北海道昆虫同好会ブログ

北海道昆虫同好会は北海道の昆虫を中心に近隣諸国および世界の昆虫を対象に活動しています。

寄生蜂に脳まで乗っ取られる蝶の幼虫たち

2015-05-11 19:28:38 | エゾシロチョウ 
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2015-5-8 (金)  晴れ  19℃  風やや強し

寄生蜂に脳まで乗っ取られる蝶の幼虫たち。

寄生されたエゾシロ幼虫はアオムシコマユバチの奴隷

エゾシロチョウ終令幼虫がぼちぼち蛹化をはじめている。




一方でその後も、なんとなく元気のないエゾシロ終令幼虫からはアオムシコマユバチ(アオムシサムライコマユバチとされることもある)の幼虫がぞろぞろ出てきては繭をつくる。











この繭は表面がぼそぼそしていて、最初はとてもひ弱な感じだ。


これにあろうことかエゾシロ幼虫が入念に糸をかけ続けてがっちり強固なものに作り上げてゆく。

本来ならにっくきアオムシコマユバチの繭の糸かけ作業をさせられているのだ。







これがアオムシコマユバチの高次寄生蜂アオムシコバチの寄生予防にどれだけ役立っているのかは不明。

エゾシロチョウ幼虫は自分が疲弊してやせこけてミイラみたいになるまで糸をかけ続ける。最後までコマユバチの奴隷として寄生者のためにつくしているかに見える。

機序は不明だが恐らく寄生されたエゾシロ幼虫の脳は完全にアオムシコマユバチに乗っ取られているものと思われる。

似たような行動は寄生されたオオモンシロチョウでも観察される。

オオモンシロチョウ終令幼虫は自分から出てきた本来なら憎むべきアオムシコマユバチの繭を守り、接近するものを威嚇し、追い払う行動をするのである。 

最近、寄生獣というヒット映画をテレビで放映していたのを見た。怪しい寄生動物に寄生され脳を乗っ取られる人間たちを描いているのだがよく似ているとおもう。

しかし、アオムシコマユバチは寄生したエゾシロ幼虫にもっとすごいことをさせるのだ。

       この項、続く。


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2015年春、道東のチャマダラセセリ発生順調

2015-05-10 20:44:22 | チャマダラセセリ
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 2015年春、道東のチャマダラセセリ発生順調


今年は道東方面はチャマダラセセリの発生は順調なようで、特に 2015-5-7~8日は天候もよく多数の採集者がでてかなりの個体数が採集された模様です。



チャマダラセセリ♂ 2015-5-7 北海道北見市


日高町では スギタニの発生数が多かったようです。 ジョウザンシジミは各地で例年なみの発生で 釧路方面では発生がかなり早かった模様。
 
 ご参考までにに、TH さんの最近の採集記録の一部をご紹介します。
 
 チャマダラセセリ 6♂ 2015年5月5日 足寄町里見が丘 新鮮、出始め
 ミヤマセセリ 3♂1♀ 2015年5月5日 足寄町里見が丘 スレ~新鮮
 ヒメギフチョウ 2♂1♀ 2015年5月3日 沙流郡日高町字千栄 スレ~新鮮
 ミヤマカラスアゲハ 1♂ 2015年5月6日 幕別町忠類東宝 出始め
 ヒメシロチョウ 4♂2♀ 2015年5月4日 千歳市駒里 新鮮
 エゾヒメシロチョウ 2♀ 2015年5月5日 足寄町里見が丘 新鮮
 エゾヒメシロチョウ 1♀ 2015年5月6日 幕別町忠類東宝 新鮮
 アカマダラ 1♂ 2015年5月4日 千歳市駒里 新鮮
 アカマダラ 9♂3♀ 2015年5月5日 足寄町里見が丘 スレ~新鮮
 アカマダラ 3♂ 2015年5月6日 幕別町忠類東宝 スレ
 ジョウザンシジミ 1♂1♀ 2015年5月4日 札幌市南区八剣山 新鮮
 スギタニルリシジミ 多数 2015年5月3日 沙流郡日高町富岡、千栄 新鮮、最盛期


 さっそく 札幌の TH さんから オオモンシロ情報です。

連休中、オオモンシロがいないか見ていましたが、少なく、合計3♂発見しましたが、高速移動していてすべて振り逃がしでした。
 沢山いた時は飛翔中もこんなに採り難くかった記憶がありませんね。
 今後共宜しくお願い致します。

 

 オオモンシロ目撃記録
 1♂ 2015年5月3日 沙流郡日高町字富岡
 1♂ 2015年5月4日 札幌市南区八剣山
 1♂ 2015年5月4日 千歳市駒里
 他、5月5、6日、足寄町里見が丘、幕別町忠類、中札内町など十勝では全く目撃できませんでした。

  


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赤花ボケにエゾシロチョウ その壱

2015-05-09 11:19:54 | エゾシロチョウ 
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赤花ボケにエゾシロチョウ その壱


