北海道昆虫同好会ブログ

北海道昆虫同好会は北海道の昆虫を中心に近隣諸国および世界の昆虫を対象に活動しています。

寄生蜂幼虫が出て7日目、依然繭塊を死守するエゾシロ幼虫

2015-05-18 20:12:13 | エゾシロチョウ 
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2015-5-17 (日) 晴れたり曇ったり 15℃ 風強く寒い

寄生蜂幼虫が出て7日目、依然繭塊を死守するエゾシロ幼虫。


アオムシコマユバチ繭塊を守り続けて、ついに斃死したエゾシロ幼虫。



エゾシロチョウ幼虫3匹分、約70個以上のアオムシコマユバチ大繭塊。大きすぎて糸かけ防御は不十分。これをまもるべきエゾシロ幼虫の姿はなく、恐らく衰弱死し落っこちてしまったのであろうか。








赤花ボケの木から大移動したところで体から20数匹のアオムシコマユバチ幼虫が出てきて繭塊を形成、その繭塊にびっしりと厳重に糸をかけた後も、繭塊を守り続けているエゾシロチョウ終令幼虫。それから7日目になるがエゾシロ幼虫は少しづつ衰弱萎縮しつつある。しかしまだ生きている。 アオムシコマユバチが羽化する前には繭塊に蜂の目が2個黒く透けて見えてくるがまだその兆しはない。





エゾシロチョウ終令幼虫は、寄生蜂アオムシコマユバチがたくさん出て繭塊を作った後もそこにとどまり繭塊を守り続けて、ついにこんなにしぼんできました。しかし まだしっかり生きています。


    この項、続く。


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北海道昆虫同好会 虫屋サロンの紹介

2015-05-18 19:26:45 | 蝶・昆虫・自然・同好会など
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北海道昆虫同好会 虫屋サロンの紹介




北海道昆虫同好会では、毎月第3金曜日に虫屋サロンを開催しています。
今回は、「炭焼亭」で二名の新入会員の方にも参加いただき16名で盛り上がりました。
ミニオークショ ンもあります。
会員以外の方でも歓迎いたします。
皆様の参加をお待ちしております。 ちなみに現在の本会の会員数は319名です。







申込は、は、前日までに下記にお願いいたします。
    〒060-0808
    札幌市北区北8条西5丁目
    北海道昆虫同好会事務局 高木秀了
    Tel 011-716-7537 FAX 011-716-5562
    MAIL  nanyodo@rio.odn.ne.jp


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天敵の繭を死守させられるエゾシロ幼虫

2015-05-17 10:06:12 | エゾシロチョウ 
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2015-5-15 (金) 晴れ のち曇り

天敵アオムシコマユバチの繭を死守させられるエゾシロチョウ終令幼虫

あちこちで天敵の魔手をなんとかすりぬけた幼虫たちが蛹化しつつある。




蛹になっても安心はできない。この蛹にはボッカリ大穴があいており別タイプの大型単寄生の寄生蜂または寄生蠅にやられている。


このエゾシロチョウ終令幼虫は力尽きまったく動かず死亡しているかに見える。繭塊の糸かけはやや不十分。






前述のごとく、このエゾシロ終令幼虫は遠距離移動してシャクヤクの枝にたどり着いたところで体からアオムシコバチ幼虫がぞろぞろ出て繭塊を作った。


それから今日で5日が経過した。エゾシロ幼虫は、かなりやせさらばえてはいるがまだ生きている。ときどき繭塊の上をゆっくり移動する。


繭塊に入念に糸かけをして強靱な繭塊にしたあとも、ずっとそこにとどまり、ひたすら繭塊を守っているかに見える。

試みにティッシュペーパーで細いこよりを作って幼虫の体毛などに触れてみたがあまり動きはない。







しかしアオムシコマユバチの繭塊に触れると、せわしなく動きはじめ、とうとうコヨリを頭で激しく押しのけた。




オオモンシロチョウ幼虫と同じく自分に寄生していたアオムシコマユバチの繭塊を命の続く限り守っているかに見える。

まさに脳をもアオムシコマユバチに乗っ取られてしまったとしか言いようがない。

    さて、この後はどのような展開になってゆくのでしょうか ? この項、続く。



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アオムシコマユバチApanteles glomeratus L. に関する豆知識

