昨日、21日のフイールドは蒸し暑かった。日中の最高気温は22℃ほどだったが、県内では夏日を記録した場所もある。
そんな陽気のせいか、フイールドではイトトンボの初見となったし、藪蚊に襲われた初日日でもあった。オニボウフラは月初めに確認していたが成体が吸血にきたのは初めてだ。
夜はアカエイカに襲われた。顔の周りに五月蝿くまとわり付いて眠りを妨げてくれたが、結局は布団の外に出た親指に吸血されてしまった。
あんまり悔しいから朝食の腹ごしらえの後、部屋を締め切りライトは全部点けて室内を探索、洋服ダンスの上の天井に止まっていた一匹を捕獲した。拡大鏡で眺めると腹部は赤くプックリと膨れている。その罪は大きいので、急遽裁判員となり裁定処分を下した。
まあ、今日は雨、明日も雨天、暇つぶしの一駒だけど、これから椎茸の菌駒でも買いに走るか…。
瓶にさす藤の花ぶさみじかければ畳の上にとどかざりけれ 正岡子規
髪に挿すたんぽぽの茎みじかけり童の髪に留まらざりけれ
白鳥はかなしからずや空の青海の青にも染まずただよふ 若山牧水
ハクションは哀しからずやスギ花粉ブタクサ花粉言わずただ出る
うらうらとのどけき春の心よりにほいいでたる山ざくら花 本居宣長
つらつらと喉元張るも心無き呆け秀でし猿芝居かな
敷島の大和心を人問わば朝日ににほふ山ざくら花 賀茂真淵
美ら島へ大和心を今問わばあざとさにほふ紙ざくら花
フイールドの駐車場に降り立ったら直ぐ目に付いた。ツツジの枝が散乱していた。葉の萎れ具合から前日の午後の頃に棄てたものだろう。季節の折々に必ず目にしなければならない光景なのだ。
春先にバイオトイレが設置されたのはいいけど「類は友を呼び易くなった」心配が増す。2月にテレビ取材があった竹林の脇にはビール缶が転がっている。便利になるとこういう輩が増えてくる。
筍堀りに来たおりに棄てたのか、ハイカーが入って一杯やったのかは不明だけど「ムカつく」ことも事欠かない。
バイオトイレの工事で芽生えるかどうか心配していた吾亦紅の芽生えを確認できた。今度は目につきやすくなるから移植して避難を考えなければならないだろう。保全活動の中身はほとんどが人為的影響からの「保全」みたいなものだから情けないことおびただしい。
そんな日々は計画の中で動いているというより、時々刻々の事象に振り回されている感もある昨今だが、それはそれで不満ではない、のもおかしいか…。
展開したばかりの新葉は色合いも風合いも光りが当たると輝きだす。それにつられて葉を手に取ったら居たのだ。
オトシガミといえば眉をひそめるがオトシブミとは趣のある名前だ。しかし親虫はコクゾウムシみたいで「カワイイ」からはかけ離れている。
いつもは葉に振動を与えると直ぐに落下してしまうのだが 今日はジッとしていた。北よりの風が強くて葉を押さえないとピントが合わないから手に持ったのだが、逃げなかったのは寒くて日向ぼっこしていたためか、そんな訳はないか。
もう直ぐ、葉を巻いたゆりかごが樹下に散乱する頃合いとなる。中におみくじの入った似たようなおせんべいを子供の頃食べたっけ。韓国、中国にはまだあるようだ。ドラマだか映画で見た記憶がある。
ツリーハウスを作っているボーイスカウトのビーバー隊とカブ隊が活動にやってきた。今日はツリーハウスで遊ぶより大部分は筍堀りに消費していた。
今年は当たり年だから、ぐるりと見渡すだけで幼児でも 見つけることが出来るほどだ。それぞれスーパーの袋にいっぱい詰め込んで、お昼を食べた後に帰っていった。
会友のO氏は里帰りした娘夫婦のお孫さんを連れて野遊びにやってきていた。お孫さんは小生と誕生日が同じなので何となく親近感が湧く。元の職場など、顔見知りの中に誕生日が同じ人が5人いる。小生以外は女性だが、5人は珍しいかも…。
