近くの小学校で「花いっぱい運動」という特別教室が開かれる話を小耳に挟んだ。
「どんなことをするんじゃろう?」。持ち前の好奇の目が輝いて足を運んでみた。
5年生27人が6班に別れて、一つの班が6個のプランターに4本ずつ4種類の花を植える。まるで算数の問題のような話だが、決してそうではない。
要するに、青少年育成市民会議が提唱し、市からの助成を受けて資材を購入する。それを子どもたちが「花を咲かせるにはどんな作業が必要か」、といったさまざまなことを学びながら、手ずから植えてプランターに花を咲かせるという趣旨。
そのプランターは学校の玄関を飾るのはもとより、市役所の出先機関である出張所の玄関も飾る、という仕組み。
特にお手伝いというわけでもなく、カメラを提げての取材活動は、子どもたちの動きや要領を客観的に観察できる。
グループの中には活発に無駄なく動くリーダー的存在がたいて一人はいる。ものだ。中には「今まで一度もやったことがない」という花植え未経験者も少なくない。右往左往しながら「ここに土入れて」とか言われてやっと十能を動かす。
こんなのを見ていると「このころの自分はどうじゃったんじゃろう」と遠い遠い来し方を振り返ってみる。
何にも覚えてはいないが、この子のような働き手だったろうか、あの子のように要領悪い子だったのではないか。興味は尽きない。
ただ言えるのは、今こうして齢を重ねてみている眼は非常に厳しく、あーすれば簡単なんてにできるのにとか、こうすりゃもっと手早く収まるのに・・・なんて経験則が知ったかぶりの頭をもたげる。これもまた当たり前すぎて滑稽な話ではある。
彼らより60年以上長く生きて来て、ありとあらゆる場数を踏んで来た。だから花植えの要領などはお手本を示せると思う。
ならば来し方を自分史として要領よくまとめ、子供たちに理解できるような話をしてあげられるか、と開き直って訊かれたら、意外にウンとは答えにくい。なんだかんだ言いながら、結局は割と散漫に生きているものなんだよな~ なんて、子どもたちの花いっぱい運動に寄せて自らに反省を促す一場面である。 さてこれからどうする・・・。