昨日母の家族葬が終わった。
先週義姉から連絡が入り、妻と向かう。ベッドに横たわるやせ細った母と対面。まだぬくもりの残っていた母の頭を撫でる。父の時もそうだったが親の逝去は何とも現実的ではなく、とても不思議な感覚になる。帰り道、車窓から見えた夕暮れの東京スカイツリーはいつもより綺麗に見えた。
ジャズ音楽、シャンソンの他に玉置浩二やジャンルを問わない音楽、映画、芝居、川柳や手紙を書くのが好きな伯母同様ハイカラな人で、ビールをこよなく愛し「肉を食べなきゃ元気が出ない」といつもパワフルに言っていた。改めて私の趣味や趣向は母の血を脈々と受け継いでいることを改めて知る(お酒は除く)。19歳で当社に入社し、2016年1月に母が退職するまで約31年間同じ職場で過ごした。意見の食い違いも多く、親子だけに喧嘩ばかりしていた。もし盆暮れだけ顔を見せる親子の環境であれば、優しい言葉のひとつも掛けられたかも知れないが、母と色々と話した膨大な時間は楽しいものだった。
葬儀前に何気なくレコードショップに寄った際、母が好きだった越路吹雪のCDがいきなり目に飛び込んできた。膨大なCDがある中でなんとも不思議な偶然にこーちゃんで送ってくれってことだろうとCDを手にして、自宅で改めてこーちゃんの楽曲を聴き直す。「サン・トワ・マミー」「ろくでなし」「愛の讃歌」「オー・シャンゼリゼ」「雪が降る」・・・どの曲にしようか?と迷うこともなく「ラストダンスは私に」を鎮魂歌として会場に流して頂き、棺にそっとCDを入れた。葬儀後に事務所の父の遺影に報告する。「母さんが間もなく行くから、色々と『身辺整理』しておいてね」と・・・
享年93歳。実に粋であっぱれな大往生だったと思う。本当に色々と有難うね。
故人の生前からの希望もあり、家族のみで葬儀を執り行いました。生前のご厚情に心より感謝申し上げます。本来ならばすぐにご連絡申し上げるべきところではございましたがお知らせが遅くなりましたことお詫び申し上げます。なお、香典・弔電・供物・供花につきましては固くご辞退させていただきます。