路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【卓上四季】:AIごときに

2019-08-30 05:05:10 | 【雇用・正規、非正規・パート・賃上げ・失業率・求人・労働組合・労働貴族の連合】

【卓上四季】:AIごときに

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【卓上四季】:AIごときに

 尾道に住む老夫婦が、独立した長男、長女に会いにはるばる東京へ旅をする。だが日々の生活に追われる子供たちの態度はどこかよそよそしく、孫もなつかない。優しくしてくれるのは、戦死した次男の嫁だけだった―▼小津安二郎監督の「東京物語」(1953年)は、戦後の復興とともに失われゆく家族の絆を描いた。東京で途方に暮れる老夫婦の悲哀に胸をつかれるが、それでも2人は旅の終わりにこう言って納得し合う。「欲を言やあ、きりないが、まあええ方じゃよ」「ええ方ですとも。私ら幸せでさ」▼思い通りにならなかった人生だとしても「自分はまだ恵まれている」と言い聞かせて前を向く。ただの思い込みにすぎないのかもしれぬが、自らの人生をどう意味づけるかは、当人だけに許された特権であろう▼就職情報サイト「リクナビ」の運営会社が、学生の「内定辞退率」を予測して勝手に企業に販売したことが大問題になっている。就職は人生で最も重要な決断の一つだ。それを人工知能(AI)に先回りして予測させるという発想自体に嫌悪感を覚える▼「矛盾の総和が人生だ」。小津は「彼岸花」(58年)の主人公にそう語らせた。人は年齢を重ねながら、それに気付いていく▼いかにビッグデータがもてはやされても、AIごときに「あなたの人生は矛盾だらけでしょう」などと予測される時代になるのは御免被りたい。2019・8・30

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【卓上四季】  2019年08月30日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【HUNTER】:出水市庁舎建設 「談合なかった」の怪しい実態

2019-08-29 08:30:30 | 【地方自治・都道府県市町村・地方議会・議員年金・デジタル田園構想・地方地盤沈下】

【HUNTER】:出水市庁舎建設 「談合なかった」の怪しい実態

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER】:出水市庁舎建設 「談合なかった」の怪しい実態 

 事前に談合情報が流れたため延期された鹿児島県出水市の支所庁舎建設工事の入札が、業者への事情聴取を経て2日後に実施された。予想された通り「談合はなかった」との結論で、改めて官民癒着の強固さを印象付けた格好だ。
 入札の執行状況を確認したところ、案の定、納税者である市民をなめ切った業者と税金支出に無頓着な市役所の姿勢を露呈させる酷い結果だった。事前情報と実際の入札結果を明らかにし、出水市民にその是非を問いたい。

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 ■詳細極めた談合情報
 問題の工事は、「出水市高尾野支所庁舎建築工事(1工区)」「出水市高尾野支所庁舎建築工事(2工区)」「出水市野田支所庁舎建築工事(1工区)」「出水市野田支所庁舎建築工事(2工区)」の4件。入札公告によれば、Aランク(公式には「A級」)の業者がBランク(同「B級」)または別のAランク業者と建設共同企業体(JV)を組んで応札し、今月19日に入札が行われる予定となっていた。

 HUNTERに談合情報が寄せられたのは16日金曜日の午後。それによると、出水市のAランク業者だけでJVの組み合わせ、工区割り、出資比率などを決めた経緯が明かされており、談合が行われた時期と場所も示されていた。(*下は、HUNTERが入手した談合を告発する文書の一部

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 談合を主導した業者の実名など、当日の様子まで詳述されていたため、出水市の入札を所管する政策経営部契約検査課に事実関係の確認を要請。同課は、「談合情報が寄せられた場合のマニュアルに従って対応する」としていったん19日の入札を延期したが、業者への事情聴取を行って「談合なし」の結論を出し、21日に入札を実施していた。

 ■市民を愚弄する入札結果
 役所に談合情報が寄せられた場合のお決まりの流れだが、HUNTERが得た事前情報と実際の落札状況を見比べると、出水市のAランク業者に“反省”の色はなく、市には税金支出と厳しく向き合う姿勢が欠如していることが分かる。下が、その比較表。市民を愚弄しているとしか思えない。

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 市役所もずいぶんなめられたもので、「高尾野支所庁舎建築工事(2工区)」と「野田支所庁舎建築工事(2工区)」を落札したのは、談合情報通りのJV。「高尾野支所庁舎建築工事(1工区)」と「野田支所庁舎建築工事(1工区)」は、落札JVを入れ替えただけだった。各JVの組み合わせも、事前情報通り。「談合はなかった」という出水市や業者の主張を、信じる市民は皆無に近いだろう。

