仙臺から東京への鐵路は、四年前に全線復活を果たした常磐線を利用する。
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平成二十三年(2011年)三月十一日の東日本大震災から、九年と四日をかけて見事に復活した令和二年(2020)三月十四日いらい、いつかぜひ常磐線で鐵道旅行を……、と願ひ續けて、今回の陸奥路旅でやっと實現す。
太平洋に沿って走る常磐線があの日、津波により線路も車輌も著しく損壊した光景の記憶は、現在も深い傷と共に殘ってゐる。
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その後の復活工事で線路は内陸側の高い位置に移設され、
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海は車窓から遠くはなったが、もちろん私の記憶に遠近はない。
原ノ町驛で、トウキョウ圏で見慣れた車輌に接續乗り換へ、
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いわき驛に近づくにつれて強い南風に煽られた雨が車窓を叩きつけ、
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車体は風を切って唸り、途中から徐行運転をしながら十五分遅れでいわき驛へ入る。
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しばらくの停車時間をおいて、いわき驛を定刻發車、相變はらずの風雨を今度は徐行することなく破雨疾走、
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やがて再び乗り繼ぎの水戸驛に着くと、折から入ってきた鹿島臨海鐵道“大洗鹿島線”の單体氣動車の車体が不思議な斑模様にて、
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面白い塗装ぢゃと近寄り見れば、激しい錆に塗料が浮いてゐただけのこと、
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こりゃ大洗ひならぬ大笑ひと浮き出る鳥肌を抑へて土浦行Е531に逃げ込む。
常磐線の“東京口”である土浦を過ぎると風雨はほぼ止み、終點の上野から先は“上野東京ライン”となって東京驛に着いた時にはすっかり暖かな晴天、
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他線では強風雨による遅延や行先變更が發生したなか、こちらは平坦な地形を行く常磐線で、惡天候の峠を無事に越せたと安堵す。