昨日の記事で武雄市の「公」教育を「民」という「私」に売り渡す暴挙という視点で記事を書きました。この暴挙の意味を再度確認しておきます。
武雄市の花まる学習会化は何故暴挙か!
1.これまで文部科学省を頂点に、子どもと現場を無視した「公」教育が犯してきた犯罪的事実とその矛盾の責任をいっさい不問に付している。
2.文部科学省の教育の根源的問題点を総括することなく、「官民一体」の名の下に、「官」=「公」教育を「民」という名の「私」に廃棄する第一歩を、文部科学省のお墨付きを得て歩んだこと。
3.武雄市長の町おこしの一つとして、また個人的スタンドプレーによって公教育が破壊されようとしている。
武雄市長 樋渡啓祐(無所属)のTwitter活動 | ツイー党
高濱正伸にはかなわない : 武雄市長物語
4.花まる学習会というトンデモ塾の手法によって、日本の子どもの情操・知育・徳育を求める親や保護者の願いがスリカエられ、子どもと日本社会の未来がゆがめられようといる。
5.文部科学省のお墨付きは、「教育再生」の名の下に、憲法の人権尊重主義・主権在民主義・国際平和強調主義を否定し、教育勅語礼賛、道徳の教科化など、戦前の復活企図に示されるように、侵略戦争の美化と大日本帝国憲法下の教育を目指す反動的再再編成であることが判ります。
6.子どもを一つの方向に括り付けていく、あの映像こそ、競争主義と画一主義、子どもを鋳型にはめ込む陶冶主義、錬成主義の変形と言えます。
子どものための教育に最低限必要なことは何か!
7.子どもの人格形成にとって必要な方法と基本的な内容は、
(1)子どもが自分の興味・関心を自由に表現できるようにすること、興味・関心を如何なく引き出すことができる装置をつくること、
(2)子どもが、その興味・関心を解決するためには、自分や友達と一緒になって多様な方法を駆使して調べること、人の意見に耳を傾けることを踏まえながら、
(3)自分の意見をまとめ、自分なりの方法で自由に表現すること、
(4)そのような機会が、あらゆる場面で保障されること、
(5)そのためには、子どもの人数にふさわしい、教師の目が行き届くように、教師の人数が配置されること、
(6)そのための予算が最優先課題として編成されること、
(7)そのためにも、現場の教師集団の教育活動が民主的に運営されること、
(8)校長や教育委員会は、現場の意向を尊重し、保障し、毎年毎年の教育実践を教訓化できるようにアドバイスできるようにすること、
以上が合意できれば、花まる学習会なんて不必要でしょう。そもそも記事に書かれていることは、現場を尊重すればできることばかりではないでしょうか。
マスコミは子どもと現場無視デタラメ反動的文科教育行政について
また、自分たちの報道をどのように総括しているか!
さて、こんな不必要な装置を無批判的に、新しいことは良いことだ的にヨイショするマスコミの記事、NHK・毎日・朝日を掲載しておきます。これらは批判的・疑問を掲載してはいますが、これまでの文部行政の総括については一言も触れていません。武雄市の言い分、花まる学習会の方法を垂れ流しているだけです。
何故、このようなことを言うか、それは、昨日の記事にも書きましたが、日本の教育は、60年代の高度成長期に相対評価の破綻を取り繕うために、70年代初頭に、高度成長を支える学校づくりとして多様化路線が唱えられ、学校の多様化が推進されました。普通高校以外の職業高校づくりです。それが偏差値輪切りをさらに深刻なものにしながら、失敗!しかし反省もせず、学区の再編とか、職業教育の再編成として、名前を変えながら、多様化の細分化を行い、それも失敗、そして子どもの減少を理由に統廃合。自由化・個性化・国際化とか、新学力観とか、その都度コピーを考えては失敗を繰り返してきたのです。ゆとりも生きる力も同じです。こうして失敗をしながら、あの手この手と、新しいコピーを考えて中教審に作らせてきました。
そして今度は、教育委員会をなくすとか、教育を再生するとか、ホント嗤ってしまいます。失敗に責任を取らないのです。再生しなければならないような教育の実態を作ってきた責任をマスコミは追及しないのです。そうして新しいものに、また飛びつくのです。全く学力も、想像力も、創造力もない人間集団、政治家と文部官僚、マスコミ記者と言えます。
今度の取り組みは「官民一体」の名の下に、学校の民営化への第一歩を創出しようとしているのです。昨日の記事にも掲載しましたが、杉並区の実践者が、ここにきて出てくることそのものが、マスコミのヨイショぶりを示していると思います。