 ちなみに、各工区の落札金額は次の通りだ。

「高尾野支所庁舎建築工事(1工区)」:1億8,260万円
「高尾野支所庁舎建築工事(2工区)」:2億6,070万円
「野田支所庁舎建築工事(1工区)」 :2億5,488万800円
「野田支所庁舎建築工事(2工区)」 :1億8,865万円

 設計費など他の支出を加え10億円を越そうかという大型事業の原資は、言うまでもなく市民の税金だ。談合は、その血税を貪る犯罪行為であり、市民への背信に他ならない。市役所と業者が“なあなあ”で公共事業を進めた場合、泣きを見るのは市民なのである。 

 疑惑の発端となった談合情報の内容は、前述した通り時期や場所、首謀者、JVの組み合わせ、落札する工事や落札率まで詳述したもの。「なかった」ことにされてしまったが、もし“録音データ”が残っていた場合、業者や市はどう対応するのだろう……。 

 元稿:HUNTER 主要ニュース 政治・社会 【社会ニュース】  2019年08月29日  08:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 
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【社説①】:漂流するG7 存在意義を問い直せ

2019-08-29 06:10:50 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【社説①】:漂流するG7 存在意義を問い直せ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:漂流するG7 存在意義を問い直せ 

 先進七カ国首脳が結束し強いメッセージを国際社会に発信する-。首脳宣言取りまとめを見送ったフランスでのG7サミットはその役割を果たせなかった。G7は存在意義を自ら問い直すべきだ。

 トランプ米大統領と閉幕後の共同記者会見に臨んだ議長役のマクロン仏大統領は「われわれの共通点は時間を無駄にしたくないことだ」と述べた。会議を引っかき回すトランプ氏へのあきらめが見て取れた。

 自国第一主義のトランプ氏は本来、国際協調の場であるG7とは水が合わない。マクロン氏はできもしない意見集約に時間と労力を費やしたくなかったのだろう。

 サミットは一九七五年にパリ郊外のランブイエ城で初めて開催された。これを提唱したジスカールデスタン仏大統領は、サミットの在り方として、首脳だけが膝詰めで忌憚(きたん)なく論じ合うスタイルを描いていた。

 ところが実際には、各国は大規模な随行団を送り込み、首脳は官僚が用意したペーパーを読み上げることが多く、官僚は成果文書の文案調整に徹夜する。

 首脳宣言に代わる簡潔な総括文書の文言をマクロン氏自身がつくったのには、ジスカールデスタン氏が構想した原点へ戻ろうという意図もあったのかもしれない。

 二〇一四年にクリミアを併合したロシアを追い出し、民主主義や法の支配、自由貿易という価値観を共有する本来のG7の姿に戻った。

 国際情勢の不透明化が深まる中で、西側の結束を示す場となるサミットを再評価する声もある。

 〇八年に起きたリーマン・ショックの危機対応として発足したG20が、参加国・地域が多い分まとまりを欠き、期待したほど機能していないことも再評価の後押しになった。

 ただし、G7は足並みがそろってこそ価値がある。トランプ氏がいては価値観の共有ができているかも怪しい。

 しかも、往時は世界全体のGDP(国内総生産)の七割近くを占めたG7だが、今では五割を割り込み影響力は低下した。

 それでも、結束は望むべくもないトランプ時代だって永遠に続くわけではないと腹をくくって、あくまで価値観を同じくする国の集まりのままでいくのか。

 あるいは影響力の回復を目指して、体制の違う中国やロシアにも門戸を開くのか。G7は方向性をじっくり考えてほしい。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年08月29日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:商業捕鯨再開 「食文化」は守れるか

2019-08-29 06:10:40 | 【水産資源・海洋環境・漁業・水産加工・缶詰・調査捕鯨・鰻・鮪・鮨・回転寿司】:

【社説②】:商業捕鯨再開 「食文化」は守れるか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:商業捕鯨再開 「食文化」は守れるか 

 国際捕鯨委員会(IWC)を脱退した日本は、この夏商業捕鯨を再開したが、肝心の消費は伸び悩む。鯨食は日本古来の「食文化」には違いない。だがこれで、持続可能になった、と言えるのか。 

 商業捕鯨再開初日に捕獲されたミンククジラの肉が、北海道・函館市水産物地方卸売市場で競りに掛かった七月四日。たまたま市内に滞在中だった。

 その晩、宿泊した旅館の夕食に、見慣れないものが出た。

 「これ何ですか」と配膳のスタッフに尋ねると、「オバケ(尾羽毛)です。クジラのしっぽの部分を薄くスライスしてゆでたもの」という答え。

 「今回、揚がったやつですか」と聞くと、「いいえ、道南では、お正月とかにクジラを食べる習慣があるんです」。江戸時代、松前藩が統治した時代から受け継がれてきた「食文化」なのだという。

