前号につづきます。
朝日 国民投票、18歳以上に 法改正案成立へ8党合意 2014年4月3日21時4http://www.asahi.com/articles/ASG434WFHG43UTFK00S.html
国民投票法改正案の共同提案に向けた調印式に臨む与野党の担当者=3日午前11時40分、国会内、越田省吾撮影
自民、公明、民主など与野党8党は3日、憲法改正の手続きを定めた国民投票法改正案を今国会中に成立させることで合意した。憲法改正の賛否を問う国民投票の投票権を持つ年齢が、4年後に現在の「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げられる。また、改正法施行後、2年以内に公職選挙法を改正し、選挙権を得る年齢を「18歳以上」とすることもめざすが、自民党などに反対論もあり、実現は担保されていない。3党のほか日本維新の会、みんな、結い、生活、新党改革の計8党が3日、合意文書に署名した。衆院に議席を持たない改革を除く7党が8日に共同で衆院に提出する。公選法改正が早期に実現すれば、国民投票権を持つ年齢も前倒しして引き下げる。国民投票法の改正案では、公務員が改憲への賛否を表明することも認めた。一方で労働組合の署名活動などを念頭に、公務員が組織的に憲法改正の賛否について働きかけることは禁止しようとしたが、労組の支持を受ける民主が反対。法の付則で今後の検討課題とした。公務員が地位を利用して投票を働きかけた場合の罰則も、合意文書で検討課題とした。(引用ここまで)
朝日は、4面に自民は「改憲の土壌ができた」として、以下の記事を書いています。抜粋です。
…選挙権の18歳への引き下げも本格的に検討されることになり、若者への影響も大きい。…自民党は近い将来の改憲を念頭に置き、できるだけ多くの党を取り込むことに腐心した。まず、公務員労組を母体とする民主党を引き込むため、当初は改正案にあった公務員の組織的な運動を禁止する規定を削除した。労組批判を強める日本維新の会が反発し、共同提案からの離脱をちらつけせると、菅義偉官房長官らが水面下で維新と協議。将来、公務員の投票運動への罰則規定を検討することを合意文書に盛り込むことなどして同意を取り付けた。自民党には、護憲を掲げる共産党と社民党を除く8党で憲法改正を議論する協議会づくりの構想もある。船田氏は3日、「憲法改正の中身の議論でも、8党の枠組みをできるだけ生かす必要がある」と語った。しかし、改正案が成立しても一足飛びに憲法改正へ進むわけではない。公明党は9条改憲に後ろ向き。民主党も改憲に対する姿勢が一貫していない。…一方、改正法の成立が確実となったことで、選挙権も「18歳以上」へ引き下げる議論が残された。…(引用ここまで)
愛国者の邪論 「労働組合の署名活動など」「公務員が地位を利用して投票を働きかけた場合の罰則」などが問題になることそのものに、憲法違反が明らかなのですが、朝日は、そのことについては、民主党が反対したという程度の問題として扱い、根本的な問題と位置づけていません。しかも、「護憲を掲げる共産党と社民党を除く8党で憲法改正を議論する協議会づくりの構想」という「枠組み」論を批判もしていません。これは二大政党政治を扇動してきたこと、その破綻が顕在化すると第三極の枠組みを煽って、自民党政治の温存に手を貸してきたことを含めて、憲法形骸化は、ここまで来たのです。憲法思考は停止してしまっています。
毎日 国民投票法改正案:改憲手続き確定へ 7党が8日共同提出 2014年04月04日01時35http://mainichi.jp/select/news/20140404k0000m010175000c.html
自民、公明、民主、日本維新の会、みんな、結い、生活の与野党7党は3日、憲法改正の手続きを定める国民投票法改正案の共同提出に関する合意文書に調印した。8日に議員立法で衆院に提出し、今国会で成立させる方針。同法を巡る課題だった投票年齢の18歳への引き下げなどが明記され、法改正により改憲手続きが確定する。改正案は、改正法施行の4年後に投票年齢を20歳から18歳に引き下げる内容。新党改革を含む8党は▽公職選挙法の選挙権年齢(20歳)の18歳への引き下げを検討する与野党プロジェクトチームを設置▽2年以内に選挙権年齢の引き下げを目指し、実現した場合は国民投票年齢も前倒しで同時に引き下げる−−と確認した。ただ改正案が成立しても各党の改憲内容を巡る主張は割れており、改憲のハードルは依然高い。自民党の船田元・憲法改正推進本部長は、安倍晋三首相が目指す憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認について「今回の合意とは別の問題だ」と述べるにとどめた。【高橋恵子】(引用ここまで)