さて、フイールドではマナーの無い大人の利用者に憤慨すること多だけれども、子ども達が伸び伸び動き回っているのをみると整備してきて良かったと思える。
久しぶりに拠点が賑わった。
11日に、ようやくニホンミツバチの個体を確認できた。オオスズメバチ は未確認だ。トラップを仕掛けて三日目だが、入っているのは蛾の仲間のみ。
ニホンミツバチはレンゲ、タンポポよりサンショウの花に群がっている数が多かった。レンゲやタンポポは当たり前すぎて食べたくないのか、花粉が欲しいからなのか。
樹木が花をつけると「ウワーン」と羽音で頭が痛くなるような唸りを生ずるほど蜂が集まってくる頃も近い。集中するということは蜜源の不足の現われでもあるのだろう。
飼育種も野生種もミツバチの減少が危惧されているが、周りを見渡しても大きな群れを養うに足るほどの蜜や花粉を提供する植物や、その栽培面積が減った。
一時は国を挙げて植栽してきたニセアカシヤなどの蜜源植物は「環境破壊植物」として公共用地から真っ先に除伐されるようになっている。受粉用に導入した洋種のマルハナバチは北海道でも野生化が確認されたとか、沖縄のマングース、三宅島のホンドイタチの例を挙げるまでもなく、全てが拙速でまかなう国になった弊害はひしひしと歩み寄る。
注:4月18日にオオスズメバチに接近遭遇した。羽音は逞しくも恐ろしい。捕獲は21日。
植樹し易くするため、植栽地の笹のヒコ生えを舐めるように刈り払っていた時、笹竹の堆積した中に斑模様が見えた。「マムシか?」と思ったものの朱色の斑紋が確認できたのでヤマカガシとわかり、少しほっとする。
ヤマカガシもマムシも似たような文様で「毒がある」を主張しているかのようだけど、良く見ると精緻で複雑な文様だ。銭型はヤマメやアマゴなどの文様の系列にあるようにも思うけれど、やっぱり薄気味悪い文様なのだ。特にヤマカガシの朱色はそれを倍化させる。
体長は50cmほどだった。撮影しようと頭部の枯葉などを竹の棒で取り除いていたら、ゆっくりと移動を始めた。ケータイのカメラではピントが合うのが遅いので、良いカットは撮影できなかった。結局、斜面の笹原の中に消えた。
ヤマカガシも毒蛇なので、尻尾を掴んで撮影し易い場所に持っていくのはご遠慮したがシーズンに入って蛇は初見だ。
『花便り満ちしこの季の雪便り冷たき雨の外眺む朝』
『身に辛き夏日の後に寒波来る衣に惑う昨日も今日も』
『霜降も過ぎて夏日になりぬれば何処に居りし藪蚊群れ寄る』
『思い出す記憶の綴り明日の糧刈り草香るサンショウの精』
まだ芽吹きが見えない樹木もあるが、それは少数派になった。これからが新緑の美しい、こんなに多様な新緑が有るのかと圧倒される時期に突入する。
季語に「山笑う」があるが、言いえて妙である。山は笑い声など立ててくれないけれど、シジュウガラ、ウグイス、コジュケイ、ジュウイチ、コゲラなどは朝から大賑わいだ。
カエルの合唱はかまびすしいものがあるが、ダゴガエルの鳴き声が今日は聞こえた。昼寝しているイビキのようで面白い。
さえずりとは異なるものの、啄木鳥のドラミングも日長一日響いてくる。
でも、ジョウビタキはもう見られなくなった。代わりにサンコウチョウやホトトギスの鳴き声がもうすぐ聞こえるようになる。早いもので、もう初夏の陽気の日があるようになった。
と思っていたら突然の雪便りだ。当地も肌寒いが電気コタツは通電しなくなったし、灯油は切れてしまったから寒さとお付き合いだけど、フイールドで氷点下はなんとも無いが室温の10度は身に凍みる。
『木を植えし両手に六つ連なれり弥生三月タコつくり去る』
『山笑う苗木は減らずタコ増える』