 日本人は有史以前からクジラの肉を食べていた。しかし、それらは沿岸で捕れたもの。十九世紀末、捕鯨砲で銛(もり)を撃ち込む、効率のよいノルウェー式砲殺法が導入されると、近海の資源が減少し、北太平洋へと漁場が広がった。日本の捕鯨船団が南極海に進出したのは、一九三四年のことだった。

 しかし、そのころの遠洋捕鯨の目的は、食用ではなく、主に鯨油の採取。貴重な輸出品だった。

 太平洋戦争で途絶えた遠洋捕鯨を復活させたのは、連合国軍総司令部(GHQ)、すなわちマッカーサーだった。深刻な食料難に対処するため、タンパク源として目を付けた。食用としてのクジラが脚光を浴びたのは、実は戦後のことだったのだ。

 IWCを脱退してまで商業捕鯨を再開してはみたものの、六〇年代には年間二十万トンに上った鯨肉消費も、今では数千トン程度。肝心の消費は伸び悩む。牛肉や豚肉などが手軽に買える今となっては、ある意味当然のことではないか。

 一方、古式の沿岸捕鯨が栄えた三陸や安房(千葉)、紀州や西海(長崎)などにも、鯨食は「食文化」として根付いている。

 イルカ類やツチクジラなど近海の小型鯨類は、もともとIWCの規制対象外だった。IWCを脱退したことにより、そちらへの風当たりも強まることになるだろう。

 IWC脱退は、日本の食文化にとって、果たしてよいことだったのか。鯨食文化を守るためには、国際秩序への早期復帰を図るべきではないのだろうか。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年08月29日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【筆洗】:第二次世界大戦中に活動した有名なスパイにフアン・プホル・ガルシアという・・・

2019-08-29 06:10:30 | 【雇用・正規、非正規・パート・賃上げ・失業率・求人・労働組合・労働貴族の連合】

【筆洗】:第二次世界大戦中に活動した有名なスパイにフアン・プホル・ガルシアというスペイン人がいる。

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:第二次世界大戦中に活動した有名なスパイにフアン・プホル・ガルシアというスペイン人がいる。

 いわゆる「二重スパイ」である。ある時は英国の情報をドイツに流し、ある時はドイツの情報を英国に提供する▼れっきとした英国のスパイである。ドイツのスパイになっていたのは懐に飛び込み、信頼を得て機密情報に接近するための偽装。ドイツに流した英国の情報の大半は捏造(ねつぞう)したものや意味のない内容だったそうだ▼就活学生の味方のふりをして情報を集めて、そのデータを断りもなく学生を採用する企業側に売る。まるでガルシアの手口である。就職情報サイトの「リクナビ」が学生の内定辞退率を算出し、企業に販売していた問題である。政府の個人情報保護委員会はサイトを運営するリクルートキャリアに対し組織見直しなどを勧告した▼就活学生がどんな企業のサイトを閲覧していたかなどをAIを使って分析し、辞退率をはじき出していた。そのデータによって、企業が学生への内定を見直すようなことも起こり得る。その商売は学生への明白な裏切りである▼ガルシアは英国はもちろん最後までだまされていたナチスからも勲章をもらったそうだが、リクナビに与えられるのは曲がったビジネスへの軽蔑である▼「リクナビ」を並べ替えて、スパイめいた暗号文を作るならば、「ビ(っ)クリナ」か「クビナリ」か。 

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2019年08月29日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【首相の一日】:8月28日(水)

2019-08-29 06:10:20 | 【政策・閣議決定・予算・地方創生・能動的サイバー防御・優生訴訟・公権力の暴力】

【首相の一日】:8月28日(水)

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【首相の一日】:8月28日(水) 

 【午前】9時46分、横浜市西区のヨコハマグランドインターコンチネンタルホテル。10時36分、エジプトのシシ大統領と会談。11時26分、国連のグテレス事務総長と会談。52分、世界食糧計画(WFP)のビーズリー事務局長と会談。

