憲法9条の非軍事抑止力論に確信を持って、軍事抑止力論を論破しよう!
安倍政権が辺野古新基地建設を強行する最大の理由が米軍の「抑止力」と述べていることは、前号の記事で明らかにしてきました。しかし、この米軍の「軍事抑止力」論が、如何に大ウソか!このことも、繰り返し明らかにしてきました。辺野古新基地建設を正当化する安倍政権とそのことを徹底的に批判しないマスコミが、憲法9条の全面実践に立たないのは何故か。そのことを念頭に、以下検証してみることにしました。ご覧ください。
結論は、マスコミを含めて、軍事抑止力論信奉者・安全神話論者は、憲法9条の非軍事抑止力論を語ることはないということです。それは、以下の読売・産経の記事を読めばいっそう明らかになります。憲法9条に基づく安全保障論は、軍事安全保障ではないということです。非軍事安全保障論こそが、憲法9条の理念だということを、今こそ明らかにしておかなければなりません。
ところでで、このようなことを言うことは、非現実的・空想的と考えているのでしょうか。万歩譲って、それが正しいとすると、どうでしょうか。
しかし、そのことは、逆に言えば、軍事抑止力論に立てば、悪魔のサイクルが相乗的に回転し、軍事力依存症に侵されて軍事費が膨大になり、そのことが国家運営に大きな支障をきたしていることは、ソ連にしても、米国にしても経験済みであることは明らかです。今や、この軍事抑止力論は歴史的に破たんしたことは明らかです。
しかも、中国脅威論に立てば立つほど、軍事抑止力論に立たねばならず、あるいは軍事抑止力論に立てば立つほど中国脅威論に立たねばならないのです。このことは中国にしても同じです。日本とアメリカの脅威論を煽り、軍事抑止力論に立てば立つほど、日米軍事抑止力の増長を促してしまうのです。これこそ、悪魔のサイクルと言わなければなりません。この悪魔のサイクルで、大儲けするのは、死の商人です。損をするのは納税者である国民です。
このような無尽蔵の悪魔のサイクルにしがみつくのではなく、軍事に要した費用は、生活部門に転用していくべきです。
そして非軍事抑止力論こそが、諸国民が創りだした『価値』を平和創造に不可欠の思想的土台であることを、明らかにしていかなければならないということです。それは「対話と交流」です。この平和的手段こそ、諸国民が求めていることであり、これを各国政府の政治の土台としていかなければならないと思っています。
以上の視点をものさしにすると、以下の記事は、大きなスリカエ、デタラメ、ゴマカシ、大ウソ、トリックと言わなければなりません。そこで改めて検証してみることにしました。貴重な資料と言えます。以下掲載しておきます。ご覧ください。
民意を踏みつけにする暴挙は、
信じがたいほど異常、民主主義国家では絶対許されない
厳しい審判とは何か!曖昧な共産党!
内閣打倒・新しい憲法を活かす政権ではないのか!
赤旗主張 辺野古新基地強行 「法治」を口にする資格はない 2014年11月21日(金)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-11-21/2014112101_05_1.html
沖縄県知事選で米軍普天間基地(宜野湾市)に代わる名護市辺野古(へのこ)への新基地建設断固反対を掲げた翁長雄志(おながたけし)氏が圧勝し、「新基地ノー」の県民意思が明確に示されたにもかかわらず、安倍晋三政権は新基地建設を「粛々と進めていく」(菅義偉官房長官)と強硬な態度です。知事選からわずか3日後の19日には、辺野古沖の埋め立て工事に向けた海上作業を再開しました。沖縄の民意を踏みつけにする暴挙は、民主主義国家では絶対に許されません。安倍政権は直ちに海上作業を中止すべきです。
安倍政権の異常な認識
沖縄県知事選の結果に対する安倍政権の認識は、信じがたいほど異常です。菅官房長官は知事選翌日の記者会見(17日)で、翁長氏圧勝の選挙結果について「それ(普天間基地の辺野古移設)の賛成、反対の投票ではなかったのではないか」と強弁しました。
今回の知事選は、仲井真弘多知事が普天間基地の「県外移設」という前回選挙の公約を裏切り、辺野古の新基地建設推進の立場を鮮明にしたことにより、その是非が最大の争点になったことは誰の目からも明らかです。実際、琉球新報と共同通信が実施した出口調査でも、投票の際に最も重視した政策として「普天間飛行場の返還・移設問題」と回答した人は60・5%と最多で、次に多かった「経済振興・雇用」15・4%を大きく上回りました。