さて、それでは、記事を掲載しておきます。NHK・毎日・朝日・西日本新聞のみです。
NHKニュース 公立小学校に塾の指導法を導入へ 佐賀 4月17日 18時50分
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佐賀県武雄市は、来年の春から公立の小学校に民間の学習塾の指導法を取り入れ、官民一体で授業に取り組むと発表しました。
文部科学省によりますと、官民一体で公立学校の授業に取り組むのは初めてとみられます。
これは17日に、武雄市と、さいたま市に本部のある「花まる学習会」が文部科学省で記者会見をして明らかにしました。
「花まる学習会」は首都圏を中心に学習塾を展開していて、大きな声を出したり体を動かしたりしてゲーム感覚で授業を進めることで知られています。
武雄市はその指導法を来年の春から市内の一部の公立小学校に取り入れ、官民一体で授業に取り組むということです。授業をするのは学校の教員で、学習指導要領に沿ってこれまでどおり検定を受けた教科書を使いますが、副教材として塾の教材を活用することも検討するということです。今後、教員の研修を重ね、ことしの夏から1校で試験的に授業を始めることにしています。文部科学省によりますと、官民一体で公立学校の授業に取り組むのは初めてとみられます。記者会見で武雄市の樋渡啓祐市長は、「公教育の優れたシステムに民間のノウハウを大胆に取り入れ、子どもたちがワクワクドキドキして楽しく学べる新しい公教育を作りたい」と話していました。また、花まる学習会の高濱正伸代表は、「正しく早く解く力ではなく、問題を設定して人を説得できる力を育てていきたい。厳しい競争の中で培ってきた民間の力を生かしたい」と話していました。
文部科学省「成果を期待したい」
今回の武雄市の取り組みについて文部科学省は、「塾の関係者が教員研修の講師になるケースはあるが、学校の授業に官民一体で取り組むのは聞いたことがない。先駆的な取り組みの1つとして成果を期待したい」と話しています。
武雄市のねらいは
武雄市は地域の魅力を高める政策の1つに「教育の改革」を掲げ、取り組みを進めています。去年10月、東京・杉並区の中学校で校長を務めたリクルート出身の代田昭久氏を市の教育監に任命。来月から市内のすべての小学校で「反転授業」と呼ばれる新しいスタイルの授業が行われることになっています。反転授業は、「学校は基礎的な学習の場」、「家庭は復習や発展学習の場」となっていた役割を逆転させようというものです。家庭でタブレット端末を使って予習し、学校ではより発展的な内容を学びます。武雄市はこの取り組みのために1億2000万円をかけておよそ3000台のタブレット端末を購入し、今月、市内のすべての小学生に配付しました。武雄市は「これからの時代を生き抜く力」を重視する教育に転換することで、首都圏など都市部から移り住んでくる人を増やして地域の再生にもつなげたいとしています。
教員の間には戸惑いも
学習塾の指導方法を学校に取り入れることについて、教員の間では戸惑いが広がっています。「花まる学習会」との連携をことしの夏から先行して行う市立武内小学校では16日、教員に概要が説明されました。教員からは、「これまで研修を重ねて指導力をつけてきた自負がある。新しいものを取り入れればよいわけではない」という反発や、「塾の指導法が公教育の場に入ってくると学校と塾の立場が逆転するという恐怖感がある」といった声が上がりました。教務主任の女性教諭は「現段階では戸惑いの気持ちが大きい。民間の塾のやり方が公教育に合うのかどうかは未知数で、そのまま取り入れるのは無理だと感じている」と話していました。(引用ここまで)
毎日 官民一体校:小学校で塾の授業 来年4月から 佐賀·武雄 - 2014年04月18日 09時29分(最終更新 04月18日 10時04分)