 【午後】0時21分、同区の国際会議場「パシフィコ横浜」。23分、ササカワ・アフリカ財団主催のシンポジウム「アフリカの農業と未来-若者の力と農業ビジネス-」に出席し、あいさつ。35分、ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテル。57分、イランのザリフ外相の表敬。1時29分、パシフィコ横浜。31分、STSフォーラム主催のワークショップ「科学技術とイノベーションにおける日・アフリカの連携」に出席し、あいさつ。50分、日本貿易振興機構(ジェトロ)主催「ビジネスEXPO」を視察。2時6分、ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテル。16分、南アフリカのラマポーザ大統領と会談。53分、第7回アフリカ開発会議(TICAD)参加各国の首脳らと写真撮影。57分、パシフィコ横浜。3時5分、TICAD開会式に出席し、基調演説。全体会合。4時5分、ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテル。15分、国連教育科学文化機関(ユネスコ)のアズレ事務局長と会談。37分、ケニアのケニヤッタ大統領と会談。5時5分、アルジェリアのベドゥイ首相と会談。28分、マリのケイタ大統領と会談。48分、ギニアのコンデ大統領と会談。6時13分、トーゴのニャシンベ大統領と会談。40分、アフリカ連合(AU)のファキ委員長と会談。7時16分、同区の横浜ロイヤルパークホテル。20分、宴会場「鳳翔」で昭恵夫人と共に首相・横浜市長共催歓迎レセプションに出席し、あいさつ。50分、ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテル。宴会場「ベイビュー」で飯島勲、谷口智彦両内閣官房参与、秘書官らと食事。宿泊。

 <メモ> 

 首相はTICAD開幕に際し、アフリカ諸国首脳や国際機関代表ら11人と相次いで会談しました。会談は10~20分刻み。「マラソン会談」の皮切りで、31日までに約50人と個別に会談する予定です。 

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政局・首相の一日】  2019年08月29日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:あおり運転 厳罰化だけでは済まぬ

2019-08-29 05:05:30 | 【事件・未解決・犯罪・疑惑・詐欺・闇バイト・オウム事件・旧統一教会を巡る事件他】

【社説①】:あおり運転 厳罰化だけでは済まぬ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:あおり運転 厳罰化だけでは済まぬ 

 重大な事故につながりかねない極めて危険な行為だ。その自覚はあったのだろうか。

 茨城県の高速道で走行中の車を強引に停車させ、運転手の顔を殴ったなどとして、男が傷害の容疑で逮捕された事件のことだ。

 男は、速度が遅い車に妨害されたと感じ、頭に来たと供述しているという。身勝手極まりない。

 あおり運転は、神奈川県内の東名高速で夫婦2人が死亡した2年前の事故などを契機に、社会問題化した。

 捜査当局は、悪質な死亡事故には殺人罪を適用するなど取り締まりを強化。司法も厳しい量刑で臨む姿勢を強めてきた。

 それでもあおり運転が繰り返されるのはなぜなのか。

 法に不備があるのであれば、改正する必要があるだろう。一方で、厳罰化だけで事足りるのか。冷静な視点を忘れずに、あおり運転の根絶に知恵を絞りたい。

 男は同様の行為を繰り返していた疑いがある。捜査当局は、運転行為が相手にけがをさせる恐れがあったとして、あおり運転の暴行容疑での立件も視野に入れる。

 警察庁は東名高速の死亡事故を踏まえ、積極的な摘発を指示した。昨年の道路交通法の車間距離保持義務違反の件数は、約1万3千件と前年からほぼ倍増。免許停止も最多の42件だった。

 司法の姿勢も厳しい。東名高速の事件では、検察の主張の一部は解釈上無理があるとしながら、因果関係を認める異例の判断があった。大阪地裁では今年、殺人罪の成立を認める判決も出ている。

 法の適用範囲の解釈拡大を巡っては専門家の間でも意見が割れる。公平性の欠如や安易な適用があってはならない。

 与党は「あおり運転罪」の新設を視野に道交法改正などを目指す方針だが、厳格な適用要件の規定と運用の担保は不可欠だ。

 道交法には、危険を生じさせる恐れがある場合、違反の累積点数がなくても一発で最長180日間の免許停止ができる規定がある。現行法で可能な抑止効果を吟味する必要もあるだろう。

 ハンドルを握ると攻撃的になる。そんな経験はないだろうか。免許更新時の講習などを通じて、感情のコントロールを学ぶなど、啓発の機会を増やすことも肝要だ。

 万一の際には、安全な場所で停車し、車から降りないなど、自衛策を講じる必要もある。ちょっとした行為がトラブルの発端となることも忘れないようにしたい。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年08月29日  07:50:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【社説②】:AI兵器 殺人ロボットは禁止を

2019-08-29 05:05:20 | 【防衛省・自衛隊・防衛費、大綱・沖縄防衛局・軍需産業・Jアラート・シェルター】

【社説②】:AI兵器 殺人ロボットは禁止を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:AI兵器 殺人ロボットは禁止を 

