初雪が降った翌日の朝の光景です。
我が家の裏の、「マタタビ」の枝にとまり、朝食後をくつろぐスズメ達です。
食堂のカーテンをそっと引き、望遠レンズで写します。
見張り役でも居るのか、家の中の人間の動きを察すると一斉に羽ばたいて消えてしまう。
でも、一羽一羽の行動、そして表情がそれぞれに異なり飽かず眺める。
食事を終え、くつろぐように感じられて仕方ない。
まだ食事が足り無かったと見え再び水田で落ち穂をついばむスズメも居る。
羽繕いをしながらも賑やかに鳴き交わす。
一瞬たりとも動きを止めず、それでものんびりそうに見えるスズメ達。
人間の住宅事情が昔と異なり、屋根が自然落下式のトタン張りとなってしままい住処を失ったスズメ達。
瓦葺の屋根だと、下張りの木っ端と、河原の間の隙間が彼らの絶好の住処だった。
我が家でも、彼らにとっての事情は同じこと。
瓦から、トタン張りの屋根になって彼らの住処を奪うことになってしまった。
そして、我が家に来て巣作りをするツバメたちの巣を奪おうとするスズメが出て来て、
毎年、巣の争奪戦を試みることになってしまう。
いや、争奪戦と言うよりも、あの日本海の日本領土の小島のように強奪です。
強引に先住者を追いだして、自分のものにしようと言う図々しい料簡を見せるのです。
紛争解決のために、馬鹿なスベルべトーちゃんは酒の一升瓶の空き箱を使い、
スズメ達の住宅を設えて上げたのでした。
案の定、箱に開けた小さな穴から出入りするスズメ達が見え始め、
無事にツバメもスズメも我が家での子育てを終えたのでした。
九月に入ると、秋の風を感じたのかツバメたちはいつの間にか姿を消してしまいました。
そして、スズメ達の天下となる秋がやってきたのだけれども、
彼らにとっての最高のシーズン、豊富な餌の秋も間もなく幕を閉じます。
地面の全く見えない、二メートル前後もの雪に覆われる冬が近づいているのです。
そんな冬でも、この地を去らずに生き延びる逞しいスズメ達も居るから不思議です。
生まれれた土地に愛着があるのか、生まれる地を選ばれないのか、
不自由をしのぶスズメ達の姿、暮らしに、我と我が姿を思わず重ねて思ってしまうのです。