息子の高校入学式前日。真新しい上履きや体育館履きが並べられ、マジックを持って名前を書き入れている。いよいよ入学なんだ~と感慨深い気持ちと共に「か、書きたい」気持ちが抑え切れない。でもこれまでいつも真面目に書いてこなかったので息子はペンすら持たせてくれない。以前彼のお気に入りのシャツにプリントされていた女性の顔に「鼻毛」を書いてから、すっかり信用されなくなった。「今度はちゃんと書くからさ~ねえねえ」と言っても信じて貰えない。彼の目を盗んでペンを持ち、上履きに書いているふりをしているだけで慌ててすっ飛んで来る。相当警戒されているようだ。「校則が厳しいから本当に止めてよ」と真顔でお願いされ、ペンをわざわざ遠くに置かれてしまった。
一瞬躊躇したが、ここで諦めてしまっては「親父としての存在感が無いじゃないか」とわざわざペンを取りに行き、こっそり靴の裏に小さくスマイルマークを書い上げた。いつでも笑顔を忘れないで欲しいと言う願いである。次はどこに何を書こうか?
※今日は幼馴染のHさんの誕生日。少しの間だけお兄ちゃんだね。誕生日おめでとう今夜ぐらいは早く帰りなさい