7月以来の歌舞伎鑑賞へ出掛けた。ちなみに女人禁制の歌舞伎本公演において寺島しのぶが出演することで話題となった午前の部「ではない」午後の部である。
【みどころ】
一、双蝶々曲輪日記
対照的な力士が魅せる粋と意地~大坂堀江の角力小屋は、人気力士の濡髪長五郎と素人力士で名を上げた放駒長吉の大一番に、多くの見物客で賑わっています。取り組みの結果は、なんと放駒が勝利する番狂わせ。実は濡髪は、自分を贔屓にしてくれている山崎屋の若旦那与五郎と恋仲である遊女吾妻との仲を取り結ぶために、わざと勝ちを譲ったのです。これを知った放駒は悔しさに憤り…。人気力士の風格と貫録をあわせもつ濡髪、小柄で若々しさが際立つ放駒。二人の性格や力の差が巧みに表現され、その好対照が魅力的な人気の場面です。力士の達引を描いた世話物の名場面をお楽しみいただきます。
二、菊
菊の精たちが魅せる秋を感じる華やかな舞踊~色とりどりの菊が咲き乱れるなかに、菊の精が姿を現します。菊の精たちは、あどけない少女の様子や恋を知り染めた町娘の風情など、菊を愛でた曲にのせて、次々と華やかに踊ります。秋にふさわしいひと幕をご覧いただきます。
三、水戸黄門
ご存知、水戸黄門が悪を成敗する!~さきの中納言・水戸光圀公(水戸黄門)は、お供の佐々木助三郎(助さん)と渥美格之進(格さん)を引き連れて、お忍びで四国の讃岐にやって来ました。助三郎と格之進は金毘羅宮の境内でお蝶という美しい娘に出会いますが、お蝶が長次という男であることが露見したうえに、財布を掏られてしまいます。一方、水戸の百姓老爺に身分を偽ってうどん屋にいた黄門様は、そこで領主松平頼常に対する領民たちの不満を耳にします。実はこの頼常こそ黄門様の長男。果たして黄門様一行は藩の内部ではびこる悪の根源を成敗することができるのか…。 二代水戸藩主・水戸光圀が諸国を漫遊しながら世直しを行う勧善懲悪の物語は、すでに江戸時代から講談などで人気を博し、映画やテレビドラマも多数制作されるなど、世代を超えて愛されてきました。歌舞伎座での初演から48年ぶりに演出を一新してお届けする人情味あふれる物語にご期待ください。
花道横の席で第一幕目の「双蝶々曲輪日記」が始まる。獅童演ずる濡髪長五郎の存在感の大きさに圧倒される。ただあんなことされたら巳之助演ずる放駒長吉だって黙っちゃいられんわな。第二幕目「菊」では菊の精たちの舞を堪能し、第三幕目はお馴染みの「水戸黄門」を高身長の彌十郎が演じる。48年ぶりの再上演であったが現代語での芝居は分かりやすく、さらに舞台に金毘羅山の石段や芝居小屋(金丸座?)がセットで登場するので親近感をもちながら、そして最後はしみじみとさせてくれた。またイヤホンガイドで今回の舞台が現在の栗林公園であると知る。
とにもかくにも最近本当に人情ものには弱くなっていけねぇな~