知事選で新基地反対の民意が示されたことが自明なのに、それを認めようとしないところに、新基地建設を強行する安倍政権の深刻な行き詰まりがあります。
菅氏は会見で、新基地建設を正当化するため、「辺野古移設は米軍の抑止力の維持と普天間の危険除去を合わせた中で唯一の解決策だ」と改めて述べました。「米軍の抑止力維持」と「普天間基地の危険性除去」という命題を両立させる方法は「辺野古移設」しかないというこの主張は、根本から間違っています。
普天間基地も新基地も米海兵隊の航空基地です。菅氏は、記者から「具体的にどんな抑止力が海兵隊にあると思っているのか」と問われ、「日米安全保障条約に基づいて駐留をしているという意味の抑止力」だと意味不明の答えしかできませんでした。説明できるはずがありません。沖縄の海兵隊はベトナム戦争やイラク戦争への派兵に示されるように、「日本防衛」とは無縁の海外侵攻が任務の「殴り込み」部隊だからです。
「普天間基地の危険性除去」も、危険を辺野古に移すだけです。最新鋭の基地を手に入れれば、事故への懸念が強い垂直離着陸機オスプレイが今まで以上に横暴勝手に飛び回ることは明らかです。
総選挙で厳しい審判を
菅氏は、「法治国家」として昨年末の仲井真知事による埋め立て承認に基づいて新基地建設を進めると強調しました。しかし、仲井真知事の承認は前回知事選の公約を覆して行ったものであり、今回の知事選で県民はそれを認めていないことが鮮明になりました。「法治」の名で民意を切り捨てるのは本末転倒です。 安倍政権に新基地計画を断念させるため、沖縄県知事選の歴史的勝利に続いて、今度の総選挙でも厳しい審判を下そうではありませんか。(引用ここまで)
安倍政権が米側に「プランB」(移設計画の代替案)を要請しないのは何故か!
安倍政権の非現実的軍事論を徹底的に批判しないのは何故か!
<琉球新報社説>基地問題衆院選 普天間を正面から論ぜよ 2014年12月4日 http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-235351-storytopic-11.html
14日投開票される衆院選では、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設計画の是非があらためて問われる。各党は普天間問題を真正面から取り上げるべきだ。
11月の知事選でも県民の審判は出た。新基地建設阻止を掲げた翁長雄志氏が3選を目指した移設推進の仲井真弘多知事に約10万票の大差で勝利した。1月の名護市長選でも移設に反対する稲嶺進市長が移設推進候補を破っている。移設を拒む民意を直視することが、政府の取るべき道であることは明々白々だ。
だが基地建設を拒む再三再四の意思表示にもかかわらず、菅義偉官房長官は「移設を粛々と進める」と言ってのける。安倍晋三首相も辺野古移設について「米軍の抑止力維持と普天間の危険性除去を考え合わせたときに唯一の解決策」と繰り返し、こうした日本側の姿勢に米当局も歩調を合わせている。だが「唯一の解決策」や「抑止力」の誤謬(ごびゅう)と欺瞞(ぎまん)性は、直近も日米の専門家が重ねて指摘している。
保守系シンクタンク米ケイトー研究所のバンドー研究員は知事選結果を踏まえ、辺野古移設に関し「日本の安全保障に重要なのは空軍力と海軍力だ。米国が中国に侵攻することを想像する者などいない」と報告。海兵隊撤退を求め、日米安保は維持した上で「常駐なき安保」を構築すべきと提唱した。
中国のミサイル技術の発達から在沖基地の「脆弱(ぜいじゃく)性」を指摘して米軍配備見直しを求めた知日派の代表格ジョセフ・ナイ元米国防次官補らの主張とも通底する。安全保障が専門の柳沢協二元官房副長官補は、遠距離からの海・空軍力による攻撃を主眼にした米軍戦略を紹介し、離島防衛などで海兵隊の出番は想定されていないと指摘。抑止力の虚構性を挙げ「地元から支持されない方針を変えないことの方が長期的に見て米国との信頼関係を傷つける」と懸念を示す。
要は米側に「プランB」(移設計画の代替案)を受け入れる余地がありながら、日本側が米側に見直しを求めていないことが最大の問題だが、民意を見れば、計画を見直すしか解決の道がないことは明らかだ。
辺野古は沖縄だけの問題ではない。日本の防衛、安保政策に直結するだけでなく国と地方の関係、民主主義の在り方を問う優れて普遍的なテーマだ。各政党と全国の候補者には選挙戦を通じて議論を深めてもらうよう強く希望する。(引用ここまで)
軍事抑止力論こそ、悪魔のサイクル!米国の軍事抑止力の破たん浮き彫りに!
