夢見るババアの雑談室

たまに読んだ本や観た映画やドラマの感想も入ります
ほぼ身辺雑記です

「家族写真」-2-

2013-08-12 22:23:48 | 自作の小説

自分が死んだことに気付かない間 僕はどこにいたんだろう

ただ 立っていた 一人でいた しばらくの間 たぶん

どれほどの間であったのか

僕は余り勉強ができないから「働け」と両親に言われた

弟はよく勉強ができた

その弟のために給料は家に入れないといけなかった

体を壊しちゃいけないから 勉強ができなくなるから 弟にはいいものを食べさせないといけない

弟は二階の日当たりのよい東南の角部屋 窓も二か所ある

僕は帰って寝るだけだから廊下の奥

「あんたがバカでどれだけ恥ずかしい思いをさせられたことか」と母が言う

弟は希望の星で 僕は家のハジーなんだそうだ

「おかわりなんてしようというの まあなんてあつかましい おかあさんたちのことは考えないのね 自分だけおなかいっぱいになればいいのね」

「お前は儂があれだけ嫌っている信義のところに出入りしているとか この親不孝者め

勘当だ 

親に恥をかかせて嬉しいのか まともに食べさせないから信義のところへお前がおしかける」

そう世間は噂するんだ

こっぴどく父に叱られた

信義叔父は優しかった その奥さんの礼子さんも若くて綺麗な人で 「仕事帰りだったらお腹空いているでしょう」と あれこれ食べ物を出してくれる

信義叔父がよく食べるから 「若いんだからもっと食べろ」

山盛りにおかずもごはんもついでくれる

信義叔父を可愛がる祖母もよく来ていて 孫の僕に色々薦めてくれる

海軍で外国へも行き 終戦後はしばらく闇屋もしていて 今は建築関係の仕事をする信義叔父の話は面白かった

叔父夫婦の家にいるときは幸せだった

ずっと笑っていられた

でも もう行ってはいけないと言われた

持ってた金で酒を買った

いつもならこの酒を手土産に信義叔父のところへ行く

信義叔父は笑顔で迎えてくれる

僕はー

「家を出るのか 親不孝もんめ 育てた恩も忘れたか このひとでなしめ」

「どうしようもない子 育てるんじゃなかった」

僕は

酒を飲んで眠った どこにも行くところはない

線路を枕にしたら いい気持だった

星が綺麗だ

そうして僕は死んだのだろう

そして動けない僕の耳に叔父の声が聞こえた

「修一はかわいそうやった」

僕は行きたくてたまらなかった叔父の家に行った

しばらくして礼子さんは赤ちゃんを産んだ

まひろって名付けられたその子はとってもかわいかった

その子には僕が見えるのか よく僕がいる方向見て笑いかけてくれた

僕はこの子を守りたいと思った

年の離れた妹のように 家族のように思えた

僕の妹は全然かわいくなかったから

「バカなほうのおにいちゃん 向うに行っててよ」

姿を見るだけで気分が悪くなるわーとか よく言われた

ずっと叔父夫婦の家にいられて まひろちゃんが育つ姿を見て 僕は死んでからのほうが幸せだったかもしれない

成長したまひろちゃんには 僕は見えなくなったようだったけれど

それから随分と長い時間がたった

礼子叔母 信義叔父も死んだ

僕は声をかけてみた

すると僕が生きていた頃の姿になった叔父が叔母が返事をしたのだ

ああ 僕たちは一緒になれた

また色々な話ができるようになった

それから まひろちゃん 

はるかに僕の年齢も超えたけど

叔父夫婦が僕のことを話していたから その話を覚えていたから

まひろちゃんは時々僕の名前を思い出してくれた

夢の中で会うこともできた

つながり

夢が持つ力

夢の中で まひろちゃんは言ってくれた 

家族写真 本当のモノにしようね

優しい笑顔で

夢の中で撮った写真にまひろちゃんは何か書いていた

有難う 優しいまひろちゃん

心は少女の無垢なままのまひろちゃん

病気になったまひろちゃんが死んだ時 僕は声をかけてみた

「修一だよ 覚えてる」

まひろちゃんは笑顔になった

叔父夫婦とまひろちゃんと僕

今は一緒にいる


「家族写真」-1-

