「ウラサシ?」(その1)
洒脱な先輩たちの多い職場で言われ始めた言葉らしい「ウラサシ」いや「裏刺し」だろうか。
何のことは無い、「裏の畑で採れた大根の刺身」だと言うから愉快な事だ。
雪国の人達だったら大抵は知っているだろうと思う美味しい野菜に「雪の下大根」が有る。
科学的にも証明できると聞いたことが有るが、大根は雪に遭うと凍ってしまわないようにと、
自己防衛本能を発揮し、糖度を上げるのだと言う。
我が家でも、初冬になると大根畑に雪が降るのを待つ。しかし、これが簡単そうで結構難しい。
ひとたびタイミングを間違え、雪が一気に深くなると特に山の畑など、難攻不落の雪の城塞となり、
近付く事さえできなくなってしまうのだ。
タイミング良く、軽トラの四駆を効かせて山の畑へと収穫に急ぐ。
そう、タイミング的には2~30センチの雪が積もったら最高だ。
畑に着き、雪に埋もれた畝の形を確認し、手袋をはめた手でそっと雪を取り除く。
雪が少ないと、野ウサギが大根の葉を探し当てて食べている事も有る。
野ウサギも雪が降ると、すわ食糧危機の到来とばかりに慌てて食べに来るらしい。
(続く)