一気に真夏到来。まだまだ暑さに慣れていない身体には、この暑さはある種の毒を飲まされるほどに体力を奪っていく。
それでなくとも、思考力も、身体の芯から湧き上がる活力も、徐々に減っていく中でのこの暑さは、一つの大敵であることに間違いない。
この暑さが原因となるものではないが、念のための検診で、近くに開業した新たなクリニックに初めて訪れた。
決して若さあふれるという年齢ではないが、受付担当も、看護師さんも、総じて笑顔がよく愛想がいい。とっても感じよく迎えられたという第一印象。
診察室に呼ばれ、型どおりの頭を下げて医師の前の丸い椅子に腰掛けた。
医師の初めての声を聞くシーン。御年50歳半ばかなとお見受けする、意外と厳つい顔の男先生。
開講一番「初めまして、医師の〇〇と申します。どうぞよろしくお願いします」ときた。
「エッ、それってこちらのセリフじゃん」。診察に訪れた医師の側から、初めまして・・・・・・のご挨拶は初めての体験である。
しかも実に穏やかに、ゆっくりとしたしゃべり口。医は仁術ともいうが、確かにこれは信頼できそう・・・と身体が反応してしまうような初対面であった。
まっこと、受付も看護師も、あの穏やかな微笑み受け入れは、この医師を見たら納得である。新たな開業にしてはその教育の徹底に驚かされる。
肝心な医術のほどはこれから少し時間をかけて「お手並み拝見」ということになるが、何はともあれ我が評価は、第一印象合格である。
「今日はどうしました?」の声かけがフツーである。どうかすると、お客のはずである患者が、医師から咎められる口調で問診されることが多い。
ろくにこちらの顔も見ず、看護師の問診や、初診調書などに目をやっていられると、ついつい訴えたいことも口をついて出にくくなる。
訪れた病名は胃がん検診である。第一印象の違わないちゃんとした診療をしてもらえればこの上ない。
それでなくてもいやんなる暑さの中で、ホンの一陣の涼風を得て、なんかしら得した気分である。