「世の中、ちょっとやぶにらみ」

本音とたてまえ使い分け、視点をかえてにらんでみれば、違った世界が見えてくる・・・かな?    yattaro-

「夏の終わりに」

2012年08月31日 | 趣味・・エッセイ


             遠く山の頂きに浮かぶ雲にも秋の気配が・・・

8月が往く。本当に秋が来るのだろうかと不安に思った夏が終わろうとしている。
暑さ対策や熱中症対策に追われるあまり、あの広島・長崎の原爆慰霊祭や、戦没者追悼式典などが遠い日の出来ごとのように思える。が、実際はこの8月1ケ月間の行事である。

同じ原爆慰霊祭でも、広島は「平和記念式典」と書く。いわゆるメモリアルとして胸に刻む「記念」の式典。一方長崎は世界の恒久平和に祈りを込めて「長崎平和祈念式典」と書くのだそうだ。記念式典と祈念式典。核兵器のない人類の恒久平和を願う気持ちに変わりはないのであろうが、広島・長崎ではこの字の違いがあることを教わった。

それはさておき、間もなく取り入れが始まる岩国レンコン。その実った大きな葉っぱを見下ろす灘山連山の雄姿。その上に悠然と横たわる積乱雲。といっても、ひところのように、怒り心頭に発する入道のような、下界を威圧するほどの盛り上がりではなくなった。
そこはかとなく近寄りやすい穏やかさを見せるようになった。そんな夏の終わりを思わせる風景に気持ちを重ねて短くまとめてみた。

『 夏の終わりに 』 

 広島、長崎の平和式典や終戦記念日追悼式など、お線香の香り絶えない日が続く8月。
 そんな行事に挟まれるように、39年前74歳の生涯を閉じた父の祥月命日がある。
 帝国海軍軍人であったことを誇りに生きた父も、昭和48年の、歴史に刻まれた猛暑酷暑には耐えられなかったのか、短い患いであっけなく逝ってしまった。
 あの夏の再来を思わせる連日の猛暑を無事乗り切り、せめて寿命だけでも父と肩を並べられる日を迎えたい。
 8月は鎮魂の月。風鈴を揺らす風とともに心静かに手を合わす。秋はすぐそこに。

                         2012.8.31 毎日新聞はがき随筆掲載

昭和48年の猛暑酷暑は、冬になって東北地方に記録的な大雪をもたらしたという。
そんな例にならうような今年の暑さ。完全復興ままならない東北地方に大雪などもたらさなければいいが、と早くも気にかかる。
暑さに負けず、寒さにも耐えて、せめてオヤジさんの歳までは元気にいたいと思う。

コメント (10)
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