佐賀県武雄市は17日、来年4月から市立小に学習塾の指導法を組み込んだ「官民一体型学校」を開設すると発表した。問題解決型能力の育成に定評のある塾の手法を授業に活用したり「反転授業」という新たな手法を日常的に導入したりして、教員が一方的に教え込む従来型の一斉授業を減らすのが狙い。樋渡啓祐市長は「全国初の『官民一体型学校』を目指し、グローバル社会の中で戦える子供を育てる」と話している。提携するのは首都圏を中心に学習塾を展開する「花まる学習会」(さいたま市)。「一体型」実施校は市立小全11校の中から公募し、2〜3校を選定する。今年度もモデル校1校を選定。すでに4月から試行している。実施校では、同市が今年4月から全児童に1台貸与しているタブレット型端末を活用。算数や理科を中心に毎日1時間程度「反転授業」を取り入れる。反転授業は、同会と教員が共同開発した教材などが組み込まれたタブレット型端末を使って、自宅で「予習」し、学校の授業はそれを前提に児童同士の議論などに大半の時間を割く手法。このほか、毎日1時間目の前の「朝学習」(約15分)や「総合的な学習の時間」に同会で実践している「記憶力や集中力を高める」授業を導入する。授業は原則教員が担当するが、授業の進め方や内容は同会がアドバイスする。教員の反発も予想されるが、市教委の浦郷究教育長は「子供のためを考えれば一致点は見つかる」と強調。実施校は10年継続する予定だが、成果をみて他の小学校や中学校にも広げることも検討するという。今回の企画に携わった東京都杉並区立和田中で民間校長を務めた藤原和博さんは「一斉型授業は、学力が二極化している今の実態に合わない。武雄市の取り組みは今後別の地域にも広がっていくだろう」と話している。【三木陽介】(引用ここまで)
朝日 公立小、塾とコラボ 佐賀·武雄市、15年度から 2014年4月18日20時57分
花まる学習会の小学生への授業=8日、東京都千代田区神田駿河台4丁目の花まる学習会お茶の水教室
佐賀県武雄市は、学習塾「花まる学習会」(本部・さいたま市)と提携し、既存の小学校の毎日の授業に同会の教材や教育方法を導入し、新たな学校として来春開校する、と17日発表した。学校名の頭に「武雄花まる学園」を加える。同会は市にノウハウを無償で提供する。市は地元学区の子どもに加え、全国から児童を募集する。
独自教材や指導法導入
文部科学省によると、塾の教育内容や手法を公立小のほぼすべての授業に導入するのは初めてという。公立の教員が指導し、公設民営の形はとらない。市は「官のシステムに民のノウハウや活力を融合した全国初の官民一体型学校」と言うが、「官と一企業の一体化で塾に依存しすぎ」との批判もある。
樋渡啓祐市長が市教委に提案し、市教委が決定した。10年間の協定を結ぶ。同会と選んだ理由として市教委は「受験塾とは一線を画し、生き抜く力を養うことのできる塾として他の塾と比べてみた」と説明。花まる学習会も「公教育に貢献したい」とノウハウを無償提供。教材費は保護者が負担する。花まる学園になる生徒は来年度、全11小学校中2、3校を想定している。教材と教育方法を取り入れるのは、道徳と委員会活動を除く全授業。毎朝10~15分の学習「モジュール」で四字熟語の音読や算数プリントに取り組む。考える力をつける算数の独自教材「なぞぺー」をビデオにし、タブレット端末で学べるようにする。ノート指導や授業の場面展開の方法も導入する。市教委は「考える内容はいずれも学習指導要領の枠内で、教科書も使う」と説明する。体育や音楽など実技科目は、英語で教える計画もある。今年度は市立武内小をモデルに指定した。校長は4月から、市教育監の代田昭久が兼ねている。進学塾による夜間有料授業「夜スペシャル」を続ける東京都杉並区立和田中で民間校長を務めた。同会の方式を導入する学校は、市教委ではなく地域ぐるみで決める「手挙げ方式」を採る。対象校の教員には研修を行う計画。教育内容やノウハウは全小中学校で共有するという。
先生の負担心配 選考理由や過程は
花まる学習会は、どんな授業をしているか。武雄市の教育委員会らが15日、東京都千代田区の同会御茶ノ水教室を視察した。「さぁ、始めます。10、9、8…」。講師が支持をすると、子どもたちはお急ぎで机の上に教材を並べ出した。まずは四字熟語。「悪戦苦闘、安心立命、一期一会」。大きな声で読み上げて音も覚える。続いて立体図形のパズル。宮本武蔵の「五輪書」など古典の朗読、計算ドリル、名文の書き写し、算数の思考力問題、文章の精読。講師は、できた子のノートに大きな花まるを次々書いていく。「できたーっ」「イェーイ」。あちこちから声が上がる。5~15分のメニューを八つこなし、90分の授業は終わった。「わーと声を出す時間とさーと集中する時間のメリハリをつける。できたらほめることで勉強は楽しいと感じてほしい」と同会の高濱正伸代表は話す。これらのメニューは「武雄花まる学園」の10~15分の朝学習に取り入れる。