 人工知能(AI)が人間の介在なく自ら判断して人を殺傷する「殺人ロボット兵器」の規制に向け、国連の専門家会合が初の国際的な指針をまとめた。

 兵器の開発や使用には国際人道法を適用し、兵器使用の判断は人間が責任をもたねばならないとしたものの、条約など法的拘束力のある規制は見送られた。

 極めて残念である。

 中南米諸国や非政府組織(NGO)などは禁止条約を求めたが、理念的な指針にとどまった。米国やロシア、イスラエルなど開発を先行する国が反対したためだ。

 ロボットが人間の生命を奪う判断を行うのは倫理的に許されるはずがない。開発推進国は非人道性を認識し、開発をやめるべきだ。

 ロボットが人間を攻撃するSF映画のような状況が現実味を帯びている。兵器が出現する前に生産や保有、使用を禁止する歯止め策を急がなくてはならない。

 対象は、AIが人間の命令なしに自ら敵を判断して殺傷する「自律型致死兵器システム」(LAWS)だ。殺人ロボットとも言われ戦争のあり方を根本的に変える。

 開発国はAIの判断の方が正確で速く、冷静に標的を選択し人的なミスも防げるといった理由を挙げる。誤爆や市民の巻き添えなどの被害も抑えられると主張する。

 相手が先に使えば甚大な被害を受けるため、それを恐れて開発競争はエスカレートしかねない。

 そもそもAIは本当に判断を誤ることはないのか。誤作動や暴走して人間を殺りくすることはないのか。懸念は尽きない。

 生身の兵士に代わって戦場に投入するので、開戦のハードルが下がるとの指摘もある。テロリストの手に渡るリスクもある。

 問題が山積したまま開発が進んでいる現状は危険だ。

 各国は2013年から、対人地雷などを禁止する特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)の枠組みで議論を始め、17年からはNGOも含めた専門家会合で続けた。

 今月まとめた報告書では来年から2年間、協議を継続するとした。CCWは全会一致が原則のため厳しい規制を設けるのは簡単ではないが、実効性のある議論にしてもらいたい。

 日本政府は殺人ロボット兵器は開発しないとする一方で、民生ロボットやAIの技術革新を阻害してはならないとの立場を取る。

 民生用は軍事用への転用が容易である。殺人ロボットの禁止に向けた議論を主導するべきだ。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年08月29日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。 

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【卓上四季】:診察室の探偵

2019-08-29 05:05:10 | 【学校等の陰惨ないじめ・暴力・体罰・自死・家庭での虐待・不登校・児相】

【卓上四季】:診察室の探偵

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【卓上四季】:診察室の探偵 

 名探偵ホームズは、姉の怪死と不審な出来事を語り終えた女性に言う。「話はそれで全部ではないでしょう」。驚く女性の袖をまくると手首に青黒い指の痕。「ずいぶん残酷に扱われているようだ」(「まだらの紐(ひも)」)▼観察がものをいうのは探偵に限らない。虐待の発見を後押ししようと、日本子ども虐待医学会は5年前、医療機関向けの啓発プログラム「BEAMS(ビームス)」を始めた▼虐待を小児期に見極めるべき重要な「疾患」と捉え、適切な対応を示した。受講者は1万数千人に上る。子どもの状態と親の説明との矛盾から虐待の可能性を考え、重症度を判断する。「診療行為」として通告を促す一方、気になる親子を見守る視点も忘れない▼有病率が極めて高い。重症例を見逃せば死に至る。自然治癒はまれで、慢性化しやすい。多様な合併症が高率で現れる。親から子へ感染する。社会への負の影響が大きい▼それが虐待の特徴だ。疾病なら、総力を挙げて発見と治療、予防に努めるだろう。だが、社会の動きはまだ鈍い。それぞれの立場で、できることがあるはずだ▼道内唯一のBEAMS講師で、函館中央病院小児科医長の石倉亜矢子医師が一般向けの講演で呼びかけた。「疑わないと見つけられない。そして、疑いを放置しないために連携が必要です」。一人の名探偵より、たくさんの注意深い目を苦しむ親子が待っている。2019・8・29

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【卓上四季】  2019年08月29日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。 

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【社説①】:年金制度の将来 安心の底上げを図れ

2019-08-28 06:10:56 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【社説①】:年金制度の将来 安心の底上げを図れ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:年金制度の将来 安心の底上げを図れ 

