし、帽子や大きな荷物の持ち込みをいさめられるテント(笑)がありました。
中世の華やかさを現すスイス・ガードが護る回廊の手前を横切れば、ドムへの入り口は、すぐそこです。
未だ三時間位あるから、オーディオ・ガイドを借りようかと、一階におりました。
そこは、ドムの天蓋に上がるエレベーターのチケットを販売する場所でもありました。
エレベーターを待っている長い列をみて、いつか上がれるかしらと、ため息をつくと……。
エレベーターのチケットを販売している職員が「マダム、今日の最後のガイド・ツアーが5分後に出発します。エレベーターをおりた後、300段余りのステップをご自身で上がれるならば、ガイドがすべての説明をします。ツアーは一時間15分ほど、ただし、ツアーのメンバーの体調や混雑具合によって変わります。」と、そそることを言いました(笑)。
エレベーターのチケットだって7Euroはするのだから、人がついてくれる25Euroは、高くはないでしょう(ニッコリ)。同意して支払をすませて、スタッフに案内されて集合場所にいきました。
ま、イタリア時間ということで(笑)、全員およびガイドが揃うまで、20分弱を要しました(笑)。
英語を話す四人と、スペイン語かフランス語を話す二人と、ガイドが一人。七人で一つのパーティとなりました。
ガイドごとの周波数にあわせて、イヤホンを片耳にさして、準備OK!
まず英語で、次にスペイン語で、お互いに挨拶します。実際は小さいパーティなのでイヤホンは不要なのですが、他者に無料で情報を伝えない姿勢を示すためと、思いました(笑)。
大聖堂とシスティナ礼拝堂の位置関係を説明してくれながら、長いエレベーター待ちの列をスキップして(感謝!)、一回待ちでエレベーターに乗り込みました。
かなりのスピードで上がります。
あっというまに、大聖堂の天上テラスに到着です。外側からみたドーム!
このドームが最初に設計された時、もっと背が低く考えられたため、建設しようとしても、中心に崩れ落ちてきてしまったそうです。そこで、高さを延ばし、一回の土台部分の上に、半球に近い組み上げ形を考案できたこと、二重構造で外壁と内壁の角度を変えて作ることで、安定したドームを形成することが出来たとのこと。
ミケランジェロの時代には、実際に完成できたのは、ドームの一階部分程度だったそう。
ドームのアウトラインを聞いてから、いよいよ、内部に入ります。その前に振り返って、風景の高さを確かめておきます(ニッコリ)。
屋上テラス部分から見えるのは、まだ周囲のバチカン市国の建物トップです(笑)。
転落防止の柵まで2mちょい。見下ろせば大聖堂内部に、人が小さくみえます。
見上げれば、モザイクに彩られた天上が。立体に見える造形は、全てが平面です! 不思議な空間!
改めて見下ろせば、光を受けて輝く金や大理石、隙間なく埋め込まれたモザイク、テンペラに息をのみます。人の情念の深さに、おののく想いがします(溜め息)。
写真右端がガイドさん、他が我がパーティのお仲間です。
円陣の対岸、立体にみえる壁面の顔は、こちらのモザイクと同じ、影を宿した平面です。
複数の目に追われるようにして、内陣にたっていることに、ぞうっとします。祈りの場所の天蓋にいることを思い出します。
さらに、ここには大事な言葉がおかれています。黄色の帯に彩られた言葉。ラテン語で CLAVE(クラーベ) は鍵。「貴方は鍵をもつ」とは、救いへの道、行くべき道を決める者に対する言葉です。
法王様を選ぶ仕来たり、コン・クラーベのクラーベは、これです。鍵とは深い意味をもつ言葉で、これがドームを護っている、と聞きました。
深い感慨を共にした後、私達は階段にのぞみます。ガイドさんが、皆に注意します。息がちゃんと吸えない、立ちくらみする、等したら、端によって留まるように。決して無理をしてはいけない。今日、五回目の自分にとってはエクササイズだけど(笑)、皆さんにとって、ここはジムではない。自分のペースで上がってください、と。
内陣から外にでて、石組の階段を上がります。160段を過ぎた辺りで、ガイドさんの声がしました。「ここまでがミケランジェロの時代にたてられた基底部です。ここから二重構造の細い階段にかわります。」
内側と外側の二つのドームの間の通路は、細く、中心にむかって、傾斜して行くのが伝わるでしょうか。
二重構造のドームは、内外で独立した空間をもつことで、気象の変化と建築の経年変化に狂わせずに、今に至る、とのこと。
はるか昔、人はどうして、この知恵を得たのだろう? 人はそうしてまで、空に近づきたかったのか…?
感慨にふけるまもなく(笑)、細くなり続ける階段を昇ります。最後は垂れ下がるロープに力を預けて、螺旋階段を十段ほど上がります。
光と風を感じます。第一のドームを上りきったのです。しんがりの私にガイドさんの、大丈夫?という声が聞こえてきました(ニッコリ)。
うわぁっ! 遮るものはない空です。
二つの食の選手権に参加しています。一日一回、クリック応援していただくと、更新の励みになります。ありがとうございます。
グルメブログ 今日食べたものへ">