銀行の窓口で順番を待っていると怒鳴り声が聞こえて来た。老人とカウンター越しの男性行員との間で何かトラブルがあったようだ。よくよく聞いていると出金するのに身分証明を提示する事に腹を立てているようで「何で自分の金を出すのに身分証明が必要なんだ」「自宅まで来やがれ
」と怒鳴っている。言っている事はもっともなのだが、今はそんな時代なんだ・・・と思っていると、次の瞬間老人は持っていた袋で行員に向けて殴りかかった。それも何発も・・・その光景に唖然としてしまった。
手を出したらいかんのは当たり前だが、今回はどこか老人の気持ちが少しだけ分かった。二人のやり取りを見ているとカウンター越しの男性行員は引きつりながらも笑顔だった。やり取り中にも何度も笑顔が出ていた。これは接客業の笑顔ではなく、どこか小馬鹿にしたように思えるうすら笑いだったので、老人の中で何かが衝動に駆られたのだろう。
同様の癖の人がいる。大変な事態になればなるほどつい「笑み」がこぼれてしまう。本人は当然気が付いていないだろう。あくまでも予想だが、この人の周りでよくトラブルが発生するのは、少なからずその「笑み」が影響しているのだろうと思ってしまう。つい「俺の笑顔は卑屈じゃないかい?」と自問自答したくなる。
ただ今回若いお兄ちゃんが制止した姿は、私には出来ない勇気ある立派な行動だった。
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