 将来の公的年金の財政見通しを示す検証結果は、年金額の目減りをあらためて示した。少子高齢化を乗り越える知恵を集め、安心の底上げを図りたい。

 五年ごとに実施される財政検証は年金制度の健康診断に例えられる。今回の検証結果は政府に言わせると「とりあえず大丈夫」だろうか。

 だが、それは年金額の目減りと引き換えに制度を持続できるという見通しだ。

 ◆続く受給額の目減り

 年金制度は、現役男性の平均手取り収入の五割を給付額として最低保障することを国民と約束している。それが百年先まで可能かを見通すのが財政検証だ。経済成長が進むケースから進まないケースまでの六通りで試算した。

 まず、五年後の次の検証時には六割程度を保障できると試算。その上で経済成長が進む三ケースでは将来にわたり制度を維持できる結果となった。

 制度は現役世代の賃金が財源となるため経済動向の影響を受けるが、将来それがどうなるか分からないのも事実だ。

 実際、五年前の前回検証で想定した前提と比べると物価や賃金は伸び悩んだ。一方、高齢者など働く人は想定より増えて制度の支え手は増えた。積立金の運用利回りも上昇した。あくまで検証結果は将来を考える目安と理解したい。

 問題は別にある。

 制度を維持する仕組みだ。

 政府は二〇〇四年の制度改正で考え方を大きく変えた。それまでは必要な年金額を賄うために現役世代が払う保険料を決めていた。それでは増える高齢者の年金を支える現役世代の負担が大きくなるため、保険料に上限を設け、そこから得られる財源の枠内で給付を賄うことにした。

 ◆給付を増やす改善策

 そのため年金を受け取っている高齢者の給付を物価や賃金の伸びより抑える仕組みが導入されている。今回の検証でも今後三十年近く給付抑制を続けないと制度を持続できない結果となった。しかも想定通りに抑制できての試算だ。

 また、政府が約束する最低保障額自体も十分な額かどうかは議論がある。抑制の仕組みは将来世代の年金財源を確保するためには致し方ないが、受給者の生活はとても「百年安心」とは言い難い。

 政府は、制度の健全性だけを言うのではなく、制度が抱える課題も丁寧に説明すべきだ。課題解決への努力なくして制度への不安はなくならない。

 その課題とは年金額を今後、どう増やしていくのかだ。検証では将来の年金水準を底上げする改善策も試算した。

 現在二十~六十歳まで四十年間となっている基礎年金(国民年金)加入期間の四十五年への延長、働くと年金が減る在職老齢年金制度の見直し、厚生年金加入年齢の七十歳以上への引き上げ、厚生年金の加入対象者拡大などだ。

 いずれも将来の年金水準の引き上げ効果がある。制度改正を求める。特に厚生年金の対象拡大は非正規で働く人の無年金・低年金対策になる。大胆に進めるべきだ。

 職場の厚生年金に加入できない非正規の人は自ら国民年金に入るしかないが、年金額は不十分だ。厚生年金に加入できれば保険料負担は減るし年金額は増える。

 そのため政府は加入要件の緩和を順次進めている。だが、一六年の緩和で対象となった人は約四十万人程度だった。今回の検証では千五十万人に広げると一定の年金水準引き上げ効果が示された。

 対象拡大には保険料負担が増える企業の理解が不可欠だ。加入できる職場は人材確保につながるなど、企業側の利点も含め政府はその必要性を粘り強く説くべきだ。

 ただ、これらの改善策は将来年金を受け取る世代が対象だ。今、受給している高齢者の生活をどう支えるかも忘れてはならない。

 高齢化は長寿化も同時に進む。老後が長くなり年金受給期間は延びている。加えて現役世代の減少である。年金だけで長い老後を支えることは無理があるだろう。

 ◆支援に複眼の知恵を

 やはり高齢でも働きたい人が働ける環境の整備は欠かせない。企業には高齢者が能力を発揮できる職場づくりに知恵を絞ってもらいたい。政府の後押しも当然だ。

 働けない人への支援策も考えねばならない。低年金の人には10%に引き上げる消費税の財源を使い、十月から最大月五千円を給付する制度が始まる。その拡充も検討に値するのではないか。

 安価な住宅供給や住宅手当の給付など支援策は複眼で考えたい。

 人口減社会では負担増や給付減など国民に痛みが伴う社会保障制度の改革は避けて通れない。

 政府は、負担を分かち合う社会の将来像を示す責任がある。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年08月28日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【筆洗】:赤塚不二夫さんの「天才バカボン」に見開き二ページ分を使ってバカボンや・・・

2019-08-28 06:10:52 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【筆洗】:赤塚不二夫さんの「天才バカボン」に見開き二ページ分を使ってバカボンやバカボンのパパの顔のアップだけを続けて描いた回がある。 

