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ヘウォンは初めてミョンヨの病について知りました。
薬局の人が、頭痛が酷い筈だと言っていたのが、本当だったと知りました。ミョンヨ本人も頭痛がするのを認めてはいましたが、嘘っぽい言い方をしていたので、ヘウォンは大ごとだとはとらえてなかったのです。
緑内障が進んでいて、もう既に右目視力は殆ど無いと医師は言いました。
かなりひどい痛みがあった筈なのに、病院で治療をしていなかったなんて・・・と呆れられました。
ヘウォンは、母ミョンジュに連絡しました。
いつものような淡々とした受け答えに、ヘウォンは呆れてしまいました。
2月になると、この地域では餅つき大会が開かれます。
春が近づいていると気付かされる行事です。
これがねぇ、杵で付くのは同じなんですが、餅を置いているのがなんと、板
臼じゃないんです。
ちょいとびっくり
老いも若きも交じって共同作業をします。
作業をしながら、井戸端会議をする主婦たち。
ジャンウがお見合いしたのも、既に皆に知られてます。この町では、家庭内の秘密なんて無いも同然みたい。
ジャンウのお見合いの話に、自分でも意外なほどに動揺したのはウンシル。
元々、ジャンウがウンシルを好きなのは傍から見るとバレバレの状況。
でも、ウンシルの動揺を見たら、ウンシルもジャンウを好きなのかもね。これまで意識していなかっただけで。
ミョンヨは治療を拒んで勝手に退院してしまいました。
自宅に戻ると、ミョンジュが待っていました。
ミョンジュは、ミョンヨの右目を見て泣き出しました。
全力で生きろと言ったでしょ・・・とミョンジュ。
「そんなことできるわけないでしょ。」
と、ミョンヨ。
ミョンヨはずっと罪の意識に苛まれて来ました。罪を償う機会をミョンジュに奪われてしまったことによって。
消える筈ないのです、あの日の記憶は。
2人が言い争っているところに、ヘウォンが帰宅しました。
言葉を止めて、何とかその場を取り繕いました。
ヘウォンは、ミョンヨを説得して治療を受けさせてくれと、母に頼みました。
でも、ミョンジュは何も答えませんでした。
この世の全てを経験したいと夢を語っていたミョンヨ。そんな妹を自分のせいで壊してしまったとミョンジュは思っていました。
だから自分が罪を被るのは当然だと。
でも、今、その行動は間違っていたのかもしれないと、思い始めたのかも。
フィがジェインと言う女子生徒に殴られました。
フィが片思いしてるヨンスの彼女だと自認してて、このところフィがヨンスと関わっているのがムカついたのです。
でもね、泣き寝入りするフィじゃありません。
そうと分かったら、殴られたままにはしていられません。で、反撃したってわけ。
結局、母とウンソプが学校に呼ばれる羽目になってしまいました。
ヘウォンは、ミョンヨと母の言動が理解出来ないと、ウンソプにぼやきました。
「もしかしたら、時間が解決してくれるのかも。」
と、ウンソプが言いました。
冬が過ぎて春が来るように・・・。
春の気配がする・・・とウンソプが言うのを、ヘウォンは複雑な気分で聞きました。
春になったら、ヘウォンは去って行くとウンソプは考えているのを、日記で知ったからです。
ここを去る事になるのかどうか、ヘウォンにも分からないようです。
ただ、ウンソプが言うように、時が解決してくれるだろうと、感じています。
この作品のゆったりとした雰囲気は、この考えが根底にあるからだと思いました。
決してはっきりとした結論や結果を求めず、解決を急がず、自然に時の流れに任せていれば、落ち着くところに落ち着くという考え。
時と場合に寄るけど、現実の世界でも、こういう事は案外多いのかもしれません。勿論、はっきり、迅速に結論を出すべき事もありますが。
ミョンヨはチャ編集長に真実を告げました。メールで。
『噂は事実じゃない。実は私は一瞬たりとも人生を諦めたくなかった。自分に才能が無いと思ったことも、しょせんこの程度だと思ったこともない。自分が病気になったり年老いて醜くなると思ったことも一度も無かった。こんな風に孤独に、ただ死を待つかのように生涯を過ごすとは思ってもみなかった。それに私は一瞬たりともあなたと別れたくなかった』
チャ編集長は、メールを読むなり、駆け付けて来ました。
「一度抱きしめさせてくれ。」
そして、しっかりとミョンヨを抱きしめたのです。
俺も一瞬たりとも別れたくなかった・・・と。
「私が何をしたのか、ちゃんと読んだの?」
と、ミョンヨが聞きました。
・・・と言う事は、事実をありのままに小説に書いたということですね、ミョンヨは。
何が真実で何が創作か、決して聞かないと契約条項にあった・・・とチャ編集長。
意外に器が大きいのね・・・とミョンヨが言うと、
「だからお前を愛したんだ。」
と、チャ編集長は言いました。
大人の素敵な会話です。
ウンソプにミョンヨからメールが届きました。
添付されていたのはミョンヨの小説『シスターフィールドの迷路』の原稿。
ヘウォンに伝えるかどうかは、ウンソプに任せると。
ウンソプはミョンヨに返信しました。
ヘウォンに話したいと思っての事だとは思うが、状況を正確に把握していない自分が伝えるかどうかの判断は出来ないと。辛くても、直接話す方が良いと思う。原稿を渡すところまでは自分にもできるから。
沈黙の中でとても辛かったと思います。そして、ミョンヨさんがヘウォンを愛していると、僕は信じています・・・と。
ウンソプは、原稿をヘウォンに渡しました。
早く読んだ方が良いと思う・・・と言って。
ヘウォンは、いつにないウンソプの固い表情が気になりました。
原稿を読みました。
思ってもみなかったことがそこには書かれていました。
母ではなく、これまで唯一信じて頼りにしてきたミョンヨが父を殺した真犯人だったなんて・・・。
呆然としているところに、母ミョンジュが来ました。
ヘウォンは、母も叔母も信じられませんでした。
ミョンジュも、いつものように冷静ではいられず、どういえば良いのか、おろおろし、混乱してしまいました。
ヘウォンは、家を飛び出して行きました。
ミョンヨが帰宅した時、テーブルの上には原稿が。
ヘウォンが読んだと気付きました。
ヘウォンは呆然としたままバスに乗り、終点まで行きました。
そこに、ウンソプが駆け付けました。
誰が連絡したのか分かりません。
ウンソプの顔を見て、ヘウォンは泣き出しました。
ウンソプは上着を着せ掛け、そっと肩を抱き寄せました。