2013-08-12 21:10:47 | 自作の小説

{明け方 目が覚めて それから少し眠った 夢を見た 何ということもない夢だし 納得して見ていたが しかし目覚めてみれば 意味が気になる夢がある

最近 よくそんな夢を見るのだけれど

 夢の中でなにやかやあり 記憶に残っているのは 何処かで食事している

それはかつて行きつけだった中華料理の店の二階の個室だったりするのだ

現実世界では既に故人の両親はまだ若い

父が30そこそこ 母も二十歳そこそこーくらいだったりする

結婚して間もない頃ではないだろうか

だから結婚してから数年経ってから生まれたわたしが存在するはずがない

なのに夢の中では私は存在している 十代の後半か夢の中の母とは変わらない年なのに

やはり母は 私の母なのだ

私は「おかあさん」とためらいなく呼んでいる

その母が夢の中で私に言っている「修一さんよ 覚えておいて」

その修一さんと呼ばれる男性は いつも白いソフト帽をかぶり白いスーツ姿だ

父の姉の息子になるらしい つまりは父の甥 わたしの従兄になるのだ

しょっちゅう両親の家に来てずっといる

家族のように

起きてから情景が目に浮かぶほど覚えていたのは 何処かの店で皆で食事したこと

記念撮影みたく写真館で写真を撮ったこと

そうして起きてしばらくしてから思い出した

「修一」というのは 若い頃に鉄道自殺したという人だ

「修一はかわいそうやった」と両親が生前に話しているのを聞いたことがある

次男が東大に入学した秀才 両親は次男ばかりを可愛がり 長男の修一さんの給料はまきあげる始末 ろくに小遣いもなく 部屋も廊下のような場所

食事からしてご馳走は次男へ

同じ兄弟でありながら扱いにひどく差があった

修一さんは自分の家に居場所がなく だから来客好きの私の両親の家に来ては泊まって帰ることも多かったらしい

普通に私の両親の家を出ていき 珍しく数日 姿を見せないなーと両親は思っていた

修一さんは死んだのだ

死んでいたのだ

修一さんの楽しみは 私の両親のところで わずかな愚痴を言ったりすることくらいだったのに

修一さんの父親が 「あんなところに行くな」勘当するぞと叱ったとか

なら家を出ればよかったのに

最後の楽しみ 叔父の家に行くことを禁じられ

死んだ

若いから追い詰められた出口ない気持ちになったのか

何故死んだのか 

それは わからない

その修一さんは夢の中では嬉しそうだった

夢の中ではずっと楽しそうだった

私の両親と修一さんと私と 写真には四人が写っている

もしや向うの世界では それぞれが好きな年頃で楽しく暮らしているのかしら

戸惑いながらも 夢の中の私も楽しそうだったー気がする

あれは お盆が近い頃に見た夢だったかしら}

持病が悪化して入院していた母のまひろが死んだ

古い家のあちこちに散らばった母の遺品を整理していたら 説明がつかない写真が見つかった

祖父母や母の古いアルバムを調べても意味が通じない 

若い頃の祖父母と写る着物姿の青年

黄ばんだ白黒写真の

その写真の裏には「修一さんと」とある

その若い頃の祖父母と 十代の終わり頃らしい母が一緒に写っている不思議な写真

くっきりカラー写真で その写真の中には「修一」と同じ顔の白い帽子を被り白い背広姿の青年が一緒に写っている

その写真は裏に「夢世界の形見」と 母の字である

いったい どういうことなのだろうか

この写真は母が死んで持ち帰った荷物の中から出てきたのだ

私より若い母の姿 祖父母の姿

眺めていると奇妙な思いにとらわれる

でも きっと母には大切な写真だったのだろう 


おかずから

2013-08-12 19:25:31 | 子供のこと身辺雑記

おかずから
おかずから
だしをとっておいて 吸い物ふうの味付けの煮汁でおあげさんを煮ます むき海老を加え ひと煮たちさせ すりおろした生姜を入れます 水とき片栗粉でとろみをつけて出来上がり

ブイヨンスープとケチャップ 醤油と蜂蜜ちびっとで煮ただけのロールキャベツ

姑にも夕方 届けてきました


「シカゴ」(2002年 アメリカ映画)

