
あなたの好きな台詞を一つ、と言われたら、私は迷うことなく能「羽衣」の一節、
『いや疑ひは人間にあり。天に偽りなきものを』
を挙げる。
意味はそのまま。
翻訳の必要はない。
私はこの台詞を聞くたびに、ドキッとさせられる。
これほど人間の本質を短いセンテンスで的確に衝いた台詞が、ほかにあるだろうか。
実際、仮託的表現の多い能の世界のなかで、シテ(主役)がこれほどはっきりと物を言うのは珍しい。
それだけに、この台詞は観る者の心に際立って響いてくるのだろう。
「羽衣」は、能のなかでも特に好きな曲である。
みどころはもちろん、後半の舞にあるわけだが、私は前半の終わりにシテの天人が口にする上の台詞に重点をおいて、舞台を楽しむことにしている。
七寳充満の寳を降らし
國土にこれを施し給ふ
『いや疑ひは人間にあり。天に偽りなきものを』
を挙げる。
意味はそのまま。
翻訳の必要はない。
私はこの台詞を聞くたびに、ドキッとさせられる。
これほど人間の本質を短いセンテンスで的確に衝いた台詞が、ほかにあるだろうか。
実際、仮託的表現の多い能の世界のなかで、シテ(主役)がこれほどはっきりと物を言うのは珍しい。
それだけに、この台詞は観る者の心に際立って響いてくるのだろう。
「羽衣」は、能のなかでも特に好きな曲である。
みどころはもちろん、後半の舞にあるわけだが、私は前半の終わりにシテの天人が口にする上の台詞に重点をおいて、舞台を楽しむことにしている。
七寳充満の寳を降らし
國土にこれを施し給ふ