時事通信 習政権、格段に緊張高める=抑止力弱まり日本の安保に影響も-米議会報告 2014/11/20-23:59 http://www.jiji.com/jc/zc?k=201411/2014112000966
【ワシントン時事】米議会の諮問機関「米中経済安全保障調査委員会」は20日、中国の動向に関する年次報告書を公表した。報告は「習近平政権は2国間関係に関し、歴代政権の時代より格段に高い緊張を引き起こしても構わないと考えていることが明らかになってきた」と指摘し、日本を含む周辺諸国や米国との対立激化を警告した。報告はまた、中国核戦力の増強により、米軍の抑止力が弱まり、日本の安全保障に影響を及ぼす恐れがあると分析。中国の急速な軍備近代化を受け、地域のパワーバランスは中国に有利な方向に移行しつつあると警鐘を鳴らした。報告は米政府の見解ではないが、中国への警戒を強める野党・共和党が年明けから多数派を握る議会での議論に影響を与える可能性もある。(引用ここまで)
中・朝の「脅威」を煽れば煽るほど日米の軍事抑止力論の破たん浮き彫りに!
資源の乏しい日本だからこそ、非軍事抑止力論ではないのか!
戦前の歴史と戦後の憲法9条の歴史が示している!
戦前70年と戦後70年の違いは何か!それは憲法9条の歴史だ!
対中韓の「反日」というウソでナショナリズムを煽り侵略戦争を正当化!
侵略戦争の反省の上に立つ憲法平和主義の否定をもくろむ安倍派!
読売が示す「危機」「脅威」防止には「対話と交流」が必要不可欠では!
読売 安倍外交と安保 抑止力強化へ万全の法整備を 2015年01月10日 01時54分http://www.yomiuri.co.jp/editorial/20150110-OYT1T50001.html
◆戦略的連携で国益を追求したい◆
中国の軍備増強や海洋進出、北朝鮮の核・ミサイル開発などで、日本の安全保障環境は近年、厳しさを増している。中国が重視するのが海上戦力の強化だ。英国際戦略研究所などによると、主要な水上戦闘艦は中国軍70隻に対し、日本とグアムに展開する米軍第7艦隊は10隻程度にとどまる。自衛隊と韓国軍を加え、ようやく数的優位を保っている。北朝鮮は、弾道ミサイルの長射程化や精度向上を図り、核の小型化も進展させたとされる。核のミサイル搭載が可能になれば、その脅威は一段と深刻になる。
◆集団的自衛権を有効に◆
安倍政権が昨年7月、集団的自衛権の行使を限定容認する新見解を決めたのは、日米同盟を強化し、抑止力を高めるのが目的だ。今月下旬召集の通常国会で、自衛隊法や武力攻撃事態法の改正案などを成立させ、新見解の実効性を確保しなければならない。邦人輸送やミサイル防衛に従事する米軍艦船を自衛隊が防護することなどが想定される。
資源の乏しい日本にとって、原油の供給源である中東に至る海上交通路の安全確保は死活的に重要だ。ホルムズ海峡などで機雷掃海を行えるよう、集団的自衛権の行使には、地理的な制約を設けるべきではあるまい。
政府は、武装集団による離島占拠などのグレーゾーン事態に対処するため、自衛隊の海上警備行動の手続きを迅速化する方針だ。平時から有事まで切れ目ない対処を可能にするには、どんな法制度が最も効果的か。政府・与党は議論を尽くしてもらいたい。
◆防衛指針の改定を急げ◆