2013-08-12 10:11:28 | 映画

「ケリーシスターズは 出番だぞ」

出番が近いのにーいない

急いで入ってきた女性らしき人が 手を洗う

彼女 ヴェルマ(キャサリン ゼダ ジョーンズ)はヴェロニカがいなくても問題ないーと 舞台に立つ

ショウが始まる

その舞台を金髪の女性ロキシー ハート(レニー ゼルウイガー)が観ている

フレッドが現れ ロキシーはフレッドと自分の部屋へ

フレッドはロキシーを舞台に立たせるーと「君はスターだ」とセックスへなだれ込む

フレッドとロキシーのしていることと ヴェルマの舞台が交互に映る

ヴェルマはこの舞台に立つ前に 自分の夫と妹のヴェロニカをホテルの部屋で殺してきていた

警察がヴェルマを逮捕しようと来ている

ヴェルマの夫とヴェロニカは一緒に寝ていた

ヴェルマは二人の裏切りが許せなかった

そしてロキシーは舞台に立つための フレッドの支配人に会わせるという言葉が嘘だったと知る

ただロキシーと寝るための嘘

フレッドは家具を売る男

逆上したロキシーはフレッドを射殺

そして夫のエイモスに自首してくれるように頼む

エイモスは警察へは こう話した

帰宅したら部屋へ強盗が侵入しようとしていた

妻は熟睡していた

警告したが侵入した男はきかなかった だから撃ったのだと

殺された男は自分が家具を買った相手

同じアパートの人間はロキシーがフレッドを週に3回も部屋に連れ込むところを見ていた

エイモスは真実を話してしまい ロキシーは逮捕される

絞首刑を求刑するーと言われるロキシー

ロキシーが送られたクック刑務所には 先に逮捕されたヴェルマも収容されていた

ママ モートン(クイーン ラテフアー)は金次第で便宜をはかってくれる看守

ロキシーはママ モートンから ヴェルマの弁護士でもある凄腕のビリー フリン(リチャード ギア)を紹介される

弁護費用は5000ドル 妻の為にエイモスは金をかき集めるがー到底足りない

と浮気した妻をまだ愛しているエイモスの不憫さに打たれたか ビリーは作戦を思いつく

ロキシーの美人ぶりを「売る」のだ

そしてロキシーの持ち物をオークション

シカゴの悪趣味な人々は飛びつくーというわけだ

マスコミをいいように操り 事実の印象を操作する

一躍ロキシーは時の人に

ヴェルマは ホットでなくなり 人々から忘れられる

ロキシーの人気ぶりに ヴェルマも折りたくない膝を折るのだがー

富豪の令嬢(ルーシー リュー)が交際中の相手とその浮気相手の女性二人と一緒に寝室で楽しんでいるところを見つけ 三人とも射殺する

マスコミの興味は富豪令嬢に集まり ロキシーは忘れられそうになる

気絶してみせロキシーは わたし妊娠しているの

再び話題の中心となり ビリーは陪審員の印象をあやつりー

ヴェルマは手に入れた日記をロキシーのものとして検察側の証人になる

その証拠の日記が恰も検察側がでっちあげたもののように言いくるめるビリー

ー本当はこの日記はビリーによるもの 検察側を陥れるためにヴェルマと組んでの芝居だった 騙され利用されたのは検察ー

判決は無罪

しかし無罪になったロキシーはすぐに忘れられる

仕事はない

舞台には立てない

再びヴェルマがロキシーに近づく

遂に二人はコンビを組む

このシカゴで一人の殺人犯なんて もう珍しくもない

だけど二人だったらー

ロキシー ハート&ヴェルマ ケリー

舞台が始まる

観客の中にはピーターフリンもママ モートンもいる

歌と踊りと

舞台は成功

舞台場面のロキシー どこかマリリン モンローを彷彿とさせる場面があります 

歌声に

そして冒頭からダイナミックなヴェルマの歌と踊り

力強く魅力があります

刑務所での死刑囚の女性達の歌舞伎であればくどきのような それぞれの罪の告白

だから殺された男たちは 殺されて当然

自業自得よ

そう歌い踊る場面のまがまがしくも妖しい魅力に溢れたダンス

ママ モートンが登場場面の歌と踊り

ビリーフリンのミュージカル場面

忘れられた夫エイモスの僕はセロハンー嘆きの

こんなむちゃくちゃあるかい!

でも「シカゴ」なら ありなのかも(笑)

無理と無理を通してしまうシカゴ

楽しくて切なくて哀しい

それでも今は舞台に立ってる 歌ってる

どうよ 私たちを見て!観て 観て!

人生の舞台は私たちのもの

キャサリン ゼダ ジョーンズ

素敵な 素晴らしい女優さんです

表情に深みがありました

芝居の部分の表情のリアルさがなければ ただの荒唐無稽なだけの映画になってしまった可能性もあります

クイーン ラテフアーも良かった

金のためのーとは言いながら できれば女性を助けたいんだ

そんな素の気持ちも現してましたから

作られたマスコミの人気におごっていたロキシーが「死」にリアルにおびえる死刑執行場面での それぞれの表情

死が案外身近なものであったと思い知らされたときの

ママ モートンにもできなかったことがある できないことがある

観て損はない映画です

この映画の情報あるサイトさん↓

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%82%AB%E3%82%B4_(2002%E5%B9%B4%E3%81%AE%E6%98%A0%E7%94%BB

http://artsmarketing.jp/archives/726

http://movie.maeda-y.com/movie/00025.htm