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:赤塚不二夫さんの「天才バカボン」に見開き二ページ分を使ってバカボンやバカボンのパパの顔のアップだけを続けて描いた回がある。

 赤塚さんいわく「これぞ実物大漫画なのだ」▼なるほど迫力があるし、登場人物の見慣れぬ大きさにナンセンスさも際立つ。当時、実験的と評判になったが、裏話がある。実は原稿の締め切りに迫られての窮余の策だったそうだ。大きく描けばその分ページが稼げる▼これも締め切り間際の窮余の策なのだろうか。いつもに比べあっさりしている。先進七カ国首脳会議(G7サミット)が閉幕の土壇場でまとめた「首脳宣言」である▼わずか紙一枚。サミットの成果文書としては異例の短さである。自由貿易やイラン問題などでの米国と欧州の対立に加え、欧州内も足並みがそろわぬ状況とあっては、従来のような包括的な首脳宣言をまとめるのは、やはり困難だったか▼それでも労をねぎらうべきは参加国の一致点をぎりぎりまで模索した議長国フランスのマクロン大統領だろう。紙一枚とはいえG7としての「成果」をあきらめなかった▼「完璧でなければ役に立たないという完璧主義者は結果として何も物事が進まないまひ状態に陥らせる」。チャーチルの言葉という。完璧ではないかもしれぬが、締め切りぎりぎりのその紙一枚がG7を何とかつなぎとめた。大きな意味を持つ窮余の策だろう。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2019年08月28日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【私設・論説室から】:プロ野球OBの戸惑い

2019-08-28 06:10:48 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【私設・論説室から】:プロ野球OBの戸惑い

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【私設・論説室から】:プロ野球OBの戸惑い 

 プロ野球のOBらと私的に酒を酌み交わしたりしていると、最近はこのような相談をされることがある。

 「高校野球の投手の問題について、俺たちは取材を受けたらどう答えればいいのかな」

 二十二日に閉幕した全国高校野球選手権は、岩手大会決勝で大船渡高の163キロ右腕・佐々木朗希投手が故障を防ぐため登板回避して波紋を呼ぶなど、投手の酷使の問題が注目された。「投球数制限を設けるべき」「いや、そうしたら公立校などはますます不利になる」などの議論が繰り広げられている。

 このような風潮に、プロの世界で投手として活躍したOBには戸惑いを隠せない人も多い。彼らは「高校時代の連投による疲労などで追い詰められた中で、肩やひじに負担がかからない投げ方や投球術を研究し、精神的にも強くなってプロに入って生きた」と言う。

 確かに投手はそれぞれ違う。故障しやすい投球フォームと、しにくいフォーム。速球派と軟投派。ピンチの時以外は全力投球を避けて打ち取る技術を持つ投手もいる。これらを「投手」という一つの枠でくくってしまうことは、自分たちの努力や人生そのものが否定された気持ちになるのかもしれない。

 野球の歴史を築いてきた彼らの思いを「時代が違う」だけで追いやりたくはない。その気持ちもくんだ上で、高校野球が抱える問題への議論を深めていきたい。 (鈴木遍理)

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【私設・論説室から】  2019年08月28日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【首相の一日】:8月27日(火)

2019-08-28 06:10:44 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【首相の一日】:8月27日(火)

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【首相の一日】:8月27日(火) 

 (26日)=現地時間

 【午後】フランス南西部ビアリッツの劇場「ガール・デュ・ミディ」で内外記者会見。ビアリッツ・アングレ・バイヨンヌ空港を軍用機で出発。南西部のボルドー・メリニャック空港。政府専用機で同空港を出発。

  (27日)=日本時間

 【午後】5時22分、フランスでの先進7カ国首脳会議(G7サミット)出席を終え、昭恵夫人と共に政府専用機で羽田空港。6時8分、皇居。帰国の記帳。40分、東京・富ケ谷の私邸。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政局・首相の一日】  2019年08月28日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:日米大枠合意 多国間協調の道探れ

2019-08-28 06:10:40 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【社説①】:日米大枠合意 多国間協調の道探れ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:日米大枠合意 多国間協調の道探れ 

 成果を急ぐトランプ米大統領との日米貿易交渉が決着した。日本は、米国の市場開放圧力に譲歩したものの、米国を多国間協調の枠組みに連れ戻す次の戦略づくりに取り組むべきだろう。