愛国者の邪論 共同の記事と同じで、憲法改悪の内容と手続き論を意図的にリンクさせながら、「改憲のハードルは依然高い」などと、批判的見解を述べながら、改正の「改悪」ぶりを覆い隠し、規制事実化しています。どちらも「反対」論が排除されているという点で同じです。
読売 18歳以上投票…国民投票法改正案、提出で合意 2014年04月03日 14時46http://www.yomiuri.co.jp/politics/20140403-OYT1T50055.html?from=ycont_latest
自民、公明、民主など与野党7党は3日午前、国会内で会談し、憲法改正手続きを定めた国民投票法改正案について、8日に国会に共同提出することで正式合意した。改正案は、投票年齢を当面は「20歳以上」とし、改正法施行から4年後に「18歳以上」に引き下げることなどが柱。今国会で成立し、公布とともに施行される見通し。成立すれば、憲法改正の手続きが整い、将来の憲法改正に道が開けることになる。今回合意した改正案は、政治的行為が禁止されている公務員について、憲法改正に関する個人的な賛否の表明や投票の勧誘などに限って認めた。自公がまとめた当初案には、公務員が主導する組織的な署名活動などを禁止する規定を盛り込んでいたが、労働組合を支持母体とする民主党が反発したため、改正案から削除し、付則で検討課題とすることにした。会談には、自公民のほか、日本維新の会、みんな、結い、生活の各党実務者が出席した。衆院に議席のない新党改革も会談に同席し、参院審議で改正案に賛成する方針を表明した。改正案に反対方針の共産、社民両党は欠席した。2014年04月03日 14時46分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
愛国者の邪論 「成立すれば…将来の憲法改正に道が開けることになる」という読売の指摘がズバリ、改正法案の本質を書いています。ということは、他の指摘がゴマカシであることです。「労働組合を支持母体とする民主党が反発したため」という指摘に、国民分断の仕掛けが透けてみえてきます。「自民党=財界」は棚に上げて、政権を取った「民主党=労働組合」という構図に対する国民的批判を利用した書き方です。民主党の支持母体である連合が安倍政権を応援していることなど、一切覆い隠しているのです。「改正案に反対方針の共産、社民両党は欠席」、ここでも排除の論理です。端から相手にしていません。
日経 国民投票法改正案、与野党が共同提出で正式合意 2014/4/3 12:08http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS03008_T00C14A4EAF000/?n_cid=TPRN0006
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与野党7党は3日午前、国会内で実務者会合を開き、憲法改正の手続きを定めた国民投票法改正案の共同提出で正式に合意した。改正案は憲法改正の賛否を問う国民投票の投票権年齢を法施行から4年後に、「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げることなどが柱。8日に衆院に提出され、今国会中に成立する見通しだ。野党で共同提出に加わるのは、民主党のほか日本維新の会、みんな、結い、生活の各党。衆院に議席のない新党改革は参院で賛成する方針。共産、社民両党は「憲法改正につながる」として反対する。実務者会合では、公職選挙法の選挙権年齢を2年以内に「18歳以上」に引き下げることなどを目指すとした合意文書を交わした。改正案は、公務員の政治的行為について、公務員が改憲の賛否を表明することを認める一方、組織的な勧誘運動は今後の検討課題として付則に盛り込んだ。国民投票の対象を改憲以外に広げることも今後、与野党が協議することとした。(引用ここまで)
日経 国民投票法改正案、今国会成立へ 「18歳以上」施行4年後に 2014/4/3 22:21http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS0302V_T00C14A4PP8000/