天敵アオムシコマユバチに操縦されてその繭に糸かけをするエゾシロチョウ終令幼虫。



2015-5-3 (日) 晴れ

北見市の我が家の庭にある赤いボケの木には 5年ほど前から 毎年エゾシロチョウの越冬幼虫がみられ、春になるとそれなりにボケを食害し、それなりに蛹化する。 

しかし初夏、エゾシロチョウが庭を飛ぶのを見たことはなく(そのころ野外にでてばかりのせいか)、要するに毎年、幼虫期しかみていないのであった。

昨年 秋にも今年もエゾシロの越冬巣があるな となんとなく意識していた程度。

2015年、今年もきれいな赤ボケの花が咲きエゾシロ幼虫がみられる。




















ボケの花のつぼみをおいしそうに食べる終冷幼虫。 この時期、なんとなく元気がなくやや発育の悪い終令幼虫はアオムシコマユバチの寄生をうけている。



アオムシコマユバチのさなぎ。


今年は少しアオムシコマユバチの繭を切り取ってみることにした。




アオムシコマユバチのサナギの上に息も絶え絶えのエゾシロチョウ幼虫が糸をかけつづけて斃死する。


我が家には 赤ボケと 白花ボケがあるが 何故かエゾシロがつくのは赤ボケばかりである。


白ボケにはエゾシロチョウがつかないのはなぜ??。



天敵アオムシコマユバチの幼虫は宿主のエゾシロチョウの体のなかで、宿主をいかさぬように殺さぬように
幼虫の体液を吸って育ち、エゾシロチョウ終令幼虫の体を破って体外へ出て一気に繭をつくる。私がみたところでは、虫の息のエゾシロチョウ幼虫はあたかも寄生蜂に操縦されるかのごとく、その繭を守るように糸をかけ続けてやがて斃死する。このように寄生者が宿主を繰る現象はコオロギに水中飛び込み自殺をうながすセンチュウのように多くの寄生生物によく見られる。

ちなみにこのアオムシコマユバチはエゾシロチョウ幼虫が繭に糸をかけることにより、さらに、みずからに高次寄生する小型のコマユバチの寄生を防いでもらっているかに見える。

以上は私の想像たくましい考察だが、まったく糸で守られることなくむき出しのサナギ塊もあり、アオムシコマユバチ幼虫が単にエゾシロチョウ幼虫がはりめぐらせた糸のなかにみずから潜り込んでいる可能性もある。



ヒメモクレン。

  この項、続く。


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北海道からオオモンシロチョウが消える日。

2015-05-07 19:49:52 | オオモンシロチョウ
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北海道からオオモンシロチョウが消える日。



2007-5-4(金) 晴れ

朝、なんとなく庭をみると年中置きっぱなしの椅子とテーブルの椅子の部分に羽化したばかりのオオモンシロチョウ第1化個体がひっそりといた。

この頃は春から夏、秋へむけて数を増し、毎年秋になると我が家の庭のハツカダイコンにオオモンシロチョウの幼虫がごっそりとみられたものだ。

この時期は例年エゾヒメギフを見に山へゆくが、エゾスジグロチョウに混じって大抵オオモンシロチョウの1化個体がみられていた。

反面、モンシロチョウはこの世から消えてしまったかのように一年を通して見ることはなかったものだ。









この数年、2012年あたりから少なくとも私のまわり(北見市界隈)からはオオモンシロチョウが激減し、モンシロチョウが復活しつつある。

オオモンシロチョウが消えてゆくといった概念が少しでもあったなら、そのような視点でデータ集積を行っていたとおもうが、今となってはあとの祭り。

対馬のタイワンモンシロチョウのように、バッタリと北海道から消えてしまう日がくるのかも知れない。 


ちなみにオオモンシロチョウはブータンでは、すくなくとも2003~2008年においてはとても多いチョウで、同様にタイワンモンシロチョウもとても多かった。エゾスジグロチョウはこれらよりは少なく、モンシロチョウは見られなかった。

中国では普通種のオオモンシロチョウはモンゴルにおいては極めて少ないチョウで、これまで多数の日本人採集家が訪れているにもかかわらず、2003-7-7 Tsenker Jiguur で 吉田嘉男氏により1♀が記録されているに過ぎない。

モンシロチョウもまったく記録がないことからアブラナ科栽培植物が少ないせいと推察していたが、その後はどうなっているのだろうか。


さて、今年はそのような視点でオオモンシロチョウを意識した採集を行ってみませんか。是非 jezoensis にその結果をご投稿ください。



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早春、オオモンシロチョウはどこだ?

2015-05-06 07:19:52 | オオモンシロチョウ
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早春、オオモンシロチョウはどこだ?



多くの皆さんが早春、道内各地でエゾヒメギフチョウを見るために奔走しているころ、厳しい北海道の冬を乗り越えて、ひっそりとオオモンシロチョウが蛹から羽化をしています。

この時期、白い蝶をみても春の女神しか頭にない方たちは、何だエゾスジグロチョウかと瞬時に判断し、ほとんど気にもしないのが普通だと思います。

そんなわけで早春のオオモンシロチョウの状況はあまり知られていないのが実状なのです。


ところで、これは北海道北見市の早春の庭の風景ですがオオモンシロチョウがいました。


さてこの写真のどこにオオモンシロチョウが写っているでしょうか。よくご覧になって見つけて下さい。






          この項、続く。




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