寒風厳しき川崎市高津區千年(ちとせ)の高臺にて、突如として古代建造物の出来かけに出會はす。
一帯はありふれた住宅地のなか、ずいぶん“斬新”な家を建てたがるヒトもあるものだ……、と思ふわけもなく、
このあたりが武蔵國橘樹(たちばな)郡に區分されてゐた大昔、その國衙がおかれてゐた旧跡なり。
令和現在はだいぶ建物に邪魔されてゐるが、高臺からは下界を遙か見渡せる場所も殘っており、
現役で国衙がおかれてゐた當時に想ひを馳せれば、なんでも外へ出てみるものだと、氣宇壮大な心持ちを味はへる。
國衙跡の傍らには、紅梅が見頃となりつつあり。
かういふのが、樂しいのである。