与野党7党は3日、憲法改正の手続きを定めた国民投票法改正案について、8日に衆院に共同提出することで正式に合意した。改憲反対の共産、社民両党を除く幅広い野党が協力を決めたため、今国会成立が確実で、公布とともに施行される。投票年齢は当面「20歳以上」だが、施行から4年後には「18歳以上」に下がる見通しだ。「幅広い党の協力を得られた。今国会中にしっかり仕上げたい」。3日、国会内で開いた与野党7党の実務者協議で、出席者からこんな声が相次いだ。合意した野党は民主党、日本維新の会、みんな、結い、生活の各党。衆院に議席のない新党改革も賛成する方針を示した。会合後、自民党の船田元・憲法改正推進本部長は「改憲という重要な課題の土俵作りができた」と語った。2007年に成立した国民投票法は付則で、(1)公職選挙法の選挙権年齢や民法の成人年齢引き下げ(2)改憲に関する公務員の政治活動の制限緩和(3)国民投票の対象を改憲以外に拡大――を「3つの宿題」と位置づけ、解決策を盛り込んだ改正案を成立させなければ国民投票を実施できないことになっていた。与野党が合意した案では、投票権年齢を改正法施行から4年後に「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げる。公職選挙法で定めた選挙権年齢の引き下げについては、法改正後に与野党のプロジェクトチームを設置し2年以内の合意を目指す。与野党で合意すれば、国民投票の投票権年齢の引き下げも前倒しする。ただ、選挙権年齢や成人規定の見直しは民主党などの野党が積極的だが、政府・自民党内には慎重論が根強く「2年以内の合意は困難」との見方が多い。積み残しとなった国民投票にかけるテーマを広げることも、実現性は乏しい。例えば、原子力発電所の是非を国民投票で問うべきだとの声が野党にある。時の政権の政策が否定される可能性があるため、与党内には導入に慎重な声がある。(引用ここまで)
愛国者の邪論 はじめて共産・社民の意見が取上げられていますが、これだけでは、国民は判りません、何をどこが「憲法改正につながる」のか、いっさい判りません。公務員の政治的行為の自由は当然ですが、「組織的な勧誘運動」が曖昧です。これについては、現行憲法においても憲法違反が横行していますが不問です。公務員に署名を依頼すると「公務員だから」と言って断る公務員が多いことに、マッカーサーが押し付けた政令201号の影響が浸透していることがわかります。公務員の意見表明権、参政権の自粛・無自覚、公僕意識の浸透が判ります。また「改憲という重要な課題の土俵作りができた」論も、この悪法案の本質が透けて見えてきます。ただ、憲法問題以外の国民投票問題が提起されているのは、他紙と違っています。しかし、国民投票にかける国民の意思がどこまで貫かれるかなどについては、これだけでは判りません。
産経 憲法改正の手続き前進 国民投票法改正案に民主同意、成立へ 2014.3.14 21:01 [憲法改正論議]http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140314/stt14031421030003-n1.htm
憲法改正のルールを定めた国民投票法の与党改正案をめぐり、自民、公明、民主3党は14日、公務員による組織的な勧誘活動を禁じる規定を削除するなど改正案を一部修正した上で共同提出することで大筋合意した。日本維新の会はすでに共同提出に同調しており、改正案は今国会で成立の公算となり、成立によって改憲手続きが整う。自民党は当初、民主党の支持団体の日教組などによる護憲運動を警戒し、改憲の賛否を組織的に働きかける活動を禁じる改正案を示していた。修正案では、組織的勧誘活動の禁止について「今後の検討課題」との文言を修正案の付則に盛り込み、結論を先送りする。国民投票年齢については「改正法施行後4年」に18歳以上に引き下げるとする与党案を改正案に採用する。ただ、公職選挙法の選挙権年齢について「改正法施行後2年をめど」に18歳以上に引き下げるべきだとする民主党に配慮し、政党間のプロジェクトチームを設置し、2年以内に投票年齢と選挙権年齢を同時に引き下げる法整備を目指す。自民党が民主党に配慮したのは、憲法改正の国会発議に必要な衆参両院の3分の2以上の勢力を確保する上で民主党の協力は不可欠だと判断したためだ。安倍晋三首相が目指す憲法改正の環境整備は大きく前進する。しかし、自民党内には「日教組アレルギー」が根強く、選挙権年齢引き下げを時期尚早とする勢力も存在し、大筋合意に反発の声が上がる可能性がある。
■国民投票法改正案の自公民3党合意のポイント
・国民投票年齢は、改正法施行から4年間は20歳以上、その後は自動的に18歳以上