大量破壊兵器やテロの拡散、軍事技術の進展で、どの国も一国だけでは平和を維持できない。新見解により、戦闘現場以外では、自衛隊による他国部隊への補給、輸送など後方支援が可能になる。より機動的な対応のため、自衛隊の海外派遣に関する包括的な恒久法を真剣に検討すべきだ。安保法制の整備に合わせて、自衛隊と米軍の役割分担などを定めた日米防衛協力の指針(ガイドライン)の改定も急ぎたい。
米軍普天間飛行場の辺野古移設は、米軍の抑止力を維持しつつ、基地周辺住民の負担を軽減する唯一の現実的な選択肢だ。沖縄県の翁長雄志知事は反対するが、政府・与党が一体となって辺野古移設を着実に進めることが大切だ。
安倍首相は、5月の連休中の訪米を検討している。オバマ大統領との会談では、アジアにおける日米同盟の新たな役割や対中国戦略を語り合うことが重要である。
首相は昨年11月の中国の習近平国家主席との会談で、戦略的互恵関係の再構築で一致した。まずは、東シナ海での不測の事故や衝突を避けるため、防衛当局間の「海上連絡メカニズム」の合意、運用を急ぐべきだ。経済、エネルギー、環境など、様々な実務的な協力も拡大したい。
無論、尖閣諸島は日本固有の領土であり、日本側に譲歩の余地はない。歴史認識に絡めた中国の「反日宣伝」活動には、的確かつ早期に反論する必要がある。
戦後70年の今年は、韓国でも反日世論が高まる懸念がある。朴槿恵大統領が固執する慰安婦問題の打開は簡単ではない。
当面、日中韓の外相・首脳会談を早期に開催し、対話を重ねる中で、国交正常化50年を実りあるものにする道を探ってはどうか。
◆どうなる拉致再調査◆
北朝鮮による日本人拉致問題の解決に向けた取り組みは、正念場を迎える。北朝鮮は昨年7月、1年をメドに拉致被害者らの再調査を始めた。政府は、北朝鮮に時間稼ぎを許さず、安否情報の速やかな通報を迫らねばならない。
日露関係でも安倍外交の真価が問われる。プーチン大統領は今年、来日する予定だ。クリミア半島編入では、ロシアと欧米との深刻な対立が続く。日本は、欧米との協調を維持しつつ、対露関係の進展を図ることが求められる。
安倍首相は「地球儀俯瞰ふかん外交」を掲げ、2年間で歴代最多の50か国を訪問した。アフリカ、中南米にも足を運び、首脳らと個人的関係を築いたことは評価できる。戦後70年間、日本が平和国家としてどう歩んできたか。安倍政権の「積極的平和主義」に基づき、今後、どんな役割を果たしていくのか。こうした点について、首相が自らの言葉で国際社会に発信する意義は小さくない。首相は、長期政権も視野に入れ、国益重視の戦略的な外交を展開することが肝要である。2015年01月10日 01時54分 Copyright © The Yomiuri Shimbun (引用ここまで)
国民生活破壊の脅威と危機に対する抑止力を語らない民主党政権時代の防衛相!
沖縄県知事選で県民が最も重視した争点は基地問題!
その最大課題は辺古施設の建設工事反対、普天間基地返還実現と言わない!
森本氏のの欺瞞と詭弁浮き彫りに!
中国の危機を抑止するためには中国と対話と交流を発展させることだ!
日中の危機を煽って軍事抑止力を高めるのは経済関係を観ると合理的ではない!
沖縄の戦略的重要性を語れば軍事抑止力論を重視せざる得ない!
沖縄の負担軽減論を語れば、辺野古新基地反対・普天間基地撤去になる!
沖縄の負担軽減論が本土への移転となれば、沖縄抑止力向上論はウソになる!
日米軍事同盟温存。深化論の矛盾明らか!憲法活かす政権こそ唯一の道!