 交渉の焦点のひとつは日本の農業、米国の自動車という政治的に重要な産業での駆け引きだった。

 大枠合意で日本は、米国が離脱する前に環太平洋連携協定(TPP)で合意していた関税の引き下げ水準を牛肉、豚肉などで維持した。半面、日本が求めていた米国への輸出車にかかる関税2・5%の撤廃は先送りとなった。これもTPPで合意済みだったが、対日貿易赤字の削減を求めるトランプ大統領に日本が譲歩した形だ。

 二十五日の首脳会談では、交渉とは別枠として米国産のトウモロコシの購入が突然取り上げられた。詳細は明らかではないが、国内農業への影響を見極める必要があるだろう。

 昨年九月に交渉入りで合意し、わずか一年での決着は貿易交渉としては異例の早さといえる。

 指摘されているように来年秋の大統領選を控え、成果を急ぐトランプ大統領と、日米協調を最重視する安倍晋三首相が折り合う形での合意だったといえる。

 ただトランプ大統領の政策は気まぐれで予測ができない不安がつきまとう。

 日本の基幹産業である自動車への25%追加関税や輸出数量制限について、一連の交渉や大枠合意では「発動しない」との確約を得るには至っていない。

 激化する米中の貿易摩擦で各国の株価が下落し、世界経済の動向は波乱含みとなっている。大統領選が迫り、米国の景気が悪化するようなら、有権者へのアピールとして持ち出してくる懸念は消えない。貿易協定に署名する九月下旬の日米首脳会談で、確約を取る必要がある。

 二〇一七年一月にトランプ大統領が「米国第一主義」を掲げてTPPを離脱してから自由貿易、国際協調体制は大きく揺らいでいる。今回の先進七カ国(G7)首脳会議では、首脳宣言が出せないところまで状況は悪化している。

 日本は自由貿易を重視し、TPP11や日欧経済連携協定(EPA)を粘り強く実現してきた。

 米国との二国間交渉の決着後は、米国をどのように国際協調体制に引き戻すかが日本の重要な課題となる。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年08月27日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:埼玉県知事選 野党連携が示した活路

2019-08-28 06:10:36 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【社説②】:埼玉県知事選 野党連携が示した活路

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:埼玉県知事選 野党連携が示した活路 

 埼玉県知事選で、野党四党が支援した新人候補が事実上の与野党対決を制した。安倍内閣の支持率は依然堅調だが、野党勢力を結集すれば、有力な選択肢となり得ることを示したのではないか。

 二十五日投開票の埼玉県知事選は立憲民主、国民民主など野党四党が支援した無所属新人の元参院議員大野元裕氏(55)が、自民、公明両党推薦で無所属新人のスポーツライター青島健太氏(61)ら四氏を破った。地方自治体の首長選挙ではあるが、七月の参院選後初の大型選挙での野党勝利は、国政に与える影響も大きい。

 第一に、地域事情は違うが、野党候補が一本化すれば与党候補と十分に渡り合えることを示した。

 自民党県連と対立する上田清司知事の全面支援を受けた大野氏を立民、国民、社民の各県組織が支持、共産も自主支援となった。事実上の野党統一候補である。

 対する与党側は、埼玉県が立民の枝野幸男代表の地元であることも意識して、告示前から二階俊博自民党幹事長や菅義偉官房長官が応援に入るなど国政選挙並みの態勢で臨んだが、競り負けた。

 参院選では、三十二ある改選一人区のうち、野党統一候補が十勝するなど善戦した。参院選の改選一人区や衆院選の小選挙区など当選者が一人の選挙では、野党勢力を結集しなければ「安倍一強」の与党にはとても対抗できまい。

 今回の知事選期間中、立民、国民両党が衆参両院での会派合流に合意した。衆院会派「社会保障を立て直す国民会議」の合流も検討される。離散した旧民主党勢力の再結集にすぎないが、それでもバラバラよりはましだ。

 立民、国民両党には会派合流や知事選勝利を弾みに、ほかの野党間との連携も密にして、自民党に代わる選択肢を有権者に示す責任がある。二〇二一年秋までには衆院選、今年十月には参院補選がある。残された時間は少ない。野党連携の協議を加速させるべきだ。

 投票率は5・68ポイント増の32・31%と、〇三年以来十六年ぶりに30%台を回復した。

 事実上の与野党対決で有権者の関心が高まったのだろうが、県選挙管理委員会が埼玉を自虐的に描いたギャグ漫画を活用して啓発に乗り出した影響もなしとは言えまい。

 地方、国政を問わず低投票率は代表民主主義の基盤を崩す。いまだ30%台とはいえ、投票率がなぜ上昇したのか。選管や各陣営の努力を多としながらも、要因を分析し、今後に役立てるべきだ。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年08月27日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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