昼過ぎに降り出した雨は夕方には止んで、再び雲が切れたを幸い、今日こそ散歩に出る。その道沿ひの藤が、二度咲きしてゐるのを見つけて、足をとめる。蒸し暑くさへなければ、時間が戻ったかと錯覺したらうか。……戻らなくてよい。それよりも、このイヤな氣候がゐなくなるやうに、時間を早めておくれ。少しだけ。 . . . 本文を読む
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- 嵐悳江(あらし とくえ)──手猿樂師にして、傳統藝能創造家にして、鐵道愛好家にして、古道探訪者にして、文筆家氣取り。
雅号は「李圜(りかん)」。
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