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ハルは『秘密』のページの残りが少なくなっている事に気が付きました。
終わりが近づいていると言う事です。
実際、クラスメートの中で、影の薄いエキストラが消えていきました。
ダノは、ハルとすれ違うたびに治った筈の心臓が痛み出す事に気づきました。
病気がぶり返したというのとは違う痛みでした。
ある日、突然の痛みに倒れてしまったダノ。
ハルが医務室に運び、倒れた時に怪我をした膝小僧の手当てをしてくれました。
前にもあった・・・と言うハル。
ところが、その途端、また痛みがぶり返してしまい、ダノはハルを拒絶したのです。
確かに、ハルが膝小僧の怪我を手当てしてくれる映像が頭を過りました。
いったい、これは何なんだと、ダノは混乱しました。
また、あのブラックホールが現れました。
ハルが気づきました。
もしかしたら、ダノも
ハルはダノに話しかけるたびに、自分の名前はハルだと言います。
「とても大切な人につけてもらった。」
・・・と。目には涙がたまっているのですが、ハルは一生懸命笑顔で言うのです。
ダノとギョンは幼馴染ゆえ、たくさんの思い出を持っています。
10年前、背比べをしたことがありました。当時からギョンの方が背が高かったのですが。
10年後、まだ自分の方が低かったら、願いを叶えてあげるとダノはギョンに約束していました。
もち、今は更にその差は広がっているわけで。
あなたより大きいものがある・・・とダノ。
「あなたを好きな気持ち。」
ギョン、本当に嬉しそうな笑顔を浮かべました。
明日の夜、学校で会おう・・・とギョン。明日で丁度10年経つからと。
「あの時も今も、いつも傍に居てくれてありがとう。」
そう言って、ギョンはダノに近づきました。
当然、kissするんだろうと思った私。ダノも期待して目を閉じちゃったし
でもね、寸前で止めちゃった。シャドゥになったんです。
「思い出もお前もそのままなのに、こんな瞬間を待っていたのに、ステージが本物だと思いたかったのに、俺の前でお前は偽物だった。偽物のお前を傍に置こうとした俺は化け物だ。」
辛そうなギョンです。
初めてステージを変えようと思ったのかも。
ギョンとの待ち合わせ場所は、学校の中で一番古い、あの木の前。
先に来たダノに、“向かってる”と言うメールがギョンから届きました。
その時、また心拍計が鳴り始めました。
何故と、ダノは胸を押さえました。
ページをめくる音、シャドゥに変わる音が聞こえました。ダノにも聞こえましたが、その意味はまだ分かりません。
ギョンを見つけたダノは、背比べをするために、背を合わせました。
願いを叶えてあげるわ・・・と。
背を合わせた瞬間、ダノの脳裏を凄い勢いでハルとの思い出が駆け巡りました。
ギョンのコートを着たその人物は、ハルでした。
「最後に君に会いたかった。僕は消えてもいい。君さえ幸せなら・・・。この瞬間を覚えていなくても・・・。」
と、ハル。
「私は余命僅かの女子高生。あなたは名前も無かったエキストラ13番。あなたのお陰で私の運命が変わって日々(ハル)が特別になった。」
泣きながらダノが言いました。記憶が戻ったのです。
「どこにも行かないと言ったでしょ。もう二度と一人にしないと言ったでしょ。」
ハルも泣きながらダノを抱きしめました。
ダノ・・・僕の全ての瞬間が君だ・・・。僕の最後の場面でも君を覚えておく。
ハルの言葉、いつも胸に沁みます。
『秘密』の残りは、もうあと数ページになっていました。
ダノに会いに行く寸前、ギョンはハルに自分のコートを渡していました。
ダノの本当の願いが何なのか、考えた結果でした。
ダノは、ギョンに指輪を返しました。
前作も今回も、俺は化け物だった・・・とギョンが言いました。
でも、少なくとも今回は自分にとってギョンは化け物じゃないと、ダノは言いました。
自分の心の傷を唯一理解してくれたのはダノだと、ギョンは改めて感じました。
泣けて来ました。初めて、他人の前で見せた涙でしたね。
そんなギョンも、ダノは受け入れました。
ダノとハルは以前のような・・・いえ、以前以上にです。
でも、ハルは気づいていました。
少しずつ自分の存在が作者によって消されつつあることに。
ダノには知られたくありませんでした。最後の最後までダノと幸せでいるために。
ダノを見つめる優しいハルの眼差し。その中に悲しさが見えます。
ある日、彼らの思い出の場所、美術室が消えました。