2015-05-16 17:19:13 | 蝶・昆虫・自然・同好会など
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アオムシコマユバチApanteles glomeratus L. に関する豆知識


インターネット情報で調べてみた程度で申し訳ありませんが下記のような記述を見ています。私なりに要点をまとめました。原著にはあたっていませんがそれぞれとても興味深いものです。

DANILEVSKY(1961)の総説によれば,アオムシコマユバチApanteles glomeratus L.は,多化性のオオモンシロチョウPieris brassicae L.を宿主としたときは比較的低温でしかも短日の条件のときに前始期での休眠に入るが, 年1化のエゾシロチョウAporia cratagei L.に寄生した場合は1令期に宿主の休眠幼虫体内で越冬し,春になってエゾシロチョウ幼虫の休眠が終了しない限り,活性化されない。

日本ではアオムシコマユバチはモンシロチョウ幼虫を主要な宿主としているが エゾシロチョウにもよく寄生する。エゾシロチョウの場合は1令幼虫期に卵を産み付けられ越冬後、終令幼虫近くになって幼虫体内で急速に大きくなるのではなかろうか。

また北海道に侵入・繁殖したオオモンシロチョウにも寄生する。モンシロチョウとオオモンシロチョウは蛹越冬なので、アオムシコマユバチ幼生はこれらの蝶の蛹のなかで休眠し越冬するのだろうか。

夏場はこの寄生蜂は、モンシロチョウの幼虫の体内に約80個の卵を産卵する。産卵後約14日で、アオムシ(サムライ)コマユバチの幼虫は寄主の体を食い破り、繭を作って蛹化する。蛹化後約7日で寄生蜂の成虫が羽化する。

このタッパの中で羽化したアオムシコマユバチがワンワン飛んでいます。



性決定は他の多くのハチと同じく、半数倍数性であり、受精卵(2n)からはメスが、未受精卵(n)からはオスが生まれる。


キャベツなどのアブラナ科植物は、モンシロチョウの幼虫に加害されると特徴的な揮発性の化学物質を放出する。食害された植物が S0S を発信するのだ。この物質はカイロモンと言われ、アオムシコマユバチのメスは、このカイロモンを頼りに飛来する。その後、触覚で葉をドラミングすることで、モンシロチョウの幼虫の居場所を突き止める。


メス蜂が産卵する時に、寄主制御物質としてvenom(毒液)、polydnavirus(ポリドナウイルス)、卵巣タンパク質を卵と共に寄主に注入する。モンシロチョウの幼虫は、免疫系として、フェノールオキシダーゼによる液性免疫と血球による細胞性免疫を有しているが、これらは、寄主制御物質により抑制される。このため、寄生蜂の卵及び孵化した幼虫は、異物と認識される事がなく、寄主体内で免疫系に攻撃されることなく生育が可能となっている。


寄主体内に産卵された後3日ほどでアオムシコマユバチの1令幼虫が孵化する。孵化する際に、卵の漿膜由来の細胞が寄主体内にばらまかれ、この細胞をテラトサイトと呼ぶ。

寄生蜂の幼虫は、寄主の体液を吸収して生育しており、親蜂の注入した物質やテラトサイトがその生育に関する補助を行っている。ただし、テラトサイトの機能については、寄生蜂の種ごとに様々な機能が報告されており、研究が進んでいる途中である。アオムシコマユバチは、一度脱皮をし、寄生後約14日で、80匹が一斉に寄主表皮を食い破って外部に出てくる。この時に、最後の脱皮をしながら出てきて、寄主の上で黄色い繭の集塊を形成する。



アオムシコマユバチの蛹に対する高次寄生蜂としてアオムシコバチが存在する。こんな小さな寄生蜂に、さらに寄生する超小型の寄生蜂がいるとは驚き。もしかしてさらに高次の寄生蜂がいたりして.....。


