映画「私は確信する(2021年公開・原題Une intime conviction)」を観た。
【解説】2000年にフランスで実際に起こった未解決事件の「ヴィギエ事件」を題材にした裁判サスペンス。スザンヌ・ヴィギエが3人の子どもたちを残して姿を消した。数々の証言や疑惑により、大学教授の夫ジャックが妻殺害の容疑者となる。ジャックの無実を確信するシングルマザーのノラは、彼の無実を勝ち取るため、敏腕弁護士のデュポン=モレッティに事件の弁護を懇願する。自らアシスタントとなったノラは、事件の調査を進めていく。食い違いを見せる、刑事、ベビーシッター、スザンヌの愛人らの証言。次第にこの事件の新たな真実や疑惑が浮かび上がっていく。実在する弁護士デュポン=モレッティ役は「息子のまなざし」などで知られる名優オリビエ・グルメ、ノラ役はフランスではコメディエンヌとしても人気の高いマリナ・フォイス。
オリヴィエ・グルメ演ずる弁護士が実に良く、緊迫した法廷シーンが続き、さらにシングルマザーの家庭問題が重なるシーンにはついハラハラしてしまう。無罪判決後の検察側の控訴審であり、様々な新事実が明らかになるものの、物的証拠がある訳でもなく、最終的に推定無罪の精神に基づいての判決となる。最終弁論は圧巻だったものの、実話ならではのもわっとしたエンディング。当事者ではないノラの奮闘に拍手を惜しまないが、結審後の家族からの労いが少ないのが気になった。また原題は「Une intime conviction親密な信念」だが、原題も邦題ももう少し他の選択があるような気がした。
興味本位のマスコミと無責任な野次馬たちをもっと風刺してくれたら良かったのに・・・。