02年と記録されているから、あれからもう16年も経ってしまった。
もちろん、あの東北大震災の前の事だった。
夫婦二人とも現役サラリーマンで、しかも夏季は暇な時間はすべて畑仕事に費やされていた。
そんな事から、酔狂にも真冬2月の岩手への旅を計画したのだった。
盛岡駅前で「魚菜王国号」と言うイベントバスに乗り込むと客は私たち夫婦だけ。
不審に思い、「どこかから乗り込むのですか」と聞くと「今日はお二人だけです」と答えられ驚く。
なんと50人乗りの大型バスを二人だけで占領してしまったのでした。
そして、オプションとして申し込んだ仏ガ浦の遊覧船もお客は私たち夫婦だけ。
お客二人に乗員が4人だったか、5人だったか。
客数と乗務員との比率だけで言うならば「クイーンエリザベス」もかくやの遊覧となった。
餌を期待して船にまとわりつくカモメには、二人分の餌を買ってサービス。
おやおや、12年の歳月の重みかなー、私の頭髪もふさふさとしているではないか。
ビールの瓶の色から見て、地ビールか何かを楽しんでいるのかな。
この後、大浴場に向かった妻は「一人で怖い」と言いながらそそくさと帰って来た。
感激したのは、旅、宿のパンフレット通りの最高の部屋に泊まられたこと。
リアス式海岸の美しい風景に朝日が昇る最高の時を楽しんでいたのです。
この後、この風景が一変する大津波に襲われようなんて夢にも思わなかった。
あの時の初々しいバスガイドの「朱美」ちゃんの消息は知るすべもなし。無事を祈るのみでした。