先月に散々探して見つからなかったその一冊がどうしても諦められず、もふ一度押入れの中をひっくり返して、今度こそ、やっと見つける。
よかった、あった……。
數年前に藏書の大処分を斷行した際、その一冊だけは除けておいたはずだったが、私のことゆゑうっかり処分してしまったかと、心底ガッカリしたあとの、心底の安堵。
その時はもふ要らないと手放しても、だいぶあとになってから必要に迫られ後悔する例は、本好きならば誰しも經験するやうで、私も過去にさうして「しまった……」と、買ひ直したことがある。
このたびの一冊は、さうはいかぬ一冊。
“斷捨離”とやらも難しい。
散歩道では藤が盛りを迎へつつある。
見事なのは結構だが、はて五月には何を愛でたらよいのだらう。
忘地方の櫻が見事な公園では、早くも冬眠から覺めた熊の出没が確認され、しばらくの間は閉鎖云々。
……近々、夏に雪が降ることだらう。