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巨大ブラックホールの衝突が新宇宙を形成⇒循環宇宙論、有機物質から人間への進化メカニズム(循環論理の評価)⇒戦略的進化論

小村寿太郎と山本五十六という日本を代表する教科書エリートが過った大きすぎる判断ミス

2017年02月26日 17時14分10秒 | 軍事外交
 小村寿太郎は剃刀と呼ばれ、相当の頭脳を持った切れ者だったようだ。大学南校(今の東京大学)に入学、ハーバード大学で法律を学んでいる。山本五十六は超難関の海軍兵学校を2番で卒業しており(上位者は悉く大将以上になっている)こちらも際立った秀才であったことは間違いない。

 小村寿太郎が外相としてロシアとのポーツマス条約を締結し帰国すると、政府がアメリカの鉄道王ハリマンとの間に満州鉄道との間に共同開発契約の覚書を交わしていた。小村寿太郎は尊い犠牲で獲得した満州鉄道を少しでも渡してなるものかと激怒し体を張って破棄させた。

 元老伊藤博文ら(明治維新を成功させた実力者達)の判断に逆らった。日本人の心情的には小村寿太郎を支持する意見が多い。僕の母方の祖父も満州鉄道社員だったので分からんことはない。しかしハリマンとの満州鉄道共同開発は日本にとってこれ以上望むべくもないチャンスだったと思う。

 実は戦後、似たような状況が起きて日本の運命を決定付けた。1980年代からのバブル景気時に日本はアメリカの経済に挑戦し、追い越そうとしていた。日本人は知らないが、当時、アメリカにとって日本は対峙するソビエト以上に頭が痛かった。

《日米同盟に頼り、防衛の負担が無い余裕をもって日本は経済でアメリカを打ち負かせようとしているように見えた。一方、アメリカでは経済で日本が世界一になっても良いとの考えも有った。しかし、日本が排他的に自分達だけ富を独占する動きだった事から、アメリカはバブルを破裂させた上で世界の工場を日本から中国に移す。日本経済が長期停滞し今に至っている事はご存知の通り》

 当時、強大国ロシアは淡々と満州を狙っていた。日本は日露戦争には勝ったが、そこには山のような血のにじむ努力・発明・工夫、そして戦争債券を買ってくれた英・米の後押しが有った。奇跡の奇跡で一瞬、運命の女神が微笑んだものだった。知識型の超エリートは勝利を単なる知識としてとらえた。ハリマン自身も債券を買ってくれた本人だった。

 ハリマンの落胆ぶりは激しく(ハリマンはヨーロッパに通じる鉄道を建設したかった)、この頃からアメリカは決定的な日本憎しの方向に転換する。アメリカは満州と中国の区別が出来ず、中国の権益獲得を日本が妨害していると判断した。

 そもそも日露戦争の終結は、中立的な立場の強大国アメリカを仲裁役に立てたものだった。仲裁は戦争の当事国以上の力が無かったら出来るもんじゃない。例えば目の前で起きた殴り合いをあなたが止めようと思ったら、あなたが圧倒的に強くない限りぶん殴られて気絶するのがおちだ。

 アメリカと共同で満州鉄道開発を組めば、ロシアは満州およびその先の朝鮮や日本には一切手が出せない。莫大な資金も出してくれる。アメリカ人と一緒にヨーロッパまで旅すりゃー良かった。日米軍事同盟も出来た可能性は十分ある。

 この後、アメリカの強硬な働きかけで日英同盟が破棄される。この日英同盟の終結が実に痛すぎた。昭和に入ってスーパーエリートの軍事官僚が勝算のないアメリカとの戦争を企て、仲裁国も無く、落としどころも無く、出口の無い無謀な戦争に走ってしまった。

 明治時代のリーダーが優れていたのではないかとの漠然とした思いは有ったが、実際書籍で調べると予想以上に、それは凄かった。大きかったのは当時、武士が存在したという事だ。自分を投げ打ってでも日本を守るという気概や理念を持った武士が全国に健在だった。

 その一人が東郷平八郎で、バルチック艦隊に対し、自身は先頭の旗艦三笠のブリッジから離れず、T字ターンで世界一のバルチック艦隊を打ち破ったのだ。最高責任者が銃弾の飛び交う最前面にいる。部下が燃えないはずはない。だから第二次世界大戦のアメリカ司令長官・ニミッツが東郷を尊敬してやまなかった。

 これに対して、ハワイ攻撃を南雲中将に負かせ、自分は瀬戸内海の柱島でゲームをやっていた司令長官山本五十六とは180度ぐらい違う。ミッドウェイ海戦時も500kmぐらい離れたトラック島に戦艦大和を浮か、高級ホテル並みの豪華サービス部屋で部下とゲームしている。

 しかも、高性能通信機を備えたヤマトでは敵艦の通信を傍受し敵艦の位置も分かっていたが、それを南雲艦隊には伝えていない。伝えれば状況が大きく変わり得た。通信するとヤマトの位置を敵に知られるのを恐れた可能性が高い。自らの絶対安全を確保している。 

 僕は先の戦争が侵略戦争だとは思っていない。日本を守る自己防衛の戦いだった。その事は後にマッカーサーも議会で証言している。侵略していたのは欧米であり、日本軍の働きで、欧米はアジアの植民地を一気に失った。日本は白人による植民地体制を終焉させたのだ。ただ、日本の戦いは余りにも稚拙過ぎた。

 軍事官僚・山本の最も重大な罪は、ミッドウェイの大敗を大勝利と大嘘をつき、情報管制を徹底したことだ。都合の悪い部下は死ぬよう危険地域へ送り込んだ。ミッドウェイ大勝で、陸軍との地位が逆転し、戦争は海軍主導となり、誰も山本の暴走を止められなくなる。

 もし、ミッドウェイでの大敗を認めて、戦争を止めていたら日本の死者は1万人で済んでいたという話だ。山本が率いた海軍は戦争を暴走させ、公式の記録で日本人は310万人が亡くなっている。戦後亡くなった人も加えると500万人と報告されている。
 
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