ゆきえと一馬を連れ帰った真は 何があったかを優希に話した
安心した沙月と紀梨子は食事の用意を始めている
きぬえ伯母から聞いた話だけどーと優希は 真に教えた
坂浦実保子が真を手に入れようとするのは 真が巴弥都真太郎に容姿が生写しだからだ
だが闇側が真を欲しがるのは 真が音響効果のスピーカーのように味方する相手の力を増幅する「能力」があるため
だから真に触れられた一馬は 爆発した
おそらく自分に何かの力があるとは知らなかっただろうし 制御できず意識を失った
闇は華守姉弟の力が真により更に強くなることを警戒したのだ
「その嫌がることをしてあげようと思う」優希はにっこりする
そうして華守姉弟が食事を終えると 何が起きたのか気にしている二人に まず真が説明した
ーだけど僕らが行く前に ゆきえさんを守っている人がいた
日本てぬぐいを姐さんかぶりにした和服姿の女性とその連れー
「ああ その人はー」と ゆきえが少し言葉をかわした女性のことを説明した
そして自分の腕の内側に浮き上がる紫色の蛇のことも
それから女性が言った「視(み)えない龍」
「たぶん それは一馬君のことだ 一馬君の背中から飛び出した龍が あの闇を切り裂いたのだから」
「え お俺」と一馬が自分の顔を指さす
「また また~~~俺はただの無害な一般市民ですって」
優希が話し出す「どうして妖怪退治とか 魔物に関する本が 物語が昔からあると思う」
それは説明できないものや それを退治したり共存する一族が確かに存在するから
そういう血や一族でいることを嫌がって出ていった人間
離れて そうして自分が何者かを知らずに暮らしている人間もいる
ゆきえさんの腕の蛇はあなたを守るモノ
だから危険を知らせようとした
幸い私は隠れた力を引き出し使いこなす方法を知っているの
「だから特訓してあげる」と優希は微笑んだ
笑う優希はとてつもなく恐ろしいのだと 真も一馬もゆきえも知ることになる
不幸にして巻き込まれてしまったのだけれど 華守姉弟は貴重な戦力なのだった
「繭の見る夢」ー総力戦ー1 ↓