武雄市民はどうみるか。モデルになる武内小は、タブレット端末での授業も先行実施している。1年生の女児の父親は「新しいことにチャレンジするのは良いこと」と肯定的。「今の子どもは、タブレットにも慣れているし、すぐ順応すると思う」と話す。ただ、花まる学園は知らなかった。同小に男児を通わせる父親は「先生たちは今でも持ち帰りの仕事があって大変なのに、負担が大きくならないのか。その影響が子どもにあったら困る」。県教職員組合の田中啓善書記長は「なぜこの塾なのか、理由や選考過程はどうだったのか」と決定過程を疑問視する。特に懸念するのは「どこまでカリキュラムに踏み込むか」。「今まで積み重ねてきたやり方まで変えられるようだったら、先生たちのモチベーションも下がる」
住民理解どう得る
学校と塾の連携は2000年代以降、放課後学習の指導や教員研修で進んできた。「武雄花まる学園」はさらに踏み出すものだが、課題は多い。まず、住民の理解をどう得るか。教育の民間委託を研究する新潟大学の瀬取山洋介教授(教育行政学)は「教育の民営化の動きの一つ。官民一体というより、官と一企業の一体化」とみる。「公立学校の枠を大きく超えた実験校で、保護者一人ひとりの同意をとってはじめるべきは。市教委は選考過程を公開し、費用も含め、きちんと説明すべきだ」と指摘する。家庭環境の厳しい子を抱え、学力格差の大きい公立高校に、来たい子だけを相手にする塾の手法がどこまで通用するか。市は、放課後の補修学習の場を用意するが、「恵まれない家の子をどう支えるかが問われる」と世取山准教授話す。学校と塾の連携に詳しい葉養正明・文教大教授(教育政策学)は「学校と塾は文化は違う。校長のマネージメントの手腕も問われる」。さらに「市長が代わっての継続できるのか。小学校だけの導入で中学校の教育とずれが生まれないのか」とも話す。今回の動きは今後、どんな動きをもたらすか。日本教育学会会長の藤田英典・共栄大学教育学部長(教育社会学)は「学校と塾の垣根を低くし、学校への塾参入を促す契機となる」とみる。「財政力のある自治体と、そうでない自治体の間で、教育格差が拡大するだろう」(安楽秀忠、編集委員・氏岡真弓)(引用ここまで)
西日本新聞 塾のノウハウ小学校に導入 武雄市、官民一体で教育改革 [佐賀県] 2014年04月17日(最終更新 2014年04月18日 00時03分)
官民一体型」学校の会見後、手を取り合う(左から)浦郷究武雄市教育長、代田昭久同市教育監、樋渡啓祐同市長、高濱正伸花まる学習会代表、藤原和博元杉並区立和田中学校長=17日午後、文科省
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佐賀県武雄市教育委員会は17日、考える力を伸ばす教育を掲げる学習塾「花まる学習会」(さいたま市)と提携し、来年4月から一部の市立小学校で塾のカリキュラムや指導法を取り入れた教育を始めると発表した。知識重視から、対話力や問題解決力を鍛える教育への転換を目指す。児童は校区への居住を条件に全国から募集し、過疎対策にもつなげる。官民一体による本格的な学校運営は全国初という。
市教委によると、花まる学習会が「メシが食える大人に育てる」を理念に、詰め込み型の受験勉強とは一線を画した教育を実践している点を評価した。遊び感覚で数理的思考力をつける教材を使い、読書と作文を中心に国語力を伸ばす指導法が特徴で、これを小学校の授業に取り入れる。
連携する学校では、道徳を除く全教科に「考える面白さ」を追求する塾の指導法を導入。始業前の朝学習の時間に集中力を鍛える塾の問題集を解いたり、総合的な学習の時間に異なる学年が一緒に野外学習をしたりする。授業にはこれまでと同じ検定教科書を用い、教員が学習指導要領に沿って進行し、塾の講師がサポートする。
本年度は武内小を「武雄市花まる学園武内小学校」(通称)としてモデル校に指定し、夏から連携授業を展開する。来年度は、今秋のうちに市内全11小学校に希望を募って地域住民の賛同を得た中から、2~3校を選定して新しい学校運営を始める。市教委と塾は6月にも、来年度から10年間の提携協定を結ぶ。契約料はなく、市側が塾講師の人件費や教材費を負担する。
文部科学省で記者会見した樋渡啓祐市長は「優れた民間のノウハウを活用し、世界一行きたい学校をつくる」。花まる学習会の高浜正伸代表は「厳しい競争に生き残ってきたノウハウに誇りを持って(公教育に)入っていく」と述べた。(引用ここまで)