・政党間の合意文書で、公職選挙法選挙権年齢を改正法施行後2年以内に18歳へ引き下げ、国民投票年齢も同時に引き下げる目標を明記
・公務員が組織的に改憲の賛否を働き掛ける勧誘運動は今後の検討課題として、法案付則に明記(引用ここまで)
愛国者の邪論 さすが安倍首相派の代弁新聞です。「日教組」が出てきました。80年代の中曽根臨教審以後、「日教組」は文部省と一体的に、教育現場の体制翼賛化を推進してきたのに、そのことは覆い隠し、日教組敵視論に立っているのは、執行部は馴れ合っても現場の闘争力を何としても鎮圧したいという狙いがあるのでしょう。組織率の低下した日教組と国民を分断する狙いがあるのでしょう。このことで、自民党化した民主党の息の根を止めたいという狙いが透けて見えてきます。
東京 改憲手続き優先 国民投票法改正 今国会成立へ 2014年4月4日 朝刊http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014040402000108.html
自民、公明、民主など与野党八党は三日、改憲手続きを確定させる国民投票法改正案を衆院に提出することで合意した。衆院に議席のない新党改革を除く七党で八日提出する。合意により改正案の今国会成立が確実となった。国民投票法は二〇〇七年に成立したが、選挙権年齢の引き下げなど三つの検討事項が懸案として残り、国会が改憲を発議しても、国民に是非を問う投票は実施できない状態だった。各党は改憲手続きの整備を優先し、懸案を放置して改正案の提出に踏み切る。共同提出するのは自公民と日本維新の会、みんなの党、結いの党、生活の党の各党。共産、社民両党は法改正に反対の立場。改正案は、施行四年後に国民投票の投票年齢を「二十歳以上」から「十八歳以上」に自動的に引き下げるのが柱。現行法は付則で、選挙権年齢や民法の成人年齢を「十八歳以上」に引き下げるまで「二十歳以上」に据え置くとしていた。選挙権年齢などは一〇年五月までに引き下げることになっていたが、与野党の協議が進まなかった。八党は、国民投票の年齢の先行引き下げを可能にすることで合意。代わりに、選挙権年齢の扱いでは、二年以内の引き下げを目指すとした文書を交わした。現行法の付則は、公務員が改憲の賛否を意見表明するといった政治的行為の容認と改憲以外の問題を問う一般的国民投票の是非も検討事項としていた。今回の合意は公務員の政治的行為に関し、個人的な表明などは認めたが、労働組合など組織的な運動は結論を先送りにした。一般的国民投票の是非も継続協議にした。(引用ここまで)
愛国者の邪論 「各党は改憲手続きの整備を優先し、懸案を放置して改正案の提出に踏み切る」という「評価」に、この悪法の本質が語られています。しかし、ここでも「共産、社民両党は法改正に反対の立場」だけしか紹介されていません。「労働組合など組織的な運動」論についても「一般的国民投票の是非」についても解明はしていません。
国民投票法改正で正式合意 与野党8党、改憲手続き確定 2014年04月03日(最終更新 2014年04月03日 12時41分) http://www.nishinippon.co.jp/nnp/politics/article/79866
国民投票法改正案の内容を協議する与野党の実務者=3日午前、国会
与野党8党は3日、実務者会合を国会内で開き、憲法改正手続きを確定させる国民投票法改正案で正式合意した。改正案は、法施行4年後に国民投票の投票年齢を「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げる内容が柱。衆院に議席がない新党改革を除く7党が8日に共同提出する。6月22日に会期末を迎える今国会中に成立する見通しだ。安倍晋三首相が宿願とする改憲の地ならしが一歩進む。しかし、各党が目指す改憲の具体的内容は異なり、幅広い賛同が必要な改憲実現への展望は見えていない。自民、公明両党との共同提出に応じる野党は民主党、日本維新の会、みんなの党、結いの党、生活の党。(引用ここまで)
愛国者の邪論 共同傘下地方紙の記事です、基本的に同じスタンスです。「各党が目指す改憲の具体的内容は異なり、幅広い賛同が必要な改憲実現への展望は見えていない」と、改憲を規制事実化しています。ここに憲法形骸化に加担してきた立ち位置が浮き彫りになります。日本のマスコミの現状追随の姿勢があります。だから「反対」派を排除するのです。憲法擁護を主張する革新勢力が「保守」論に、憲法改悪を主張する保守勢力が「革新」論に立つという奇妙な構図を演出しているのです。