まず、以下の沖縄タイムスをお読みください。
沖縄タイムス あす「4・28」/ 主権はいつ回復したか 2014/4/27 6:0http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=67908
1年前のあの日の光景を忘れることができない。東京で開かれた政府主催の「主権回復・国際社会復帰を記念する式典」の閉会間際。会場から突然、「テンノーヘイカ、バンザーイ」の声が上がり、壇上の安倍晋三首相らが一斉に唱和した、あの光景。天皇・皇后両陛下の、あのこわばった表情。
1952年4月28日、サンフランシスコ講和条約が発効してから、あすで62年になる。戦争に敗れ米軍に占領された日本は講和条約によって独立を回復し、戦場となった沖縄は条約第3条によって日本から切り離され、米国の事実上の軍事植民地となった。
安倍政権は今年、式典開催を見送った。昨年、各方面から反発や批判が上がり、天皇の政治利用が問題になったことを思えば、当然の判断である。
「4・28」は日常の暮らしや政治の現実とは無関係な、遠い過去の話なのだろうか。決してそうではない。講和条約と、講和後の米軍駐留を認めた旧安保条約、駐留米軍の地位などを定めた行政協定(地位協定の前身)は、セットで構想され、同時に発効した。冷戦の顕在化に対応するために形成されたこの体制は、一部中身を変えて今でも、日本や沖縄を深く拘束している。
安倍首相は、講和条約によって主権が完全に回復したことを強調したが、式典開催で浮かび上がったのは、半主権状態ともいうべきいくつもの「不都合な事実」であった。この状態は沖縄において今も顕著である。例えば、オスプレイは日本の航空法の適用を受けず、飛行訓練ルートも日本政府が口出しできない。県や自治体が約束違反を指摘しても、日米取り決めそのものが抜け穴だらけ。米軍は基地返還の際の原状回復義務が免除されている。このため、返還後に土中から有害物質を含むドラム缶などが見つかる事案が相次いでいる。地位協定には環境条項がない。東京を中心とした首都圏の航空管制圏や電波の周波数帯域は今も米軍に押さえられている。米国に対する極端な従属的姿勢は、米軍基地のない地域からは見えにくい。
その一方で安倍首相は、解釈改憲による集団的自衛権の行使容認に突き進む。自民党幹事長時代に安倍首相は、岡崎久彦氏との対談で「軍事同盟というのは“血の同盟”です」と語り、次のように指摘した。米軍が攻撃されたときに自衛隊が血を流すことができなければ「完全なイコールパートナーと言えるでしょうか」(『この国を守る決意』、2004年1月発行)。解釈改憲によって集団的自衛権の行使を容認し、一内閣の一存で“血の同盟”化を図ることは憲法上、とうてい許されない。“血の同盟”に昇格させた上でなお、膨大な米軍基地を無償で提供し続け、湯水のように思いやり予算を支出し続け、地位協定を維持し続けるつもりなのだろうか。それこそ主権喪失である。(引用ここまで)
沖縄タイムスは何を言いたいのか!沖縄県民の苦悩の解決の途は何か!
どうでしょうか。以下、ポイントを検証してみます。沖縄タイムスは、以下の指摘に対してどのように考え、対応しようとしているのでしょうか。この社説から、全く見えてきません。ズバリ!日米軍事同盟について、その態度を曖昧にしているのです。これは日本のマスコミ全てに言えることです。
1.半主権状態ともいうべきいくつもの「不都合な事実」…の状態は沖縄において今も顕著である主権喪失をどうすれば改善できるというのでしょうか。
2.「米国に対する極端な従属的姿勢は、米軍基地のない地域からは見えにくい」というのは、マスコミが見せようとしていないからです。
3.「軍事同盟というのは“血の同盟”」だから、米軍が攻撃されたときに自衛隊が血を流すことができなければ「完全なイコールパートナーと言えるでしょうか」という、この「軍事同盟」こそ、沖縄を「主権喪失」状態に陥れている「日米同盟」と言ってゴマカシている「日米軍事同盟」「日米安全保障条約」ではないでしょうか。
4.「自衛隊が血を流す」ということは、日本の若者が死ぬということです。その若者には、家族がいます。友人がいます。安倍首相の「政治」と「命令」によって、その自衛隊員とその関係者のすべてが死ぬことを受け入れるということです。これは沖縄の問題だけではありません。日本全体の問題です。この「死を受け入れる」ということが、どのような政策のなかで、正当化されるのか、戦前の歴史を含めて検証されなければなりません。
5.「解釈改憲によって集団的自衛権の行使を容認し、一内閣の一存で“血の同盟”化を図ることは憲法上、とうてい許されない」というのであれば、沖縄タイムスはどうするつもりでしょうか。日米軍事同盟深化論の具体化としての集団的自衛権の行使か、憲法平和主義を活かすか、沖縄タイムスはどのように発信していくつもりでしょうか。
沖縄県民の負担軽減の方策は日米軍事同盟の是非・賛否しかない!
