あれは2年前の4月だったと思う。
あるイベントに出向いた折「これは古代蓮のタネです。植えたら花が咲きます」という地元の人の話に乗って3粒100円のタネを買った。
ダメで元々。テラス屋根の雨だれ受けとして地面に置いてある、昔懐かしい火鉢に投げ入れておいた。
ところが1年たっても、花どころか芽を出す気配も見られない。何のこっちゃ・・・と半ばあきらめてほったらかしにしておいた。
でもあれは間違いなく蓮のタネであったのに、何で芽を出さんのじゃろう?。それなりに考えてみた。
ふと思い出した。「どうやって植えるの?」「水たまりの中に少々泥を入れてタネを投げ込んでおくんよ」などと交わした会話を。
火鉢の底に泥を入れたのが昨年の寒いころだった。
そうしてこうして今年の6月半ば。ブランドの「いわくにれんこん」の植え込みが終わった田んぼで、一斉に芽を出すのに合わせて、我が火鉢の中でもちっちゃな丸い葉っぱが浮かんでいるではないか。最初は直径4㎝ばかり。それが今日見たら7㎝に成長している。
枝分かれした細~い茎の先にはさらに新しい葉っぱを開かせようと、丸まってとんがった葉っぱの子が浮かんでいる。
これは間違いなくスイレンの葉っぱである。ひょっとしたら花も見られるのか。期待に胸がふくらむ。
「これは、あそこにある古代蓮の池でとれたタネ」という触れ込みも思い出した。イベント会場のすぐ近くに「古代蓮の池」という看板が立っていたことも思い出した。
ひょっとしたら我が家の火鉢で、思いがけない古代蓮の花が見られのかな。
そこで今ひとつ思い出した。
♪♪ ドブに落ちても根のある奴は
いつかは蓮(はちす)の花と咲く
意地を張っても心の中じゃ 泣いているんだ兄さんは
目方で男が売れるなら こんな苦労もあるまいに ・・・・・・
あのトラさんの名調子、男はつらいよ。なにかしら我が身にも思い当たるフシがあるようで、身につまされるスイレンではある。