迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

地球環境に優しい先輩。

2022-06-09 20:38:00 | 浮世見聞記
府中街道から道を一本入った神奈川縣川崎市高津區二子6-1、住宅地のごく小さな児童公園脇に、昭和二十六年から四十二年まで川崎の中心部と臨海部を市電と共に結んでゐたトロリーバス、通稱“トロバス”が保存されてゐる。



二本のポールで架線から集電して走行した、まさに電氣自動車の先駆車(はしり)と云ふべき記念物。

傍らの案内板にある『……満員の「トロバス」が、架線とポールの間に火花を飛び散らしながら疾走する姿は正に躍進する川崎の姿そのものでありました』はなかなかの名文、



ただ、環境に優しい乗り物だった反面、凸凹道ではすぐに架線からポールが外れて停止してしまふ、厄介な文明でもあった云々。



そして全國で路面電車の廃止が流行した昭和四十年代、環境に優しくない石油燃料車によって共々駆逐されり。



トロリーバスの現物が遺ってゐるのは珍しく、しかも大きな屋根と“害獣”除けの囲ひのおかげで保存状態は良好のやうなので、いずれは綺麗にお化粧直しをしたうへで往年のポールを上げた姿に復元し、博物館などの屋内に移して展示をしたら、交通文化遺産としての価値も上がるのではないか。








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