どうでしょうか。では、どうするか、です。
1.諸悪の権化である日米軍事同盟に対する態度は、賛成か、反対か、二つに一つしかないでしょう。
2.その中間として、日米軍事同盟を温存して、沖縄の「米国に対する極端な従属的姿勢」は改善できるでしょうか。改善できるとするのであれば、1972年の施政権返還後の歴史、95年の少女暴行事件後の沖縄の歴史は、何を物語っているでしょうか。
3.日本国民が、日米軍事同盟の最前線とされている沖縄の問題を、自分の問題として受け止められないのは何故でしょうか。日本の現実には、日米軍事同盟の負の事実は溢れんばかりです。それは日米軍事同盟第2条にあります。以下ご覧ください。
締約国は、その自由な諸制度を強化することにより、これらの制度の基礎をなす原則の理解を促進することにより、並びに安定及び福祉の条件を助長することによつて、平和的かつ友好的な国際関係の一層の発展に貢献する。締約国は、その国際経済政策におけるくい違いを除くことに努め、また、両国の間の経済的協力を促進する。(引用ここまで)
ところが、この第2条の犯罪的役割を覆い隠す装置が、日々垂れ流されているのです。それは今回の日米首脳会議と日米共同声明を報ずるマスコミ記事を見れば一目瞭然です。以下ご覧ください。
これが日米軍事同盟容認論を吹聴する装置だ!
TPPは日米軍事同盟具体化そのものだ!
日本経済新聞 日米共同声明、TPP「前進への道筋」 尖閣は安保条約の対象 2014/4/25 11:12
日米両政府は25日午前、安倍晋三首相とオバマ米大統領の首脳会談を踏まえた共同声明を発表した。
焦点の環太平洋経済連携協定(TPP)交渉を巡っては「2国間の重要な課題について前進する道筋を特定した」と強調。「TPPの妥結にはまだなされるべき作業が残されている」とも指摘した。
中国が領有権を主張する沖縄県の尖閣諸島に関しては、日米安全保障条約に基づく米国の防衛義務の対象であることを明記した。「日米安保条約のコミットメントは尖閣諸島を含め、日本の施政下にあるすべての領域に及ぶ」と指摘。「日本の施政を損なおうとするいかなる一方的な行動にも反対する」とした。共同声明は24日の首脳会談後もTPP交渉を巡る日米関税協議が続いたため、発表が予定より1日遅れた。オバマ大統領は25日午前、共同声明の発表直後、次の訪問地である韓国に向けて日本を出発した。(引用ここまで)
NHK 米大統領「尖閣は日米安保の適用対象」 4月24日 17時07分
安倍総理大臣とアメリカのオバマ大統領との日米首脳会談が行われ、オバマ大統領は、アメリカの大統領として初めて、沖縄県の尖閣諸島に日米安全保障条約が適用されるという考えを示しました。また両首脳は、TPP=環太平洋パートナーシップ協定の日米協議について、交渉全体の早期妥結を目指して閣僚級による協議を継続することで一致しました。
安倍総理大臣とアメリカのオバマ大統領は、東京・元赤坂の迎賓館で午前10時半すぎからおよそ1時間半にわたって日米首脳会談を行いました。このなかで両首脳は、アジア太平洋地域の安定に向けて、日米両国を中核に関係諸国とも協力しながら中国を関与させていくことが必要で、日米同盟の強化やアジアを重視するアメリカの「リバランス政策」の継続が重要だという認識で一致しました。そのうえで安倍総理大臣は、海洋進出の動きを強める中国について「力による現状変更の試みを継続しているが、沖縄県の尖閣諸島に関して、わが国は引き続き冷静かつ毅然と対処している。南シナ海を含む中国の試みに明確に反対を表明し、強固な日米同盟とアメリカのアジアへの強いコミットメントを示すことが重要だ」と述べました。