4-5日、そのままにしておいたらアオムシコマユバチの多くはタッパの中で死んでいた。



生きているのも少しいた。






ルーペでみながら計測すると このアオムシコマユバチたちは 脚は飴色、体長約2~2.5mm 羽根の開長約4.5~5.0mm 触角の長さは約2.5~3.2mm, 透明な羽の前縁の黒点がある。



エゾシロチョウはユーラシア大陸北部に広く分布しているが、日本では北海道だけに分布する。道内では平地から低山地に普通に見られ、住宅地に植栽されているバラ科の植物で大発生することもあるが、寄生蜂アオムシ(サムライ)コマユバチによる攻撃も多く、それによって発生量のバランスがとれているように見える。

エゾシロチョウは一般的に食害してもその木を枯らすようなことはないと言われるのは寄生蜂による適度なコントロールが効いていることを示唆しているのかもしれない。

寄生蜂による適度なコントロールが失われるとエゾシロチョウは爆発的に大発生し、食樹を枯らして全滅させ、結果みずからの存続をも出来なくなり絶滅してゆく可能性があるとおもう。ただ、エゾシロチョウの食樹には実に多くの種類があり( バラ科、ツツジ科、カバノキ科、さらにはヤナギ科など )、滅多なことではそんな危機はこないかもしれない。ナナカマドまで食べていることを私が報告したことがある。


寄生性昆虫の中には、寄主の脳を乗っ取り、行動を操作することにより天敵から逃れるものがいる。この脳ののっとりはきわめて興味深い。

多寄生性寄生蜂アオムシコマユバチは、自らの繭塊を二次寄生蜂から守るために、寄主幼虫オオモンシロチョウの行動を操作する。本種寄生蜂はオオモンシロチョウ幼虫から脱出するとその場で繭塊を形成するが、オオモンシロチョウ幼虫はすぐには死なずに、繭塊に近づくものに対して威嚇し追い払う行動をとる。

寄生されたモンシロチョウ幼虫の行動は活発ではなくへたり切って、オオモンシロのような行動はとらない。


さて、エゾシロチョウではどうだろうか。 今回、我が家の庭の赤ボケに発生した数百匹のエゾシロチョウ幼虫を観察する機会があり、さらに色々のことを知った。


この項 続く。



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寄生されたエゾシロ終令幼虫の大移動

2015-05-14 19:41:47 | エゾシロチョウ 
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2015-5-10 (日) 曇り 14℃ 寒い

脳を乗っ取られたエゾシロ幼虫の大旅行。

寄生されたエゾシロ終令幼虫の大移動。

トマトの苗12本、 キュウリ苗3本、ナスビ苗4本 植えて一息ついて、なんとなく庭のシャクヤクの蕾をみると、茎のところにエゾシロチョウ終令幼虫がいた。














この幼虫はアオムシコマユバチの寄生を受けていて多数のアオムシコマユバチ幼虫が体外へと出て黄色い繭をつくっていた。




エゾシロ幼虫は自らの体内からでて蛹化したアオムシコマユバチのひ弱な繭にせっせと糸をかけて覆い、強固な繭にしていた。





さてここまでは、前項と同じ話だが驚いたのは何故、こんなところにエゾシロ幼虫がいるのかといった点だ。

この幼虫はこの庭の赤ボケに発生したエゾシロと思われ、そうするともともと住んでいた赤ボケからここまで約15mほどある。












こんな長距離をこのエゾシロ幼虫は這ってきたのだろうか。




恐らく、脳を乗っ取られた形のエゾシロ幼虫はアオムシコマユバチの命ずるまま、遠路ここまで移動してきた可能性はないだろうか。

こうしてアオムシコマユバチの繭が広く分散することは高次寄生蜂アオムシコバチなどからの攻撃をも分散させる有効な戦略なのかも知れない。

寄生蜂の、さらに上位の寄生蜂が存在することは極めて興味深い話です。

そういえば、赤ボケの枝をほんのすこし振動させただけでボタボタとエゾシロチョウ終令幼虫が地面に落っこちることがあるが、これらの幼虫はアオムシコマユバチに繰られて遠距離移動体制に入ってゆくのではなかろうか。


       この項、続く。


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