通りすがりの櫻に、本来の“いま”に気づかさるる。さうだ、まう櫻がやって来たのだ──支那肺病の影響で手猿樂師としての活動に制限が加へられ、一方で肝心の為政者は明確な病菌対策を示すことなく、ただ茶番大運動會の「予定通り実施」ばかりを繰り返し謳ひ上げる──さうした浮世の虚言尽しにいい加減飽き飽きしてゐた私に、櫻は「こちらをごらん」と話しかけてきた。俗世の騒ぎなどから超越した存在。“あなたもさういふ心であ . . . 本文を読む
前から樂しみにしてゐた美術展が今日から開催の予定だったが、二日遅らせて二十日からに変更となる。なんであれ、いま流行りの「中止」とならなかったことに、一筋の光明を見る。能樂はお役所主催の公演は全滅したが、各々の流派や能樂師が企画した公演は、お客のマスク着用厳守など感染予防を徹底した上で、決行してゐる。静かに観るものにつひては、それで良いのではないかと思ふ──もっとも近頃は黙って観ると云ふ機能が無い老 . . . 本文を読む