これに対しオバマ大統領は、アメリカの大統領として初めて、尖閣諸島にアメリカの日本に対する防衛義務を定めた日米安全保障条約の第5条が適用される考えを示し、両首脳は中国に対して今後もさまざまなレベルで緊密に連携していくことを確認しました。
一方、TPP=環太平洋パートナーシップ協定の日米協議について、安倍総理大臣は「今回の首脳会談を1つの節目として、日米間の懸案を解決するべく、甘利経済再生担当大臣とフロマン通商代表との間で精力的かつしんしな交渉が行われてきた」と述べました。
そのうえで安倍総理大臣が「両閣僚に対し、作業を加速させ早期にTPP交渉全体を妥結させるよう指示したい」と述べたのに対し、オバマ大統領は「両国やアジア太平洋地域の成長のためにもTPPは大変重要で両閣僚で交渉させたい」と応じ、閣僚級による協議を継続することで一致しました。
また安倍総理大臣は、みずからが意欲を示す集団的自衛権の行使容認に関連して「集団的自衛権などと憲法との関係について、現在、政府の有識者懇談会で検討が行われており、今後、報告書が提出され政府見解を示す予定だ」と説明し、オバマ大統領は日本側の取り組みを歓迎し支持する考えを伝えました。そして両首脳は、日米防衛協力の指針=いわゆるガイドラインの年末までの見直しをはじめ、安全保障分野の協力を幅広く進めていくことを確認しました。さらに安倍総理大臣は、在日アメリカ軍の再編問題について「沖縄のアメリカ海兵隊のグアムへの移転を着実に進めたい。普天間基地の移設は強い意志を持って工事を早期で着実に進めていく」と述べるとともに、沖縄の基地負担の軽減に向けたアメリカの協力を求めたのに対し、オバマ大統領は「在日アメリカ軍の円滑な運用を図りつつ、沖縄の負担軽減に引き続き取り組みたい」と述べました。
また安倍総理大臣は、北朝鮮による拉致問題の解決に向けたオバマ大統領の理解と協力に期待を示し、両首脳は北朝鮮の核開発問題を巡って、日米韓3か国が引き続き緊密に連携していくことが重要だという認識で一致しました。(引用ここまで)
どうでしょうか。以上の記事を読む国民は、今回の会議と共同声明をどのように受け止めるでしょうか。政府、NHKは「万々歳」として垂れ流していないでしょうか。これが、沖縄タイムスが「米国に対する極端な従属的姿勢は、米軍基地のない地域からは見えにくい」とされている事実を示しているのです。この事実は、日米軍事同盟を礼賛勢力のイデオロギーを代弁する装置と言えます。
軍事同盟を優先する公約違反・詐欺の不道徳は断罪されるべき!
しかし、実態は、TPPの合意がなされていたこと、しかも国民には秘密に行われていたことなど、甘利担当大臣の記者会見を見れば明瞭です。更には、この「合意」は、自民党の政権公約違反であったこと、同時に自民党の手を離れて国会決議違反であったのですが、この日米軍事同盟容認・深化論のイデオロギーは、こうした国民に対する「公約」など、いっさい無視して、切り離して報道しているのです。これはゴマカシ、スリカエ、大ウソです。詐欺です。オレオレ詐欺と同じです。
このTPPが、まさに日米軍事同盟第2条の具体化であることをゴマカスのです。日本のマスコミは日米軍事同盟第5条問題だけを強調し対中包囲網作戦の成功を賛美していますが、対中包囲網作戦の重要なTPPが、日米軍事同盟第2条によって「合意」させられたということは、いっさい語っていないのです。これこそ、日米軍事同盟のゴマカシ、スリカエ、大ウソです。詐欺です。オレオレ詐欺と同じです。
「脅威」を口実に日本社会を根底から覆した日米軍事同盟!
戦前のABCD包囲網論=脅威論の誤りは歴史的事実で明白!
戦前の三国軍事同盟と戦後の日米軍事同盟は相似形!
