映画「茶飲友達(2023年公開)」を観た。
【解説】「燦燦さんさん」「ソワレ」の外山文治監督が2013年10月に高齢者売春クラブが摘発された事件を元に超高齢化社会の現代日本が抱える閉塞感や寂しさなど、さまざまな問題を反映して描いた群像ドラマ。佐々木マナは、仲間とともに高齢者専門の売春クラブ「茶飲友達(ティー・フレンド)」を設立し、新聞に掲載した「茶飲友達、募集。」の三行広告で集まってきた男性たちのもとへ高齢女性を派遣するビジネスをスタートする。「ティー・ガール」と称される在籍女性の中には、介護生活に疲れた女性、ギャンブルに依存した女性などさまざまな事情を抱える者がいた。マナのもとで「茶飲友達」を運営する若者たちもまた、出口の見えない社会で閉塞感を抱えて生きている。 さまざまな世代を束ねるマナは、彼らを「ファミリー」と呼び、擬似家族のような絆を育んでいくが……。マナ役を「弥生、三月 君を愛した30年」、NHK連続テレビ小説「純と愛」などに出演してきた岡本玲が演じる。
高齢者の性、孤独、希望、生き甲斐、居場所、介護される側する側と様々な人間模様が交錯する。岡本玲が演じるまなが実に良い。彼女が身内と仕事で見せる表情がまったく異なるのは、以前介護職の方が言われていた「仕事だから優しく出来る」なのだろう。劇中シングルマザーが子育て支援課に相談し支給額の低さに生活保護の申請を要請した際の担当者の言葉が重い。ファミリーって言葉は上手く行っている時はとても暖かくて居心地良く感じられるが、実際には薄っぺらいお金だけの繋がりだということを疎遠になっているまなの母親のひと言で証明してくれる。
違法であることは間違いないのだけど、ラストでは冒頭とは見違えるほど身だしなみを整えた表情豊かな男性老人がすべてを物語っていると思う。観た人の環境や境遇、経験による色々な感想があると思うが、私はそれほど嫌悪感がなかった。いくつになっても人肌は恋しいものだと思う。