【社説②】:池田議員逮捕 派閥の不正も追及せよ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:池田議員逮捕 派閥の不正も追及せよ
自民党安倍派の政治資金パーティー収入を巡る裏金事件で衆院議員(比例東海)の池田佳隆容疑者と政策秘書が東京地検に逮捕された。政治資金規正法違反(虚偽記入)の疑いだ。裏金システムがどう作られたのか。派閥側の不正も徹底追及すべきだ。
政治資金規正法では、政治団体の会計責任者に会計処理の提出義務を課し、政治資金の授受の透明性を図っている。収支報告書に偽りの記載があれば処罰される。
池田容疑者側は2018年から22年にかけての5年間に、派閥から政治資金パーティー券の販売ノルマ超過分として裏金計約4800万円を受け取った。だが、会計責任者の政策秘書と共謀して、その寄付収入を自らの資金管理団体の政治資金収支報告書に記載しなかった疑いが持たれている。
過去の事例に照らせば、検察が正式起訴に持ち込むのはおおむね1億円を超えるケースが多い。
池田容疑者は昨年末に東京地検の家宅捜索を受け、押収物の解析などから議員事務所によりデータ破壊やLINE(ライン)のやりとりの消去など証拠隠滅が行われていたことが分かり、その悪質性から逮捕に至ったとみられる。
池田容疑者側は「党から派閥を経て支払われる政策活動費との認識だ」とも釈明したが、派閥のパーティー収入からの裏金をそう主張するのは不合理だ。多額のカネの使途解明も必要である。
池田容疑者と同様に大野泰正参院議員(岐阜選挙区)の事務所なども家宅捜索している。いずれも裏金を受け取った側であり、裏金を出した派閥側の問題もある。
100人近い安倍派の議員の大半が裏金を受け取ったとみられ、直近の5年で還流分は総額約5億円にも上る。こうした還流システムは安倍派内に長年存在し、22年春に取りやめが検討されたが、派閥幹部らが協議して、取りやめを撤回したともされる。
派閥側が不正な会計処理を主導していたなら到底許されない。収支報告書に記載しないことについて、派閥幹部から会計責任者に指示があったのか否か、あったとしたらどのような指示だったのか、こうした点が捜査の重要な焦点だ。厳正に捜査し、派閥側の責任追及も進めてほしい。
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年01月10日 08:13:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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