1960年代から今日まで、日米軍事同盟第2条によって、日本の経済・社会・教育・文化がどのように変化してきたか、一つひとつ検証していかなければなりません。現在の日本社会の構造的問題の全ては、特に現在の日本の農業の現実を見れば、この第2条によってつくられたことは、TPP問題と重ね合わせると、いっそう明らかになります。「見えにくい」のは、見えにくくさせている装置にあります。
もう一つ見えにくい問題があります。それは日本の国家主権・国民主権の問題です。「米軍に占領された日本は講和条約によって独立を回復」したとして「主権回復・国際社会復帰を記念する式典」を開催した安倍首相の大ウソについてです。これについては、以下のサンフランシスコ平和条約調印に当たって日米安保条約が秘密裏に調印されたこと、その安保条約が憲法違反と断罪された砂川事件の東京地方裁判所の判決、いわゆる伊達判決を覆した砂川判決の問題です。
これについては、すでに記事にしてありますので、ご覧ください。ここでは、再度サ条約と安保条約について掲載しておきます。
外務省: 日本外交文書 サンフランシスコ平和条約 調印·発効
…8日午後には、サンフランシスコ米陸軍第六司令部にて日米安全保障条約の調印が行われ、日本側は吉田全権のみが署名しました。また、吉田全権とアチソン国務長官との間で日本の国際連合に対する協力に関する交換公文が取り交わされました。(引用ここまで)
第六条
(a) 連合国のすべての占領軍は、この条約の効力発生の後なるべくすみやかに、且つ、いかなる場合にもその後九十日以内に、日本国から撤退しなければならない。但し、この規定は、一又は二以上の連合国を一方とし、日本国を他方として双方の間に締結された若しくは締結される二国間若しくは多数国間の協定に基く、又はその結果としての外国軍隊の日本国の領域における駐とん{前2文字強調}又は駐留を妨げるものではない。
(b) 日本国軍隊の各自の家庭への復帰に関する千九百四十五年七月二十六日のポツダム宣言の第九項の規定は、まだその実施が完了されていない限り、実行されるものとする。
(c) まだ代価が支払われていないすべての日本財産で、占領軍の使用に供され、且つ、この条約の効力発生の時に占領軍が占有しているものは、相互の合意によつて別段の取極が行われない限り、前期の九十日以内に日本国政府に返還しなければならない。(引用ここまで)
1951年 サンフランシスコ講和条約·日米安全保障条約の調印
問題点として、(1)部分的な講和であり、中国との講和にはさらに20年以上要し、ソ連との講和不成立で北方の島々の領有権問題が未解決に終わったこと、(2)東南アジアの国々が日本に要求した損害賠償がアメリカの圧力で大幅に減額されそれらの諸国民に大きな不満を残し(1)とあいまち日本の戦争責任があいまいになったこと、(3)沖縄等がアメリカの信託統治として残ったこと、(4)独立した国家としての主権の核心である軍事面でのアメリカへの従属から脱却できなかったこと、(5)多数の国から求められていた日本の再軍備の制限条項がアメリカの拒否で規定されなかったことなどが挙げられています。
講和条約の調印式には日本からは6人の全権が参加しましたが、その日、吉田首相だけがひそかに場所を移動して講和条約と表裏一体の関係にある日米安全保障条約に署名しました。両条約は翌52年4月28日に発効し、日本は独立しました。
安保条約によると、日本は米軍の駐留の継続を認める義務を負いますがアメリカは日本防衛の義務を負わず、アメリカに対する基地貸与条約の性格を濃厚に持っていました。また、米軍が「日本国における大規模の内乱および騒擾」を鎮圧する規定(内乱条項)は、米軍の軍事的な占領の延長としての側面を残していました。(引用ここまで)
ポツダム宣言を受諾した大東亜戦争正当化派の残存勢力が仕組んだサ条約と日米安保体制が、新しい安保条約によって繁栄をもたらしたとする日本。しかし、日米軍事同盟第2条によって、日本の農業と社会を破壊してきたからこそ、現在の日本の各地に顕在化している様々な問題があるのです。このことをマスコミは検証すべきです。このことを国民は国民的議論で確認し合意にまでたかめていくべきです。
そのことこそが、日本の最高法規である日本国憲法を活かす唯一無二の方途です。日米軍事同盟を廃棄したからと言って、日米関係を閉ざすことなど有り得ません。日本国民が取るべき唯一無二の方途は対等平等の日米関係です。それは国連憲章と日本国憲法を活かした日米平和友好条約の調印の途です。このことこそが、自立した日本国を構築することになるでしょう。
沖縄タイムスは、歴史を直視し、当たり前のことを
沖縄の地から発信していくべきでは!?