春は名のみの風の寒さや~
春立つ日を迎えて1週間になるとは言うものの、日差しはあっても小雪舞う風は肌を刺すように冷たい。
出かける用件さえなければ、家の中で背中を丸め、コタツに足を入れてオリンピック観戦、といきたいところだが。
そうばかりも言っていられない。またまた一つ「腰を据えてかからなければ」という事態発生である。
行きがかり上、逃げを打つわけにもいかず、そっぽを向くわけにもいかない。ならばしゃーない、まともにぶつかってみるしかない。
というほど大袈裟でもないが、ただこの歳に至って初めて体験する事柄だけに、少しだけ肩に力が入っているものを感じる。
地域の活動として所属している会が、今までの実績を買われて、新たにスタートするプロジェクトに力を貸してくれ、ということになった。国土交通省中国地方整備局というお役所の呼びかけで「広島湾再生プロジェクト」構想のミーティング&マルシェが開かれる。
その中で、幅広い意見交換のパネルディスカッションが計画されている。そのパネリストの一人として参加要請が来たという次第。
我々の仲間から誰が出てもいい話であり、お断りも出来るのだとは思うのだが・・・。
そんなわけで、兎に角、短時間での現状説明をするのに、1枚でも多くの写真が必要となる。
過去11年続けている「白い砂浜を守る海岸清掃」の立地条件の説明がややこしいので、改めて今一度現場撮影を、ということになった。
海辺の風はチメタイ。防寒服装で肩からカメラが滑り落ちそうになる。落とさんよう注意しながら、あっちこっち最高のアングルを探す。
これなら使えるかな、と何枚かカメラに収めた帰りがけ。ふと目をやると、波打ち際近くにアオサギが一羽。
虎視眈々というか、サギだけにさりげない風を装っている。でもひとたび小魚を見つけたら、その長い首を一杯に伸ばして瞬時に獲物をゲットする。
「オー、お前も必要に迫られてこの寒空の波打ち際に佇むのか」などと、一種の共感を覚えながら、風邪引かないうちに引き上げた。
そして今度は人に見せられるよう、大写しに耐えられる加工を施し、ナレーションを練る作業が待っている。
寒い寒いとばかりは言っていられない、尻に火が付きそうな2月半ばである。