「第七回おかげマルシェ」が開催された東京都目黒區の上目黒氷川神社の神樂殿にて、現代手猿樂「源氏紫(げんじむらさき)」を舞ふ。
ここ數日来の惡天候は今朝まで續けど、私が出番の頃には厚い曇雲も切れてやうやく青空となり、
心も雲晴れり。
今回の「源氏紫」は私の好きな能のひとつ「源氏供養」を下敷きに、秋の實のムラサキシキブが紫式部の姿となって源氏物語の世界を舞ふ、
と云った趣向で、觀世流の弱吟(柔らかく謠ふ)と和吟(強めに謠ふ)が綯ひ交ぜになった独特な節回しのクセが強く印象に残り、これを自分なりに表現して舞へないだらうか……、と長らく模索した末、二年前の人災疫病禍元年における“おうち時間”中に創り上げたもの。
そしてやうやく、
今日のお披露目が叶ふ。
今日のお披露目が叶ふ。
自作の謠ひを誰憚ることなく腹いっぱいの發聲で謠って氣分は上々、
日本古来の音樂で舞ひつつ、境内の前を走る國道246號線や首都高速3號澁谷線からの騒音も伴奏に取り込んで、これぞ“現代”手猿樂なりと画竜點睛。
地元に帰ってから夜空を見ると、綺麗な満月がのぼってゐた。
今日のムラサキシキブの紫式部も、最後に満月を見上げて心が澄み渡り、「真如の月、圓(まどか)なり」と經文からの一節を謠ふ。
私は今宵の満月を望みながらもふ一度、
「真如の月、圓なり」
と謠ひ、自作を今日に無事披露できたことを感謝する。