【正論】元防衛相、拓殖大学特任教授・森本敏「沖縄の未来を展望した知事選に」 2014.11.5 05:03
http://www.sankei.com/column/print/141105/clm1411050001-c.html
いま、国民世論を客観的に集計するとすれば、その多数は恐らく中間軸より、やや右派寄りで、やや(親中ではなく)親米寄りという結果になるであろう。日本人の本質は保守的で急速な変化を求めないが、ひどい体験をすると大きく反対に振れるという性格を持つ。来年で戦後70年になるが、この性格は変わっておらず、とりわけ、原発や米軍・米軍基地、集団的自衛権行使、特定秘密保護法になると、右派寄りの世論とは異なり、反対の方に少し振れるという現象が表れる。これは理屈を超えたものであり、過去の体験に基づく感情が支配するからであろう。
≪日本人は「抑止」は不得手≫
だからかと思われるが、日本人は国際情勢の変化に敏感であるものの、自分の身に何かが起こりそうにないと真剣にならない。イスラム国やエボラ出血熱が身近な問題になると大騒ぎをするだろうが、中国の尖閣領海侵犯やレーダー照射、自衛隊機への異常接近、あるいは東日本大震災や福島第1原発事故、御嶽山噴火などの方に、はるかに大きく反応する。どの場合も事前に事態に備えるというより、実際に体験したあとで、反省と対策に大騒ぎして過剰反応するのである。危機管理には「抑止・予防」と「被害局限・復旧」の2面があるが、日本人は前者に向かない性格なのだろうか。
東アジアにおいて、海兵隊を含む在日米軍は日本のみならずアジア太平洋にとって不可欠の抑止力である。中国が南シナ海に軍事進出してきたのは、米軍が在比米軍基地から撤退したあとの力の真空を埋めようとしたからだ。東シナ海の現実を見ると沖縄に駐留する米軍は日本の安全にとって最も重要な抑止力である。その中心課題が海兵隊のヘリ部隊が駐留する辺野古施設であることはいうまでもない。世論調査によると、今回の沖縄県知事選挙で県民が最も重視している争点は基地問題で、その最大課題は辺野古施設の建設工事であり、普天間基地の返還を実現することである。
≪将来の島づくりの転換点に≫
いずれにしても今回の知事選挙は、沖縄にとって政治的節目を示す転換点になるであろう。しかし、政府は辺野古施設の工事計画を変える考えはない。辺野古施設を建設して普天間基地からオスプレイや他のヘリを移転させ、普天間基地の返還を速やかに実現するという目標に変わりがないからである。これは日米協力体制の下で、東シナ海を中心に海洋進出する中国への抑止力として、将来にわたって重要かつ不可欠の基地施設であると確信しているからである。このように重要な機能を持つ辺野古施設の工事計画に政府が取り組んでいるのに、これを取り消したり撤回するのは合理的と思えない。それよりも県民にとって重要なことは、この選挙を通じて沖縄の将来を展望した島づくりを構想し、これを実現する契機とすることであろう。
今回、選挙の構造を見ると保守政党は構造劣化し、革新政党は分裂している。県民は政治や政党ではなく、何をよりどころにして沖縄の将来を築いていくかを選択する選挙になろうとしている。これは望ましいことかもしれない。沖縄が本土とは異なる政治土壌にあるという選挙はこれで終わりにしてほしい。本土の県と同様に県民中心の福祉や発展、地域伝統文化、人材育成などを軸とした未来性のある地域作りを争点とした選挙にしてほしい。米軍基地の賛否で投票して沖縄の地域振興が進むことにはならないのである。
≪本土は痛みを理解している≫
沖縄にはなお、在日米軍基地の7割近くが集中している。政府もこれをよく理解し、沖縄の負担軽減を図ってきた。牧港補給地区の返還時期も短縮しようと努力している。オスプレイの半数を県外に訓練移設することも、普天間基地の5年以内の運用停止を目標に努力することも約束している。
経済振興としては、年間3千億円台の一括交付金の確保や那覇空港第2滑走路建設に取り組んでいる。沖縄経済はこのところ観光産業や失業率、個人消費が改善され、景気は上向き状況にある。その沖縄の人々から「われわれは差別されている」という声をよく聞かされたが、誰も沖縄を差別などしていない。日本で最も重要な一部と考えているからこそ、政府は負担軽減策に懸命に取り組んでいるのである。
本土の人々は沖縄県民の痛みが分かっていないと言うが、それも誤りだ。われわれは沖縄が歴史の中で負ってきた痛みを理解している。そのうえで、沖縄の人々が日本全体の中でいかに沖縄が戦略的に重要な位置にあるかを理解し、日米で取り組んでいる負担軽減努力を公正に評価するとともに、沖縄の将来を展望した現実的な選択をしていただきたいと思う。われわれは沖縄が豊かな文化と伝統を有する日本で最も美しい島であることを誇りにしている。今回の選挙が沖縄の新たな出発点であってほしいと念願する。(もりもと さとし)(引用ここまで)