ご飯を炊く(その1)
昭和30年代の燃料革命ともいうべき時代を過ぎて、ご飯の炊き方もずいぶん変わってきた。
ガスもLPガスからパイプラインによる天然ガスへと変わってきている。
もっとも、ほぼ時を同じくして電気式炊飯器も生まれ、炊き方の選択肢は増えたように思う。
昔、そう60年以上も前の古い茅葺の家では、薪でご飯を炊いていた。
カマドはやや現代式になった珪藻土の釜土の外側にタイルを張った「文化式釜土」だったが。
(この文化式釜土は今でも我が家の高床式住宅にあり、餅つきなどの際に活躍してくれている)。
この文化式釜土は古い家の土間の片隅、台所にわたる狭い板敷の通路の脇にあった。
朝目覚めて母を探すと、火口からこぼれる薪の燃える火の明るさに頬を赤く染める母の姿が見えたものだった。
さて、時は流れ現代はガス釜もましてや電気式釜もICコントロール付きで炊き加減も自由自在。
炊き込みご飯だって、赤飯だって玄米だってうまく炊き上がる優れものになっている。
(続く)