【編集日記10.10】:万歳三唱
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【編集日記・10.10】:万歳三唱
英国の万歳は日本と同様、3度繰り返す。ただし、英語には「2度の万歳」という表現もあって、「ほどほどの賛同」という意味がある。3度まで称賛するほど良いとは思ってはいないーという場面で使う
▼この国の作家で、論客としてならしたフォースターが2度の万歳に値すると評したのは民主主義。1度目の万歳はそれが多様性を認めているから、2度目は批判を許すからという理由だ
▼多様性が大切なのは、全ての文明にはさまざまなタイプの人間が必要だから。そうした全ての人々に活躍の場を与えてくれるのが、民主主義の国であるという
▼もしも批判が許されなければ、悪事は必ずもみ消されてしまう。議会は批判とおしゃべりの場に過ぎないと冷ややかな目を向ける人もいるが、そのおしゃべりがあるからこそ悪事が暴露され、矯正される場合もある。だから私は議会を評価するーと、この作家は言う
▼党首討論でおしゃべりが尽くされたのかは甚だ疑問だが、万歳三唱で衆院が解散した。果たして日本の民主主義が多様性を認め、批判もきちんと受け入れられるほど成熟しているのか、もろ手を挙げた3度目の万歳に値するのか。問われているのは、政治家だけではない。
元稿:福島民友新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【編集日記】 2024年10月10日 08:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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